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クランボンツさんによると、人生の8割は偶発的な要素によって決まるらしい

クランボンツさんとは、スタンフォード大学で教鞭をとった心理学者のJ・D・クランボルツ。

昨日、事業所の社長から面談がしたいと急に呼び出され、まさかの「今月で事業所を閉鎖します」通告。思いがけない出来事だったがこれも偶然と考えるしかないな、と思ってはみたものの身体は正直で眠れなくなった(笑)
ぶっちゃけ笑えるような話でもないが、折角なので「偶然」つながりで「計画的偶発性理論」について書こうと思う。


クランボルツが提唱したキャリア理論である、計画的偶発性理論というものがある。「キャリアの8割は偶発的な要素によって決まる」ことを前提とし、将来のキャリアデザインをいくら綿密に行ったとしても、予定通りに進むかどうかは「運しだい」だという理論だ。


個人的には、この理論には大いに共感し、自分の感覚は間違ってなかったのかもしれないと思えた。人生は「運」「偶然」の連続だ。偶然出会った人、偶然目にした仕事。自分では意図しない出来事によって人生が形作られていく。


人はそれを「運命」とか言うが、この際言い方は何でもいい。
人生は意思力で何でも決められると信じたいが、現実は偶然の出来事によって思いもよらぬ方向へ進んでいると思う。



「人生は8割が偶然で決まる」と言うとそれは極端に思えるかもしれないが、人生においては自分の意思や努力が一切干渉できない状況によって、いともかんたんに「運命」が翻弄されてしまう。


だから大抵は、良くも悪しくも「今自分がこんな人生を送っているなんて考えてもみなかった」という結果に終わる人が大半なのは極めて自然な話だろう。


逆を言えば、偶然からチャンスをつかめる人は、見事にガラリと人生を変えることも不可能ではない。私がワンチャンあった人間なので、誰にでも可能性はあると考えている。


話しを戻そう。たとえば会社の役員に昇進することを目指して懸命に働いているとしよう。しかし、役員として用意されているポストはごくわずかである。希望通りのキャリアをつかめるのは、運に恵まれた一握りの人にすぎない。

それに、評価や昇進を決定するのは他人なので「印象のよさ」や「人間関係」などが大きく影響している場合がある。努力して結果を出したとしても、業績が公正に認められて昇進につながるとは限らないのが現実だ。

あるいは、働いたり人と出会ったりすることで興味・関心が変化し、その時点からキャリアパスが変更されることもあるだろう。良くも悪しくも、私たちのキャリアは多くの偶発的な要素によって決定されている

しかし、計画的偶発性理論は、「キャリア形成における偶発性」を認めつつ、「夢は叶わないのだから諦めろ」といっているわけではない。「自分は将来、絶対こうなりたい」という1つの目標に固執して可能性を狭めてしまうのではなく、キャリアは偶然に左右されるものだと割り切り、なるべく良い偶然を引き寄せられるように努めようと提唱するのが、計画的偶発性理論の本質だ。


・世間でいう「キャリア」とは何か

ちなみに「キャリア」という言葉は近年では世間で頻繁に使われる言葉であるが、そもそもキャリアの定義とは何だろうか。



実はこのキャリアという言葉は様々な場面で使われているため、大抵が大雑把なイメージで捉えられ使われていることが多いだろう。キャリアとは、一般に仕事・経歴・就職・出世などのイメージで使われることが多い言葉だが、厚生労働省が提唱しているキャリアの概念(※1)の中には、『時間的持続性ないしは継続性を持った概念』として定義されている。

本来キャリアとは、就職・出世・現在の仕事等の点や結果を指す言葉ではなく、働くことに関わる「継続的なプロセス(過程)」と、働くことにまつわる「生き方」そのものを指している。



つまり、キャリアを積むということは、この仕事の経験を積むという事だけではなく、その仕事に取り組むプロセスの中で、身につけていく技術・知識・経験に加えて、人間性を磨いていくこと、そしてプライベートも含めた自分自身の生き方を磨いていく事といえる。

※1:厚生労働省『キャリア形成を支援する労働市場政策研究会』報告書


・計画的偶発性理論を活かす方法:5つの行動特性を意識する

計画的偶発性理論を活かすには、5つの「行動特性」を意識することが重要だ。以下の5つの行動特性を意識すれば、目の前を通り過ぎようとしているチャンスを逃さず、キャリアを好転させやすくなるはずだ。

1. 好奇心

1つ目の行動特性は「好奇心」。何事にも好奇心を持ち、さまざまなことに挑戦したり多くの場所に足を運んだりすれば、それだけチャンスや出会いが増えるだろう。休日は家に籠もってばかりいるのではなく、新しい出会いや楽しみを求めて出歩くようにするなど、小さなところから始めてもいい。

極端な例ではあるが、知人にオンラインゲームを通して出会い、仲よくなった人の会社に転職した人間がいる。転機はいつどこで訪れるかわからない。常にアンテナを張り、何にでもチャレンジしてみることが大切だ。


2. 持続性

キャリアは計画できない、と散々述べてきましたが、それでも継続的な努力は大切である。「これ」と決めたものには粘り強く取り組んだほうがいいだろう。

たとえば、将来、英語を使った仕事に就きたいと思っているとしよう。しかし、「どうせキャリアは偶発的だから」と英語の鍛錬を怠っていたら、いざ「ニューヨーク支社で働ける人を急募」などのチャンスが巡ってきても、実力が足りずに好機を逃してしまう

いつどんな機会が巡ってきてもいいように、自分の目標に関わる努力はコツコツと続け、力を十分に蓄えておくことは大切である。


3. 柔軟性

3つ目の行動特性が、「柔軟性」。こだわりや理想に固執し、視野が狭くなってしまうと、せっかく訪れたチャンスを見逃しやすくなってしまう。


目の前の出来事や新しい出会いに対し「自分には関係ない」とすぐに決めつけず、さまざまな可能性を探る心構えをもった方がいいだろう。


4. 楽観性

現状や将来に対し、ある程度楽観的なスタンスでいることも大切だ。「なんとかなる」「大丈夫」とポジティブに捉えていれば、未知の世界にも恐れずに飛び込んでいくことができる。

反対に「失敗したらどうしよう」と不安がってばかりいては、積極的な行動を起こすことができないため、キャリアを好転できたかもしれない多くの機会を失ってしまう。計画的偶発性理論においては、偶然の出会いを自ら探しにいこう、捕まえにいこうという積極性が重要なのだ。


5. 冒険心

ほとんどの場合、大きなチャンスにはリスクが伴う。たとえば、満塁時に打席に立ったバッターは、ホームランを打てばヒーローになれる大チャンスを手にしている。一方で、三振してしまえば、観客に失望されてしまうリスクも合わせ持っている。


大きな仕事を任されたときにも、満塁のバッターの例と同じことがいえる。今までにないチャンスが巡ってくれば、誰でも「もし失敗したら……」と恐れずにはいられないだろう。しかし、そこで逃げたり萎縮したりしてしまっては、せっかくのチャンスを棒に振ってしまう。常に冒険心をもち、リスクを恐れず、何事にも果敢に飛び込んでいくことだ。


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計画的偶発性理論は、1つの凝り固まった視点でキャリアを捉えることを脱却し、より柔軟に、より広く可能性を模索することを説く理論だ。「こうじゃなきゃダメなんだ」「こうならなきゃいけないんだ」という思いを強くもっている方は、計画的偶発性理論を学び、新たな視点を取り入れてみてもいいのではないか、と思う一人だ。

クランボルツがこのような理論を提唱する背景には、キャリア(人生も)が、あらかじめ計画したとおりや期待したとおりには決してならないという現実がある。元メジャーリーガーのイチローや大谷翔平のように、小さいころからの夢や目標が実現する人は、ほんの一握りだ。


実際、クランボルツの行った米国の一般社会人対象の調査によれば、18歳のときに考えていた職業に就いている人は、全体の約2%にすぎなかったのである。


そのため、クランボルツは、「将来の職業(仕事・職種)を決める」ことを勧めていない。正確にいえば、当面のなりたい職業を持っていてもいいのが、それに固執すべきではないと主張している。なぜなら、ある職業を目指すということは、いい換えるとほかの職業の選択肢を捨てていることになるからだ。


もし特定の職業にこだわりすぎると、その職業になかなか就けなかったり、実際にその職業に就いてみたものの、自分には向いてないことが分かったとき、途方に暮れてしまうことになる可能性がある。


たとえば、本当は自分がやりたいと思っていた仕事ではないけれど、上司などから「この仕事をやってみないか」といわれたら、無碍に断るのではなく、「自分の新たな可能性を試すチャンスだ」と考えて、積極的に引き受けてみるのもいいだろう。その結果、思いもよらなかった仕事が、実は自分にとって「天職」と感じられるほど大好きな仕事だと分かるかもしれないからだ。

クランボルツ自身、若いころにテニスに熱中しすぎたため、大学3年からの専攻分野をなかなか決められなかったそうだ。そこで、テニスのコーチに相談したところ、コーチはたまたま心理学を専攻した人だったため、クランボルツ氏に心理学を勧めたとのこと。同氏は、その提言に素直に従い、いまでは世界的に著名な心理学者となった。


彼は「心理学の世界に偶然足を踏み入れ、心理学者になった私ですが、いまではこれが自分にとっての最高のキャリアだと確信しています」と述べている。

実際の話として、偶然の出来事への感度が高くなればなるほど、無意識的に望んでいることを実現しやすくなると思う。人生ふと起こる偶然の出来事。それが起こったことそれ自体はただの偶然のことのように思える。しかしそれがチャンスだと気づけるか、が重要だと思う。

そこに偶然をチャンスに変える機会が潜んでいることは知っておいて損はない。なぜならその何気ない出来事にこそ、そのさきに「劇的」な変化が起こる可能性があるからである。

偶然出会った人。偶然目にした記事。形は様々だが、心に「ピン」と来る何かがあったなら、その何気ない偶然がこれからの人生を変える可能性があるかもしれない。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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