三野誠子

子ども向けの物語を書いています。著作に『エレベーターは秘密のとびら』(第27回福島正実…

三野誠子

子ども向けの物語を書いています。著作に『エレベーターは秘密のとびら』(第27回福島正実記念SF童話賞大賞)『ぼくのともだち、どじなぶた』『学校の鏡は秘密のとびら?』『ようかい ふとんかぶせ』(岩崎書店刊)、『箱の中のホワイトデイズ』(国土社刊)

マガジン

  • 創作集団プロミネンス

    • 69本

    「創作集団プロミネンス」とその会員の皆さんの活動をお知らせします。 「創作集団プロミネンス」は、その前身である「少年文芸作家クラブ」時代から半世紀近い歴史を持つ、児童書の作家・画家の職能団体です。 現在、岩崎書店と共に、「福島正実記念SF童話賞」(中学年向け)、「ジュニア冒険小説大賞」(高学年以上向け)というふたつの児童文学新人賞を運営しています。 「少年文芸作家クラブ」は1968年秋に発足しました。 規約には「本会は少年少女を対象としたエンターテイメントの創作、ノンフィクション、翻訳、美術を職能とする者によって、構成される」とあり、 初期の名簿には故石ノ森章太郎氏も名を連ねていました。 規約の文言は「本会は主として年少の読者を対象とした創作、ノンフィクション、翻訳、美術を職能とする者によって構成される」と修正されましたが、 現在も発足当時の精神を受け継いでいます。

記事一覧

母子手帳いつ渡す?問題

母子手帳。母子健康手帳。妊娠を届けると市町村から発行され、母体の記録、子どもの成長の記録等に使う。昨今は「親子手帳」となったり「父子手帳」が生まれたり、ダウンロ…

三野誠子
7か月前
10

運動会のダンスや応援歌を覚えてる?

たまに娘とLINEでメッセージを遣り取りする。 ときに、それは妙に愉快な気分にさせてくれる。 いつだったか、こんな内容のメッセージが届いた。 「ねえねえ、小2の運動会…

三野誠子
10か月前
12

42年振りに「新・汽車のえほん」が出たー!

手元に横長A5変形判の絵本がある。 『ほんとうにやくにたつ機関車』クリストファー・オードリー作・クライヴ・スポング絵・金原瑞人訳・ポプラ社刊 表紙の水彩画は、手前に…

三野誠子
10か月前
10

「これ、うちがつくったんです」

ひょんなことからJAPAN MOBILITY SHOW 2023に行くことになった。 前日の昼まで予定になかった。 ニュース番組でその映像を見ても行こうという発想にはならず、「すごい混雑…

三野誠子
11か月前
19

久しぶりのオムライス

ここ最近ずっとオムライスが食べたかったのです。 この前読んだ小説にオムライス大好き少女が出てきたせいかもしれません。 元々卵を使った料理は好きです。 けれど案外オ…

三野誠子
11か月前
11

図書館の貸出票~もしすれ違っていたら~

地元図書館にはまあ行く方だ。 資料探し…よりも、予約した本の受け取りと返却で使うことが多い。 カウンターで、貸出本のタイトルリストと返却日を印字した紙を、借りる本…

三野誠子
1年前
10

ツヤツヤほっぺに道を聞かれた話

明るい日差しの下、道を歩いていたら白いTシャツの男児に声を掛けられた。 「5丁目広場ってどこですか!?」 高くて元気のいい声。 ここは確かに5丁目だ。 小さな広場や公園…

三野誠子
1年前
9

新刊のお知らせ

このたび、岩崎書店さんより『ようかい ふとんかぶせ』(いとうみつる絵)を上梓致しました。「こわいがいっぱい おばけのはなし」シリーズの一冊です。 初めて自分で怖…

三野誠子
1年前
9

ペペめしのこと

昼食にペペロンチーノばかり作る時期があった。 下の子が弁当を持って幼稚園に通い始めた頃のことだ。 それまでは、常に子どもと食事を共にしていた。 からいものは食卓に…

三野誠子
2年前
3

子どもの氏名、ふりがな付。

とっくに成人した子どもがいる。 たまたま彼女が長期で家を離れている時に、彼女宛の郵便物が届いた。 「申し込み内容の確認」系の書類である。 彼女に連絡すると、封筒を…

三野誠子
2年前
15

新刊のお知らせ

このたび、国土社さんのパステルショートストーリーシリーズの4冊目として、『Milky White 箱の中のホワイトデイズ』を上梓することになりました。シリーズ参加作家が各自…

三野誠子
2年前
11

コーヒーメーカー

毎日相当量のコーヒーを飲む。 30年前に結婚祝いとして贈られたコーヒーメーカーで淹れる。 贈ってくれたのは友人カップルだった。 恋人同士だったふたりはやがて結婚した…

三野誠子
2年前
10
母子手帳いつ渡す?問題

母子手帳いつ渡す?問題

母子手帳。母子健康手帳。妊娠を届けると市町村から発行され、母体の記録、子どもの成長の記録等に使う。昨今は「親子手帳」となったり「父子手帳」が生まれたり、ダウンロードできたり内容が見直されたりしていると聞くが、今は置く。

突然別居の子から聞かれた。
「私って麻疹(はしか)の予防接種2回やってます?」
すぐに「やってるね」とこたえられたのは、手近に母子手帳があったからだ。
手帳のページを確認してホッ

もっとみる
運動会のダンスや応援歌を覚えてる?

運動会のダンスや応援歌を覚えてる?

たまに娘とLINEでメッセージを遣り取りする。
ときに、それは妙に愉快な気分にさせてくれる。

いつだったか、こんな内容のメッセージが届いた。
「ねえねえ、小2の運動会のダンスってなんだった?? 覚えてる?」
なんだなんだ。
娘の小学校卒業から、もう15年くらい経っている。
LINEの画面には娘の吹き出しで、小1はコレ小3はアレ…と、小2以外の団体プログラムが並べられる。
実に懐かしい。
私はすぐ

もっとみる
42年振りに「新・汽車のえほん」が出たー!

42年振りに「新・汽車のえほん」が出たー!

手元に横長A5変形判の絵本がある。
『ほんとうにやくにたつ機関車』クリストファー・オードリー作・クライヴ・スポング絵・金原瑞人訳・ポプラ社刊
表紙の水彩画は、手前におそらく世界で一番有名な青い機関車、車体にナンバー1を付けたトーマス、奥には4を付けたゴードンが並ぶ。
自身もしくは我が子が夢中になった、幼年時代ちょっとだけかすった、好きだった、苦手だった、等々、人それぞれとは思うが、世界中に大勢のフ

もっとみる
「これ、うちがつくったんです」

「これ、うちがつくったんです」

ひょんなことからJAPAN MOBILITY SHOW 2023に行くことになった。
前日の昼まで予定になかった。
ニュース番組でその映像を見ても行こうという発想にはならず、「すごい混雑だねぇ」「並んでる人達、大変だ」と口にするばかりだったのだ。
その後たまたま入場券を下さるという方が現われても、「え?行かないよね?あの人混みだよ??」と思っていたのだが、夫は気持ちが乗ったようで、じゃあ折角だから

もっとみる
久しぶりのオムライス

久しぶりのオムライス

ここ最近ずっとオムライスが食べたかったのです。
この前読んだ小説にオムライス大好き少女が出てきたせいかもしれません。

元々卵を使った料理は好きです。
けれど案外オムライスを選べる外食先に行くことはありません。
それにお店のご飯の量は、私の胃袋にはちょっとばかり多過ぎるでしょう。

ならばと今夜は久しぶりにオムライスを作りました。
きっと20年以上ぶりです。
今ならチキンライスの上にトロトロたまご

もっとみる
図書館の貸出票~もしすれ違っていたら~

図書館の貸出票~もしすれ違っていたら~

地元図書館にはまあ行く方だ。
資料探し…よりも、予約した本の受け取りと返却で使うことが多い。
カウンターで、貸出本のタイトルリストと返却日を印字した紙を、借りる本の一冊に挟んでもらう。
かつてその貸出票には氏名も添えられていたものだが、個人情報保護のためか、いつのまにか無記名になった。
皆さんは、この貸出票、どうしているのだろうか。
捨てている?
私はクリップで留めて、訳もなくとっておく。

借り

もっとみる
ツヤツヤほっぺに道を聞かれた話

ツヤツヤほっぺに道を聞かれた話

明るい日差しの下、道を歩いていたら白いTシャツの男児に声を掛けられた。
「5丁目広場ってどこですか!?」
高くて元気のいい声。
ここは確かに5丁目だ。
小さな広場や公園があちこちにあるのは知っている。
けれど、どれが「5丁目広場」なのかはわからない。
「ちょっと待ってねぇ」と言いながら、男児の前でスマホを開いた。
地図アプリに「○○(町の名)ごちょう…」とフリック入力を始めると、男児も私の指の動き

もっとみる
新刊のお知らせ

新刊のお知らせ

このたび、岩崎書店さんより『ようかい ふとんかぶせ』(いとうみつる絵)を上梓致しました。「こわいがいっぱい おばけのはなし」シリーズの一冊です。
初めて自分で怖い話を読もうとする小学1年生向けに、ちょっぴり怖くてドキドキして、だけど読み終える頃にはにっこりしちゃう、という物語を書きました。日本古来のおばけが装い新たに現代に登場する話と、どこにでもあるアレがコワイモノになっちゃう話、2編が入っていま

もっとみる
ペペめしのこと

ペペめしのこと

昼食にペペロンチーノばかり作る時期があった。
下の子が弁当を持って幼稚園に通い始めた頃のことだ。
それまでは、常に子どもと食事を共にしていた。
からいものは食卓に載せなかった。
その反動だろう。
ようやくやってきたひとりのランチタイムに、私はパスタをゆで、塩と唐辛子とニンニクを存分に使ったソースを絡めて食した。
しかしある時、はたと気付く。
冷蔵庫には残りご飯がある。
私は節約しなくてはならない主

もっとみる
子どもの氏名、ふりがな付。

子どもの氏名、ふりがな付。

とっくに成人した子どもがいる。
たまたま彼女が長期で家を離れている時に、彼女宛の郵便物が届いた。
「申し込み内容の確認」系の書類である。
彼女に連絡すると、封筒を開けて、中に入っている書類の必要項目を埋め、返送してくれないかと言う。
難しいことではない。
用紙に彼女の氏名とふりがなを書き、1項目にチェックを入れ、日付を添えたら終わりである。
返信封筒も用意されている。
あっという間の作業だ。
とこ

もっとみる
新刊のお知らせ

新刊のお知らせ

このたび、国土社さんのパステルショートストーリーシリーズの4冊目として、『Milky White 箱の中のホワイトデイズ』を上梓することになりました。シリーズ参加作家が各自で色とテーマを決めて書く短編集で、私も本当に楽しく執筆させて頂きました。
不思議な話や怖い話、笑っちゃう話やちょっぴり寂しい話など、いろいろ入っています。来週には書店に並ぶそうですので、見かけられた方は是非お手に取って下さいませ

もっとみる
コーヒーメーカー

コーヒーメーカー

毎日相当量のコーヒーを飲む。
30年前に結婚祝いとして贈られたコーヒーメーカーで淹れる。
贈ってくれたのは友人カップルだった。
恋人同士だったふたりはやがて結婚したが、半年後、夫氏が亡くなった。
私が童話を書きはじめる前のことだ。

私がどんなふうに童話を書き始めたか、それからどんなことがあったか。
もしも彼が生きていたら、私は日々こまごまとそれを書き綴っただろう。
きっと彼はそれを無邪気なまでに

もっとみる