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「母さんのお祭り」詩


三月は ひな祭り
母さんが 大好きな季節

ひな祭りの唄を 口ずさんで
古びた ひな人形を 飾る

「どうして 女の子の
お祭りなのに ひな人形飾るの?」

「かあさんの お祭りだからよ」

ひな人形を 飾っている時の
母さんは とても 幸せそう
まるで 近所の 若いお嫁さんのように
心と指先と声が 弾んでた

その穏やかな 笑みは
緋毛氈(ひもうせん)の上で ころがり
どの 人形の顔にも
母さんの 微笑みが 浮かぶ

お雛(ひな)様は 優しい笑顔
お内裏(だいり)様は
きりりと凛々しい 目元

三人官女は 白いお化粧で
おすまし顔

五人囃子(ばやし)は
いまにも
太鼓 笛 つつみを
心よさげに 奏でそう

お供えは 
橘(たちばな)と桃の花

ボクのために 特別に 
ひなあられも 供えてくれる

母さんが 筆を使って
人形の顔の きれいにするのを
お手伝いする

「ぼうや そぅーっとね
やさしく やさしく やるのよ」

春の音が 部屋の中で踊り
桃の花の 香りが 母さんを
包み込む

幾たびか 春が巡り
母さんは 逝ってしまった

一人 ひなあられを つまんで
「ひな祭りの唄」を
籠の中の 文鳥と一緒に
ハモってみる

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