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大日本末期文学全集

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終末感が滲み出る文章がまとまったら、ここに投稿します。イラストと文を合わせて一つの作品になっていることもあるので、雑誌のような感覚でお楽しみください。
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2020年6月の記事一覧

『ネタバレあり※ 映画レビュー「轢かれて」』

『ネタバレあり※ 映画レビュー「轢かれて」』

本当によくもまぁこんなトリックを思いついたと感心した

およそ90分かけてダラダラとまるで朝礼の先生みたいな風景を垂れ流したかと思えば

ましてや最初の30分は寝てしまいそうだった、うん

伏線、伏線、また伏線

最後の15分にもう呆れるほどの回収っぷり

これいまどきの日本人気に入りますわ未公開だけど

脚本も監督も主演も無名のベラルーシ人が作ったんですってね

もともと木工芸の専門学校でクラス

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『なかに人なんていねえから』

『なかに人なんていねえから』

んでさ、ついでにもうちょっと言わせてもらうとさ

なかによ、ん

なかに

なかに人なんていねえから

わかる?

頼みますから

そういうことは言わないほうがいいの



なかに人なんていねえから

そりゃショーとかイベントとか

そんなのありゃ誰だって夏場、これからの時期

きついのは当たり前だろう



頼みますから

わかる?

こっちは命がけでやってんの

とくに夏場

それをそんな

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『キャラクターいりますかって話』

『キャラクターいりますかって話』

あぁそれとですね、こないだの続きですが

あんまりニッチなのも、やめてもらえませんかね

分銅なんて

どこで活躍するの

いや

実用性の話はしていないし、分銅そのものを否定なんてしていない

キャラクターいりますかって話

はなしよ、はなし

全日本分銅普及連盟でしたっけ

みなさんにはあるいは大変失礼ですが

そんなにね、あの

イベントもないでしょ

普段なにしてりゃいいの、分銅にされた彼

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『頼みますからあんまりかんたんに』

『頼みますからあんまりかんたんに』

顔がテニスラケットだった場合

それは困ります

まず呼吸はどこですればいいんですか

食事もできません

および、感覚器はどこで、どう、研ぎ澄ませばいいんですか

頼みますからあんまりかんたんに

キャラクターを考えないでください

頼みますから

あたしらにだってじんせいがあるんですよ

ちょいちょいと描いてあと生きろってそりゃないでしょう

なかにはそれで一切の報酬を得られないものもいます

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『とうふ』

『とうふ』

その昔は、とうふはとうふ屋に

鍋やら金盥やらに

水を張って

くださいなっていって

買いにいったものでした

という記憶

祖母やら叔母やらがじっさいにそうして

うっすらとした記憶しかないけども

ビニール袋いらないじゃん

それどころかプラ製容器もいらないじゃん

いらないね、うん

でも、仕事帰りにとうふ買ったりできないね

それはそれで困るね

とうふは食べたいし

『国道X号』

『国道X号』

IC

ガソリンスタンド

コンビニ

紳士服店

カーディーラー

カーディーラー

コンビニ

牛丼チェーン店

ファミレス

ガソリンスタンド

田んぼ

ファストフード

ファストフード

書店

空き地

ホームセンター

中古車ディーラー

携帯ショップ

携帯ショップ

ガソリンスタンド

田んぼ

ファミレス

葬祭場

『藻』

『藻』

藻が自宅に遊びに来たら嫌だ

藻は海に居ろ

川に居ろ

藻の居場所は陸にはない

あ、でも

顕微鏡でみると

なにより綺麗な

ミカヅキモ

『大日本末期文学のテーマ』

『大日本末期文学のテーマ』

救いようのないひとたちが溢れていて

偉そうに

自分は

ちょっと離れた高台から

双眼鏡をもって

眺めてる

つもり

だから

彼らの動きはぼんやり見えても

声は聞こえない

ほんとうは何をしているのかも

わからない

ただただ伝わってくるのは

終末感

脈々と続く文明社会につきまとう

終末感

いまさら自分が憂うこともない

終末感

しかし

偉そうに

自分は

眺めて

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『きょうから』

『きょうから』

あ、そう、うんまずね
いちばんたいへんな人から

あのちょっと盛り上がったとこ、土がね
まずそこに一人行って

とりあえず行ってみて
いい、いらない、道具は

まだやらないから

あと

四角とか書いてあって、板埋め込んであるだろ
そこにも一人行って
ふだんはしゃがんでるけど
いいやきょうはとりあえず

あと

白い座布団三つあるから
それぞれその上に立って



左側の座布団と真ん中の座布団の

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『ある蛮族の昼食』

『ある蛮族の昼食』

彼らがこのまちに来て、そろそろひとつきほどが経つ

どこぞの方角から
馬に似た強い脚をもつ動物に乗って来た
老若男女、いずれも大きな一枚布を纏い
髪は剃髪か長髪

遊牧民のようで、争いは求めていなかった

私たちのまちは、一般人でも地球の裏側と即時通信ができる程度には発達している
つまり文明がある、といえる

そんなまちは過密状態ではあるが、幸いちょっとしたスペースがあったので
私たちの首長はキャ

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『パパ偉』

『パパ偉』

俺は愛息を寝かしつけるとき、毎晩自作のポエムを聴かせる

「パパは偉いんだぞ、立派なんだぞ」

そして、復唱させる

「パパはえらいんだぞ、りっぱなんだぞ」

「パパは会社にいって、お金をたくさん貰ってくる」

「パパはかいしゃにいって、おかねをたくさんもらってくる」

「パパがお金をたくさん貰うから、ママや僕はおいしいご飯が食べられる」

「パパがおかねをたくさんもらうから、ママやぼくはおいしい

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『猛禽類』

『猛禽類』

山道、軽トラを走らせていると

ジメジメと鬱陶しい林道の入口に

喜助じいさんの姿

立て看板を持って、杭で埋め込んでいる

"猛禽類に注意"

俺は尋ねた

「じいさん、これ今更」

「そうなんだよ立てろって役場からさ」

「なるほど」

喜助じいさんはちょっと眉をしかめて

「これなんて読むの」

俺は仕事があったので先を急いだ

『マナー』

『マナー』

ボウリングの場合は、自分の身体より後ろにボールを振ってはいけません。

これは後方の席で自分の投球を見守ってくださる方々へ誤って投げてしまわないための気遣いとその意思表示です。

『ツウは塩でいただく』

『ツウは塩でいただく』

ツウは塩でいただく

素材の味を最大限に引き出すために

ナミビア産の岩塩をね

採掘している業者にね

直接買い付けにいってね



日本からトランジット含めて40時間はかかりますが

非常に安くていいものが買えるんですよ

ヘンな商社を通さないから

コレで喰うチキンナゲットは

最高

最悪

ナゲット冷凍のままでもイケる

是非どうぞ