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MAEKI
2020年10月21日 03:50
エレベーターを降りると、あきとさんは、「ちょっと待ってて。」と、私をエレベーターホールに残してフロントへ向かった。きっと、部屋をとっているのだろう。普通なら、ーーーどうしよう!一緒に夜を共にする!?泊まる!?と慌てるはずが、ーー部屋、空いてんのかな。ーーあきとさん、明日休み?ーーいや、待て、私、明日仕事だけど、服どうする?ーーてか、このホテルめっちゃ高い
2020年10月19日 04:20
「あきとさん、今日はほんとに話してくれてありがとう。」彼の手を握って、高く握っていた、あきとさんの拳が解れ、私の手を握り返した。「あきとさん、私は封印してた過去の記憶がいきなり全て戻って、正直焦ってる。今、なんて答えればいいのか分からないっていうのが正直な気持ち。」「うん、そうだよね。きっと。」「ごめんね。でも、本当に好きだった。多分、今でも好き・・なのかな?分からない。」「い
2020年10月15日 02:21
「全然捕まらないですね。タクシー。」「だね。さっき店で呼んでもらえばよかったね。まぁ、このあたりのこの時間ってこんなもんだよね。きっと。」「だね。私、タクシー呼ぼうか?」「いや、歩こう!」「え?うん、はい・・。どこか目的地はあるの?」「いや、ない。笑 なんか、久々に会うから、テキパキできない。ごめん。笑」「あ、いや。こちらこそ。」「れいちゃん、大人になったね。って、当た
2020年10月12日 16:44
ほんの数十秒、何も言えず立ち尽くしていただけなのに、その時間が長く感じた。知らないふりをしていいのか、どちらかが沈黙を破らないといけないのか。私は、徐々にあきとさんから目線を外し、その場から立ち去ろうとした。「れいちゃん、待ってよ!」久々にあきとさんに名前を呼ばれて、あの時の記憶が鮮明に蘇る。悲しみと、苦しみと、憎しみと、愛おしさ。涙を瞳に止めておくのが大変だった。
2020年9月29日 03:30
「れいちゃん、覚悟できてる?」「・・・うん」「じゃあ…、見る?」「・・・うん。」「「はっ・・・」」「れいちゃんーーーーー!!!やったね!やったね!!!!おめでとう!!!!」そう、今日は、第一志望の難関私立大学の合格発表日。あれから、本当に死に物狂いで勉強に励み、私は無事合格した。母が涙を流して喜び、私もホッと力が抜けた。いろいろあった高校生活だったけど、これでよ
2020年9月23日 18:45
あれから、あきとさんとは、週に1〜2度会っていた。あきとさんの自宅のときもあれば、外で食事をしたり、映画を見に行ったり。私なりに幸せで。どんどん、あきとさんが好きになっていった。そして、1ヶ月。毎日続いていたメール。週に3度はしていた電話。その日はどちらもこなかった。ーーー仕事忙しいのかな?そう思って、邪魔をしないように、私からも特に連絡しなかった。それから
2020年9月23日 17:54
キッチンへ行くと、「・・・本当に何もないね。笑」「でしょ?笑」あきとさんの冷蔵庫には、・お酒・おつまみ系(チーズやハムなど)・卵・納豆・豆腐・市販の刻みネギくらいしかなく・・・。「どうする?ピザでも頼む?」「いや、作るよ!お金もったいない!なんか使っちゃダメなのある?」「ない!お好きに!」結局私が作ったのは、オムライス。玉ねぎの代わりに、
2020年9月19日 02:44
ーーガチャ。あきとさんの寝室は、アロマ?お香?の香りがして、非日常的な感覚になり、自然と、緊張感が増す。後ろで扉を閉める音が聞こえた。「ーーーーあきとさん?真っ暗だよ。」「ごめん、明かりつけるね。」一気に明るくなり、一瞬視界がぼやける。「明るすぎ・・・?だね。」そう言って、リモコンで明かりが薄暗くなった。ただ立っているのも、なんか違うよな・・・そう思い、ベッ
2020年9月18日 03:06
翌日のお昼。彼から初めてメールが来た。・・・・昨日はごめん。情けないけど、記憶が曖昧な部分もあって。でも、ひどいことしたんだろうなっていうのはわかってる。泣いてるれいちゃんの顔を鮮明に思い出す。本当にごめん。電話してもきっと出てくれないと思うから。もう、れいちゃんと会う前にお酒飲まないから。会いたいです。・・・メールを読んでしばらく、考えた。なぜ
2020年9月18日 02:33
「れーいちゃん!着いたよ!よーーーこそ我が家へ!」「ねぇ・・、なんで家なの?外でご飯食べるんじゃないの?」「んなもん!出前すればいいでしょーー!ねー?さ!上がって〜〜」「・・あきとさん、私、帰る」「・・・・・」「ごめんね。今日のあきとさん、なんか嫌だ。」思わず、泣いてしまって。ただ、あきとさんが酔っ払って、いい気分になった頃に私が都合よく配置させられてる気がして。ー
2020年9月16日 04:09
あれから二週間。私は高校受験よりも勉強に励んでいた。高校受験より必死だった。絶対に這い上がる、と。そして、夏休みを迎える。今年もまた暑いらしい。あー、また玄関前に生きてるか死んでるか分からないセミが転がってて、立ち往生する季節だなー。周りの友人が夏休みを満喫している頃、私は全ての誘いを家族旅行と言って断り、勉強に明け暮れた。そして、編入試験当日。3つの公
2020年9月15日 23:10
「ただいま」「おかえり!ご飯は?もう食べる?」「うん。ありがとう。その後少し期末試験の勉強するね」「あら!頑張って!」「ごちそうさま!ママ、ありがとう。美味しかったよ!」「じゃあ、勉強、頑張ってね。夜食欲しかったら言って!」「うん。ありがとう。」ーーバンドマン、か。そんなことを、ふと考えつつも、私は期末試験の勉強に励んだ。絶対に負けない。負けてたまるか、と。
2020年9月15日 20:18
ジムで汗を流し、シャワーを浴びて、帰り支度をしていた。ーこれからどうしよう。そんなことを考えて、ボーッと窓の外を見た。・・・あれ?ジムの目の前にあるライブハウスから、一人の男性が出てきた。ーーーあきとさん。ジムは3階。ライブハウスは道を挟んで1階。私は、ただただ、あきとさんに目を奪われていた。ーー行動範囲って、こういうことか…。!!!すると、視線を感じた
2020年9月15日 19:29
家に帰ると、姉が帰ってきていた。「れいちゃんーー!久しぶり!もう高校生だね。これ、入学祝い!」「ありがとう。開けていい?」「もっちろん!」CHANELの袋に入っていたのは、薄いピンクのグロス。「ほら。れいちゃんももう高校生だから、グロスくらいからいいもの使わないと!」「ありがとう。」「なんか、タバコ臭くない?まさか・・」・・・!「あー、さっき友達とファミレス