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出会いが間違い

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#小説

蘇る「好き」

蘇る「好き」

「あきとさん、今日はほんとに話してくれてありがとう。」

彼の手を握って、高く握っていた、あきとさんの拳が解れ、私の手を握り返した。

「あきとさん、私は封印してた過去の記憶がいきなり全て戻って、正直焦ってる。今、なんて答えればいいのか分からないっていうのが正直な気持ち。」

「うん、そうだよね。きっと。」

「ごめんね。でも、本当に好きだった。多分、今でも好き・・なのかな?分からない。」

「い

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真実とは?

真実とは?

「全然捕まらないですね。タクシー。」

「だね。さっき店で呼んでもらえばよかったね。まぁ、このあたりのこの時間ってこんなもんだよね。きっと。」

「だね。私、タクシー呼ぼうか?」

「いや、歩こう!」

「え?うん、はい・・。どこか目的地はあるの?」

「いや、ない。笑 なんか、久々に会うから、テキパキできない。ごめん。笑」

「あ、いや。こちらこそ。」

「れいちゃん、大人になったね。って、当た

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初めての手料理

初めての手料理

キッチンへ行くと、

「・・・本当に何もないね。笑」

「でしょ?笑」

あきとさんの冷蔵庫には、

・お酒

・おつまみ系(チーズやハムなど)

・卵

・納豆

・豆腐

・市販の刻みネギ

くらいしかなく・・・。

「どうする?ピザでも頼む?」

「いや、作るよ!お金もったいない!なんか使っちゃダメなのある?」

「ない!お好きに!」

結局私が作ったのは、オムライス。

玉ねぎの代わりに、

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忘れられない夜

忘れられない夜

ーーガチャ。

あきとさんの寝室は、アロマ?お香?の香りがして、

非日常的な感覚になり、自然と、緊張感が増す。

後ろで扉を閉める音が聞こえた。

「ーーーーあきとさん?真っ暗だよ。」

「ごめん、明かりつけるね。」

一気に明るくなり、一瞬視界がぼやける。

「明るすぎ・・・?だね。」

そう言って、リモコンで明かりが薄暗くなった。

ただ立っているのも、なんか違うよな・・・

そう思い、ベッ

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初めてのメール

初めてのメール

翌日のお昼。

彼から初めてメールが来た。

・・・・

昨日はごめん。

情けないけど、記憶が曖昧な部分もあって。

でも、ひどいことしたんだろうなっていうのはわかってる。

泣いてるれいちゃんの顔を鮮明に思い出す。

本当にごめん。

電話してもきっと出てくれないと思うから。

もう、れいちゃんと会う前にお酒飲まないから。

会いたいです。

・・・

メールを読んでしばらく、考えた。

なぜ

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初めてのキス

初めてのキス

30分ほどして、夕飯が部屋に届いた。

「うんまそ!やっぱ和食はいいね〜!」

「温泉では和食ですね!!あきとさん、お酒いいんですか?」

「あ、そっか。泊まるんだもんね。じゃあ焼酎かワインでも飲もうかな。」

「ビールじゃなくていきなり!?」

「大人でしょ。笑 ビールあんまし得意じゃなくて。笑」

「意外〜。どうぞ、飲んでください。」

「じゃ、遠慮なく!れいちゃんは?ノンアルコールで何か頼む

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部屋に露天風呂の意味

部屋に露天風呂の意味

ーーどうしよう。これはお泊り?

ーーそれとも日帰り?

ーーなんか急に緊張してきて話せない。

箱根に到着すると、またコンビニに車を停めて、

あきとさんはタバコを吸いに外へ出た。

しばらくして車へ戻ってくると、

「じゃあ、向かうかー。なんか急に静かじゃない?笑」

「え!いや、別に普通ですよ!!もうあきとさんに任せます!」

「駆け落ちじゃあるまいし。笑 では出発〜」

15分ほど車を走ら

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待ちわびた水曜日

待ちわびた水曜日

水曜日に会う約束をしてから、1日1日がとっても長かった。

私は久々に友人と会って遊んだり、

高校入学〜編入のことを打ち明け、まさに第二の人生を歩もうとしていた。

そして、火曜日。

ーー時間連絡するって言ってたよな・・・こっちからかけない方がいいよな。

時間は流れ、19時。

・・・まさか、忘れられてる?

かけようか、待つか、携帯を握りしめ、落ち着かない様子でいると、

♪〜♪〜♪〜

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ダブルの歓喜

ダブルの歓喜

あれから二週間。

私は高校受験よりも勉強に励んでいた。

高校受験より必死だった。

絶対に這い上がる、と。

そして、夏休みを迎える。

今年もまた暑いらしい。

あー、また玄関前に生きてるか死んでるか分からないセミが転がってて、立ち往生する季節だなー。

周りの友人が夏休みを満喫している頃、

私は全ての誘いを家族旅行と言って断り、

勉強に明け暮れた。

そして、編入試験当日。

3つの公

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初めての助手席

初めての助手席

「ただいま」

「おかえり!ご飯は?もう食べる?」

「うん。ありがとう。その後少し期末試験の勉強するね」

「あら!頑張って!」

「ごちそうさま!ママ、ありがとう。美味しかったよ!」

「じゃあ、勉強、頑張ってね。夜食欲しかったら言って!」

「うん。ありがとう。」

ーーバンドマン、か。

そんなことを、ふと考えつつも、

私は期末試験の勉強に励んだ。絶対に負けない。負けてたまるか、と。

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タバコが生んだ2回目の遭遇

タバコが生んだ2回目の遭遇

次の日。

いつものように7:00に起きて、

学校へ母親のふりをして欠席の電話。

・・・本当に私のことなんて気にならないんだな。

もうかれこれ2週間以上休んでるのに、「大丈夫か?」の連絡もしてこない教師だったんだ。

誰も私のことなんて気にかけてない。

もう欠席の連絡だってしなくても気づかれないんじゃないか。

・・・どこで間違えたんだろう。こんなはずじゃなかったのに。

「おはよう。朝ご

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出会い

出会い

彼と出会ったのは、十数年前。

私が高校生の頃だ。

私立の進学校に通い、

その中でもトップクラスの成績を持つ人が集まる

特進選抜クラスにいた。

男子40人

女子4人

このコースは学年で1クラスしか設けられていないため3年間クラス替えなし。

部活もできず、毎日7時間授業。

一見苦痛そうだけど、

それなりに楽しく過ごしていた。

同じクラスに彼氏もできた。

別棟にある他クラスからも

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立場の違う許されない恋

立場の違う許されない恋

2018年現在。

28歳 OL。

都内のマンション住み。

正直、なかなかいいマンション。

仕事は、都内の某広告代理店勤務。

CMなども担当することが多々あるので、

芸能人の美形に目が麻痺している。

だからと言って、芸能人と付き合いたいとかは思わない。

大抵が、変わり者で、仕事以外で理解し合えることはないから。

こちらからお断りスタンスに見えるかもしれないけど、事実そうだ。

こう

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