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うまいこと他人には言えないような心の機微を一つひとつ摘み取って並べてできたもの。
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#詩のようなもの

こころ(詩のようなもの)

こころ(詩のようなもの)

悲しいときに泣けなかった。
その〈悲しみの余白〉は
いったいどこへ向かうのでしょう。

怒れなかったときの〈怒りの余白〉は?
喜びたかったときにできなかった
〈喜びの余白は〉?

そんなものを持て余しているから
わたしはこんな風に詩のようなものを
書いているのかもしれない。
ある人は歌を歌い、
ある人は絵を描くのかもしれない。

感じたものは感じたままに
受け止められてはじめて
成仏するとわたしは

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くもり時々炭酸シャワー

くもり時々炭酸シャワー

なりたかった私はどこへ
手を伸ばした瞬間
いつもシュワッと消えてゆく

「今日の天気はくもり時々炭酸シャワー。
お出かけの際はカッパを忘れずに。
弾けて消えないようご注意ください」

何人もの私を見送ってきただろう
これが最後なんて決められなかった
こわかったのは私
どんな自分にも自信がなかった

でもほら空を見上げると
浮かんだ泡の数だけ“夢”が
出会いと別れみたいに
くっついたり離れたりしなが

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詩「杞憂」

詩「杞憂」

大切なものが増えて臆病になった

手の届くところにいないと
憂いはなんて果てしなく
その先には一番見たくないシナリオ

失うことを恐れる心が
なにかを必死で守ろうとする

だって私は弱いから
愛する人を守れなかったら
いつまでもいつまでも後悔するでしょう

ひとたび哀しみの津波に飲み込まれたら
きっともう浮上できない
私の時計は完全に止まってしまう

雪が解けて 春が訪れても
ずっと水の底
止まっ

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詩「枯葉たちの音」

詩「枯葉たちの音」

パチパチパチパチ……

枝から離れた枯葉たち

パチパチパチパチ……

肩や背中をたたき合いながら

くるくるくるくる落ちてゆく

パチパチパチパチ……

“今年もお疲れさまでした”

“また次の春に 
新芽になって会いましょう”