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観後寸評

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観た映画で感じたことを綴っています。 好きな監督はキューブリックで、好きな作品も2001年宇宙の旅。 A4用紙1枚程度で、800〜1000字程の感想文です。
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エイリアンの新作映画は今回もラストのどんでん返しが‼️「エイリアン:ロムルス」

エイリアンの新作映画は今回もラストのどんでん返しが‼️「エイリアン:ロムルス」

映画(エイリアン:ロムルス)

エイリアンの新作映画です。シリーズ物というよりスピンオフという表現もありますが、個人的には1作目のエイリアンのビジュアルが強烈すぎたので、2作目も期待して観ましたが、大量のエイリアンが発生するシーンを観て食傷気味になり、その後の3と4は観ませんでした。

その後「コヴェナント」で再び観だして、続けて今回も観るようにしましたが、1作目と2作目を合わせたような作品とのコ

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何度も観た‼️ウォン・カーウァイ監督香港映画の名作「花様年華」

何度も観た‼️ウォン・カーウァイ監督香港映画の名作「花様年華」

映画(花様年華)(長文失礼します)

午前十時の映画祭14で観たウォン・カーウァイ監督の映画です。実はこの映画、テレビも含めると4、5回は観ていると思います。チャイナドレスを何着も着こなすマギー・チャンの美しさが何とも印象に残っていますが、何回も観ると最初は気づかなかった、ディテール(細部)が徐々にわかってきます。

上記の映画祭で取り上げられるぐらい有名作品で、観られた方も多いと思いますので、敢

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上映時間4時間‼️のドキュメンタリー映画「至福のレストラン 三つ星トロワグロ」

上映時間4時間‼️のドキュメンタリー映画「至福のレストラン 三つ星トロワグロ」

映画(至福のレストラン 三つ星トロワグロ) 

ミシュランガイドの三つ星レストランであるフランスの「トロワグロ」の調理や接客の様子を撮ったドキュメンタリー映画です。フレデリック・ワイズマン監督の特徴であるノーナレーションの長時間映画の今回のテーマはレストランで、その上映時間は4時間(240分)にも及ぶ長編で、途中休憩が入ります。

冒頭はフランス中部に位置するロアンヌ駅前の野菜の朝市から始まります

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中華風家庭料理の名店を撮ったドキュメンタリー映画「キッチンから花束を」

中華風家庭料理の名店を撮ったドキュメンタリー映画「キッチンから花束を」

映画(キッチンから花束を)

東京・南青山の中華風家庭料理店「ふーみん」の軌跡を追ったドキュメンタリー映画です。店名は店主の斉風瑞(さいふうみ)さんの名前から取ったもので、斉さんは若い頃美容師をやっていましたが仕事に対する自信がなく、そうした時に家庭で友人に振舞った家庭料理が好評で、「自分たちだけで味わうのは勿体ない」という友人の言葉に押されて、お店を始めたとインタビューで語っていました。

当初

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濱口竜介監督の新作映画の結末は暗示的⁉️「悪は存在しない」

濱口竜介監督の新作映画の結末は暗示的⁉️「悪は存在しない」

映画(悪は存在しない)(ネタバレありです)

濱口竜介監督の新作映画は、ベネチア国際映画祭で銀獅子賞受賞の話題作です。オープニングは森を見上げるカメラワークと重厚な音楽から始まり、次に主人公の男性が雪に覆われた自宅の庭先で薪を割るシーンが続いて、寡黙な映像が流れます。
これまで観てきた同監督の「偶然と想像」や「ドライブ・マイ・カー」などと比べるとひたすら寡黙で、見ている方も戸惑う程です。その後もし

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原爆の父の栄光と挫折を描いたアカデミー賞受賞映画「オッペンハイマー」

原爆の父の栄光と挫折を描いたアカデミー賞受賞映画「オッペンハイマー」

映画(オッペンハイマー)(ネタバレあり。長文失礼します)

今年のアカデミー賞で作品賞など7部門を受賞した話題の作品です。私も遅ればせながら観て来ました。原子爆弾を開発し、原爆の父と言われた物理学者のオッペンハイマー博士を描いた映画で、180分の力作です。同氏の伝記を映画化してその生涯を描いていますが、実話に基づく映画製作は、クリント・イーストウッド監督が有名です。ただこの作品はそれとは違った作風

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切なすぎるラブストーリーの韓国映画「パスト ライブス/再会」

切なすぎるラブストーリーの韓国映画「パスト ライブス/再会」

映画(パスト ライブス/再会)(ネタバレあり。長文失礼します)

24年ぶりに再会した男女を描いた韓国映画です。最近の韓国映画は「パラサイト 半地下の家族」や「ベイビーブローカー」などの特徴あるテーマの作品や、「あしたの少女」や新作の「ビニールハウス」など社会問題を鋭く追及するハードな作品が多くみられますが、今回は、韓国で生まれアメリカで活動するセリーヌ・ソン監督による男女の恋愛映画となっています

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染五郎の大凧宙乗りが圧巻‼️二月花形歌舞伎「博多座」

染五郎の大凧宙乗りが圧巻‼️二月花形歌舞伎「博多座」

歌舞伎(二月花形歌舞伎)(一応ネタバレありです)

福岡市の博多座2月は毎年恒例の歌舞伎公演で、今回は松本幸四郎と市川染五郎が2枚看板の親子競演です。今や團十郎(旧海老蔵)を凌ぐ「歌舞伎界のプリンス」と言われる市川染五郎ですが、私も様々なメディアで見ながら注目していました。

実は実家の姉が染五郎のファンで、華があり若いながら色気もある久しぶりの逸材と褒めており、今回博多座に初登場するので観に行き

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正統派フランス料理のエッセンスを観た映画「バベットの晩餐会」

正統派フランス料理のエッセンスを観た映画「バベットの晩餐会」

映画(バベットの晩餐会)(ネタバレありです)

午前十時の映画祭で観た食をテーマにした映画で、この映画祭での上映リストに入るぐらいですから、もはや名作といえる作品です。実は先日「ポトフ 美食家と料理人」を観たばかりで、同じ食をテーマとした映画ということもあり、比較しながら観ることにしました。

物語はデンマークの片田舎で暮らす牧師の娘である姉妹の元に、フランス革命で追われたバベットが使用人として住

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ウディ・アレンの新作映画は名作へのオマージュ満載‼️「サンセバスチャンへようこそ」

ウディ・アレンの新作映画は名作へのオマージュ満載‼️「サンセバスチャンへようこそ」

映画(サン・セバスチャンへ、ようこそ)(ネタバレありです)

ウディ・アレンの新作公開映画は、敬愛する映画へのオマージュが全編に散りばめられた作品になっています。完成は2020年で、大学で映画を教えていた主人公が、映画の広報の仕事をしている妻と、スペインの観光地、サン・セバスチャンで開催される映画祭へ行くというストーリーで、その期間中の当地での滞在ぶりを描いています。

妻が同行して取材を受ける映

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今年1本目の映画は小津監督へのオマージュ「PERDECT DAYS」

今年1本目の映画は小津監督へのオマージュ「PERDECT DAYS」

映画(PERFECT DAYS)(敬称略)(ネタバレありです)

ヴィム・ヴェンダース監督の新作映画は、主演の役所広司がカンヌ国際映画祭で男優賞を受賞した作品です。この映画、監督を招聘したプロデューサーがユニクロの創業家出身(社長の次男)で話題になり、多くのメディアで紹介されました。私も今年初の映画として観ることにしました。

物語は東京の公衆トイレ清掃員である主人公の繰り返される日常を描いていま

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フィンランドの建築家アルヴァ・アアルトのドキュメンタリー映画(^^)

フィンランドの建築家アルヴァ・アアルトのドキュメンタリー映画(^^)

映画(アアルト)

フィンランドの建築家、アルヴァ・アアルトのドキュメンタリー映画です。近代建築の3大巨匠(コルビュジェ・ライト・ミース)以外でも、建築学科の学生が受ける講義では必ず登場する著名な建築家で、私自身も大学生の頃、初めてその名を知りました。
今回は様々な関係者のインタビューでの証言や、本人のラジオインタビューでの肉声、さらにプライベートな映像も含めて、その生涯を忠実に再現したドキュメン

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1966年公開の名作フランス映画「男と女」(^ ^)

1966年公開の名作フランス映画「男と女」(^ ^)

映画(男と女)

午前十時の映画祭で観たルルーシュ監督の名作です。1966年公開ですから、もう半世紀前の映画になります。私も若い頃に観ましたが、記憶にあるのは有名なベッドシーンと子供たちと戯れる海辺のシーン。あとジャン・ルイ・トランティニャンが演じた主人公の職業がカーレーサーだったぐらいです。勿論フランシス・レイの音楽は覚えていますが。

この映画もあまりにも有名なので、ネタバレありの注釈はなしに

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映画業界のハラスメントの実態を描いた映画「アシスタント」

映画業界のハラスメントの実態を描いた映画「アシスタント」

映画(アシスタント)(ネタバレありです)

映画プロヂューサーのアシスタントである女性の職場を描いた映画です。誰よりも早く出社して社内の電気を点け、帰りも会社の電気を消して帰宅する毎日で、絶対的なボスの元での過酷な仕事の実態が描き出されています。 

絶対的な映画プロヂューサーというキャラクターは、#Me Tooのきっかけを作ったニューヨーク・タイムズの女性記者を描いた「SHE SAID」を彷彿と

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