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Hint(まどろみ文庫)

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#アニメーション

【随想】短編アニメ『ふしぎなエレベーター』山村浩二

【随想】短編アニメ『ふしぎなエレベーター』山村浩二

このエレベーターの既視感(異世界への扉が開いた時の高揚感)は、
ナルニア国か、それともインセプションか…

少年がD団地の53階の一室で、ハーモニカを吹いている。
掃除をしている母親は、少年を邪魔者扱いする。
少年は靴をはいて、外へと出かけた。
エレベーターで1階まで降りようとすると、エレベーターが止まらない。
どんどん下降し続けて、地下へ地下へと降りていく。
ようやく止まったその階は、木々や蔦の

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【随想】短編アニメ『夜行バス/Night Bus』ジョー・シェ

【随想】短編アニメ『夜行バス/Night Bus』ジョー・シェ

そうそう、これが見たかった。
『夜行バス/Night Bus』
数々の賞を受賞した話題作。
今なら下記のサイトで10月31日にまで無料(要登録)で見られます。

監督は、台湾のJoe Hsieh。
全編に漂う何とも言えない不穏な空気感が堪らない。
そして次に何が起こるか分からない、先の読めないサスペンス的なストーリー展開も堪らない。
それにしても、パペットアニメーションはなんでこんなにも不気味なん

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【随想】気になる個人アニメ作家三選①

【随想】気になる個人アニメ作家三選①


ニヘイサリナ

異国情緒。なんだか藤田嗣治を思わせますね。
抑制された線と色。
ふいに訪れる唐突な展開と機敏なモーション。
繰り返される静と動の明らかなる猟奇性に、
知覚と感性がかき乱されること間違いありません。
公式HPには、他にも色んな作品が載っていますが、『Rabbit’s Blood』が一番最初にショックを受けた作品でした。

山田遼志

『ハンター』という作品が一番分かりやすいですね。

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【随想】映画『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』コリン・トレボロウ

【随想】映画『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』コリン・トレボロウ

満足のいく出来でないことははなから分かっていた。
それはワールドで監督が変わってから分かっていたことである。
見たいものは、自分で作るしかない。
それは、ウー博士がカエルの遺伝子で恐竜を作り出したように。
コリントレボロウやバヨナがワールドを作り出したように。
そう非難するところを探しても仕方ない。
今回は純粋な恐竜ファンとして、出てくる恐竜たちを何種類か振りかえることにする。

【ギガノトサウル

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【随想】短編アニメ『The Basketball Game』ハート・スナイダー

2011年
ハート・スナイダー監督の『The Basketball Game』を視聴。
5分の短編アニメーション。

画割りが素晴らしい。
基本的には、ナレーションによる語りが
物語を推進する力になっているが、
映し出される画は、それを補足するような
説明的な画ではない。

アメリカンコミック越しの少女の笑顔。
2本の蝋燭の火。
バスの扉の開閉。
キャンプ場の机を這う蟻。
対戦相手の顎髭。

画は

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【随想】短編アニメ『Altötting』アンドレアス・ハイケード

【随想】短編アニメ『Altötting』アンドレアス・ハイケード

2020年
アンドレアス・ハイケード監督の『Altötting』を視聴。
11分の短編アニメーション。

南ドイツバイエルン州アルトエッティング。

慈悲の礼拝堂(グナーデンカペレ)では
死者の土葬が行われている。

司教は新たな十字架を木の枝から切り落とす。

乳母車を押して訪れた女性。
女性は自ら十字架を背負う。

乳母車に残された少年は
おくれて一人礼拝堂の中へと入っていく。

礼拝堂の中に

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【随想】短編アニメ『話の話』
              
            ユーリー・ノルシュテイン

【随想】短編アニメ『話の話』 ユーリー・ノルシュテイン

不思議なタイトル
形而上的な話を予感させる

灰色オオカミが来るぞと
子守歌

赤ちゃんが眠っている
みずみずしい青りんごの絵

スケッチ、実写エレメント、スチールコラージュの
異世界ハーモニー

時間と場所、空想と現実が
光の中で入り混じる

洗濯をしながら乳母車を押す女性
飼い牛と縄跳びに興じるおてんば娘
筆が進まず飼い猫に叱られる文筆家
一家の大黒柱である漁師
人々の生活、日常が活写される

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【随想】『From the Big-Bang to Tuesday Morning』クロードクルーティエ

【随想】『From the Big-Bang to Tuesday Morning』クロードクルーティエ

2000年
クロードクルーティエ監督の『From the Big-Bang to Tuesday Morning』を視聴。
6分の短編アニメーション。

ビッグバンから火曜日の朝までを
ぎゅぎゅっとたったの6分間にまとめてみました。

さて、いかがでしょうか。

はい、もちろん、
ビッグバンは誰も見たことがありません。

抽象アニメーションで爆発、原子、粒子を表現します。

それらはやがてズームイ

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【随想】 短編アニメ『George and Rosemary』デヴィッド・ファイン&アリソン・スノーデン

【随想】 短編アニメ『George and Rosemary』デヴィッド・ファイン&アリソン・スノーデン

1987年
デヴィッド・ファイン&アリソン・スノーデン監督の『George and Rosemary』を視聴。
9分ほどの短編アニメーション。

30年以上前の作品であるが、古さは感じない。
かわいらしいタイトルオープニング。

カット割りではなくメタモルフォーゼで
シーン展開できるのがアニメーションの魅力。
語りに合わせて絵が移り変わる。

ある家に猫と男性が住んでいた。

男性はボトルシップを

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【随想】短編アニメ『Blackberry Subway Jam』ロバート・ドゥーセ

【随想】短編アニメ『Blackberry Subway Jam』ロバート・ドゥーセ

1989年
ロバート・ドゥーセ監督『Blackberry Subway Jam』を視聴。
8分半の短編アニメーション。

色鉛筆水彩のような背景が美しい。

キャラクターが話をするとき、
顔から眉毛が離れるような誇張表現は、
最近ではあまり見かけなくなった。

さて、どんなストーリーか。

ある一軒家に住む親子。
母親が息子のジョナサンに留守番を命じて出かける。

ジョナサンがリビングにいると、

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【随想】短編アニメ『Bus Story』タリ

【随想】短編アニメ『Bus Story』タリ

2014年
タリ監督の『Bus Story』を視聴。
11分の短編アニメーション。

柔らかいペンタッチの
デフォルメされたイラストアニメーション。

主人公の女性は、
スクールの送り迎えをするバスの運転手を夢見ている。

「MAGASIN GENERAL」のストアオーナー「キラー」に雇ってもらった主人公は、
晴れてバスの運転手となる。

早速バスに乗って運転をしてみると、クラッチが思うように動か

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【随想】短編アニメ『Balablok』ブジェチスラフ・ポヤール

【随想】短編アニメ『Balablok』ブジェチスラフ・ポヤール

1972年
ブジェチスラフ・ポヤール監督の『Balablok』を視聴。
7分半の短編アニメーション。

わかりやすく面白かった。

立方体たちが暮らす街に、ある日球体が紛れ込む。
立方体たちは少数派である球体を珍しがり、
転がしたりバウンドさせたりして楽しんでいたが、そこに他の球体たちがやってくる。
数で立方体を上回った球体たちは、仕返しに立方体たちをサイコロのように転がして遊ぶ。
やがて仕返しの

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【随想】短編アニメ『ある1日のはじまり』アマンダ・フォービス&ウェンディ・ティルビー

【随想】短編アニメ『ある1日のはじまり』アマンダ・フォービス&ウェンディ・ティルビー

1999年制作
アマンダ・フォービス&ウェンディ・ティルビー監督の「ある1日のはじまり(When the Day Breaks)」を視聴。
9分半の短編アニメーション。

鶏の男性の優雅な朝食。
トースターで焼いた食パンをかじりながら、
魚、レモン、スープ、ビスケット…
これから何を買いに行こうかと考えている。

鶏の男性は、ハットをかぶって買い物へと出かける。

別の家では、豚の女性がこちらも朝

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【随想】短編アニメ『Hen, His Wife』イゴール・コバリョフ

【随想】短編アニメ『Hen, His Wife』イゴール・コバリョフ

1990年制作
イゴール・コヴァリョフ監督の「Hen, His Wife」を視聴。
13分ほどの短編アニメーション。

とあるマンションの一室。
エプロンとピアスをしたホクロの多い白い女性が、慌ただしく家事をしている。

アームチェアには青い男性。
白い女性が運んでくれたコップには目もくれず、本を読んでいる。
背もたれにはペットの人面芋虫が横たわる。

白い女性は青い男性のために足湯を用意する。

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