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落語「心眼」

(ネタバレです)
目が不自由な按摩の梅喜(ばいき)。
ある日、しょんぼりして帰宅する。
妻のお竹が理由(わけ)を聞くと、その日は仕事がみつからなかっただけでなく、目が不自由なために悔しい思いをしたと言う。
近所でも評判の良妻、お竹。
梅喜をなんとかなだめすかし、翌日から眼病に効くという薬師様へ願掛けのために二人で日参する。
そして、満願の日、めでたく梅喜の目が開く。
嬉しくてならない梅喜。
帰りに贔屓客に出くわし、お竹は気立ては良いが、ひどい醜女だと聞かされてがっかりする。

そこへ同じく馴染み客の芸者、小春と出会う。
小春が言うには、役者にしてもおかしくないほど色男の梅喜に前から惚れていた、と。
すっかり有頂天になった梅喜。
そのうちに小春といい仲になってしまう。
血相を変えて入って来たお竹が「この薄情者め!」と梅喜の胸ぐらに食らいつく。

すると、「お前さん、どうしたんだい。随分うなされてたけど悪い夢でも見たのかい?」というお竹の優しい声。
ハッと目を覚ました梅喜。
全ては夢だったことを知る。
「お竹、俺はもう信心はやめるぜ」。
「何故だい?」とお竹。
「目が見えないてぇなぁ不思議なものだ。夢の中でだけははっきり見える」

人の美しさとは何でしょう。
見かけ、容姿は一つの要因かもしれません。
しかし、人を人として美しくさせるのは内面の美しさではないでしょうか。

「珠は光の中では美しいが、暗闇の中ではその美しさは分からない」
暗闇の中でも美しさを放つ珠になる。
そのような人になりたいものです。