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Hint(まどろみ文庫)

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2023年2月の記事一覧

【随想】『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』ブレイディみかこ

【随想】『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』ブレイディみかこ

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』
を読んだ。

Yahoo!ニュース|本屋大賞 2019年ノンフィクション本大賞の受賞作だそう。

英国在住の著者が、
現地の元底辺中学校へと通う息子との日々(1年半の出来事)を綴った珠玉のエッセイ。

構成がいいなと思ったのは、
息子がノートの端に「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」と書いた時の話。
ざわっと心が騒いだ。

それと、リアーナ

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【随想】小説『チルドレン』伊坂幸太郎

【随想】小説『チルドレン』伊坂幸太郎

チルドレンを読みました。
短編が5つ入っています。

①バンク
②チルドレン
③レトリーバー
④チルドレンⅡ
⑤イン

どのお話も小気味好くまとまっていて、面白かったです。

バンクは、サスペンス
チルドレンは、ミステリー
レトリーバーは、日常不思議系
チルドレンⅡは、ハートフル系
インは、日常まったり系

といった感じでしょうか。

一番ぐっときたのは、④かな。
どの物語にも登場するトリックスタ

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【随想】小説『あるキング』伊坂幸太郎

【随想】小説『あるキング』伊坂幸太郎

こういう物語もあるのか。
今までに読んだことのない読み口の、不思議な小説である。
物語のカタルシスも、キャラクターの成長や葛藤もない。
あるのは、ただ1人の天才バッター山田王求の、0歳から23歳までのヒストリーである。

Fair is foul, and foul is fair.
―――『マクベス』ウィリアム・シェイクスピア

この小説のテーマが、繰り返し繰り返し描かれる。
天才バッターの生涯

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【随想】小説『スペードの3』朝井リョウ

【随想】小説『スペードの3』朝井リョウ

さてと、
とりま、
朝井リョウ。
ゆとり世代の代弁者。

『スペードの3』を読みました。
通称「スぺ3」…大貧民(もしくは大富豪)で単独でジョーカーより強い最強カード。

『何者』よりも後の作品なんですね。
2014年の作品。

最初は、とっつくいテーマかなと思っていましたが、
読んでみると意外や意外、いつも通りの朝井節で、
共感と毒のオンパレードに、一気読みすることができました。

物語は3章立

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【随想】小説『掏摸(スリ)』中村文則

【随想】小説『掏摸(スリ)』中村文則

中村文則氏の、
『掏摸』を読んだ。

大江健三郎賞の受賞作らしい。
聞いたことがなかったが、大江健三郎一人によって選考され、2007年から2014年の間で計8回行われた賞という。
知らない作品ばかりだ。

中村文則氏の本は、『銃』を読んで以来。
だいぶ久々である。
どんな本であったか、引っ張り出してパラパラとめくってみると、
こちらの方が『掏摸』よりも文章は読みやすいと感じた。
主人公の内面描写が

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【随想】小説『ゴールデンスランバー』伊坂 幸太郎

【随想】小説『ゴールデンスランバー』伊坂 幸太郎

ゴールデンスランバー読みました。
伊坂幸太郎は色々途中まで読んでうっちゃってしまっているものが多く、これはどうであったか。
読み返しても、中身を思い出せないから、きっと読んでいなかったのだろう。
本屋大賞と、山本周五郎賞を受賞しているらしい。
2007年の作品。16年も前か。

タイトルは、ビートルズの同名曲から。
邦訳で「黄金のまどろみ」
元ネタは、トマス・デッカーの子守唄である。

次の歌詞が

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【随想】小説『夜行観覧車』湊 かなえ

【随想】小説『夜行観覧車』湊 かなえ

夜行観覧車
再び湊かなえ。
2010年、今から13年前の作品。
作者にとっては5作品目。
導入から、目が離せなくなる語り口は、さすがである。
ひばりヶ丘は、どこがモデルだろう。
坂の上、坂の下。
格差を描く所を見ると、
『パラサイト 半地下の家族』を思い出す。
いや、坂が印象的な映画と言えば、
ナホンジンの『チェイサー』か。
ストーリーは、読み始めた時と、読み終わった時とで、
だいぶ想像とは、異な

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