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事業再生の実際

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実体験として事業を再生した経験に基づいて、その時に得られた学びや実際の出来事について書きます。
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事業再生のこと−40

事業再生のこと−40

どうして苦境に立たされているのか?
まずはその理由について考えてみましょう?
事業が苦行になる理由は幾つかありますが、そのほとんどは収益が上がらないことだといえます。
では収益が上がらない理由は何でしょうか?
現在のような状況では単に「不況」のせいにしてしまう人は多いと思いますが、ならば「不況」とはどういう状況を指すのでしょうか?

●時代の変化のリスクはいつでも存在する

不況は10年に一度やっ

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事業再生のこと−39

事業再生のこと−39

●コミュニティが企業を支える

これからの企業経営で大切なものは、一つはファンコミュニティだと考えます。
企業の信頼度の指標を企業側がいくら数値やグラフで示したとしても、
その数値をユーザーが実感できるわけではありません。
本当にユーザーが実感できるのはそこに「体験」が伴った時ではないでしょうか?
企業ブランディングは短期間で成立してゆくものではありません。
現在のような投資型の成長を企業に求める

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事業再生のこと−38

事業再生のこと−38

●広報宣伝の効果

グラフィックデザイナーをしていた時、自分たちの仕事の支払いが各クライアントの「広報宣伝費」から捻出されていることは分かっていましたが、実際のところ広報宣伝費がどこからどうやって捻出されているかはあまり分かっていませんでした。
ただ、広報宣伝の仕事が企業全体の売上に関係していることはわかります。
ではどのように関連しているのでしょうか?また、広報宣伝費は売上の何%位使えるのでしょ

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事業再生のこと−37

事業再生のこと−37

●実際に起こった問題について

「バブルの崩壊」

最初に起こったのは「バブルの崩壊」。
前兆はありました。
私はその頃グラフィックデザインの仕事をしていて、大手上場企業の入社案内などのリクルート関連の制作物を作っていました。
平成元年に独立した頃はまだバブル景気が残っていました。
皆が浮かれてボーナスの額は跳ね上がり、DCブランド花ざかりで数万円もするジャケットやボディコンのドレスを身にまとい皆

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事業再生のこと−36

事業再生のこと−36

実際に再生をしている私たちの現実をお話ししたいと思います。
2011年に開業したカフェを事業転換して菓子製造販売に集中し、順調に事業を拡大してきました。
現在の私たちは事業拡大のための岐路に立っています。

●決断すること

「決断する」と言ってもポジティブな決断だけではありません。
ネガティブな「決断」もやはり決断には違いありません。
皆さんは現在の景気の動向をどう予測しているでしょうか?
円安

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事業再生のこと−35

事業再生のこと−35

ここからは近未来の話。
つまり私たちのこれからの事業活動について書きましょう。
皆さんもこの3年は激動の日々だったと思います。
感染症の蔓延による顧客の喪失、他国の侵略戦争による円安、物価高による経営の圧迫。
残念ながら来年にかけてこの状況が好転するとは考えづらい状況です。

●デジタル化による経済の変化

日本のデジタル庁もようやく動きそうな気配ですが、
しかし、まだまだ公共サービスの分野での導

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事業再生のこと−34

事業再生のこと−34

駅ナカでの催事出店が最良の方法だと考えた理由はいくつかあります。
私たちの店舗周辺の商圏はすでに私たちが望んでいる商圏ではなくなっていました。店舗は移動できません。だったら私たちが私たちに合った商圏に出向くしかない。その方法として「駅ナカ」での催事を選びました。

●駅ナカという商圏の特性

「駅ナカ」という立地は商圏として幾つかの条件が整っていました。
●私たち出店者側が準備しなくても
クライア

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事業再生のこと−33

事業再生のこと−33

マクロな話がメインになってしまっているので、
もう少し地面に足がついた話に戻して書いてゆきたいと思います。

年商160万円程度の零細事業をどのようにして立て直したのかについて、
順を追って説明したいと思います。
2019年、私たちは二つの事業を行っていました。
一つは2007年より始めた「レザークラフトスクール」の事業。そしてもう一つは2011年より始めた「カフェ」の軽飲食の事業。
レザークラフ

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事業再生のこと−32

事業再生のこと−32

小さな会社に出来ることは限られています。
現在小規模事業者は6万件を超え、全体の99.5%は中小企業だと言えます。
年商が5,000万円程度の会社で事業転換しなければならなくなった時、それにかかる費用は馬鹿にならない金額になるでしょう。

●事業の転換に必要な費用

●売上高-外部コスト=限界利益
●限界利益-固定費=経常利益(限界利益×20%)

例えば事業転換のために海外向けのECサイトを立ち

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事業再生のこと−31

事業再生のこと−31

コロナ禍の中で助成金、補助金、低利融資などを受けた
事業者の方は多いと思う。
しかし、それらの融資を受けて業績は回復しただろうか?
「事業を維持する」ためだけにそれらの資金を使ってしまった方が多いのではないだろうか?
ようやくインバウンドが戻ってきて、
インバウンド向けに新商品やサービスを開発しようとしても
以前苦労して申請した資金は底をついている、
ということになっていないだろうか?

●手に入

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事業再生のこと−30

事業再生のこと−30

事業再生について書いていたはずが、
ほとんどがリスクヘッジの内容になりつつある。
これだけ急激な不況が続いて、
まだこれからも大きな不況が待ち構えている時に
どうやってリスクから回避するかは中小事業者にとっては死活問題だからだ。
不況になった時、中小事業者がまず手がけるのは「仕事を確保する」こと。
確かにそれは必要なことだが、
もっと大事なことは「利益を確保する」ことだろう。
仕事が増えても利益を

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事業再生のこと−29

事業再生のこと−29

準備できることから準備しよう。
まず、マーケットを見直そう。
これまで売れていたマーケットが売れなくなっている。その原因は何だろう?
マーケットの劣化・・・顧客層の高齢化。これまで購買していた顧客が購買しなくなった。他のマーケットに顧客が移動した。販売している商品がマーケットとズレてきている。顧客の購買頻度が減った。
今起きているマーケットの変化はユーザーが不況に備え始めたのが一番大きな原因だろう

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事業再生のこと−28

事業再生のこと−28

経営計画を作ったことがあるだろうか?
はじめて経営計画書を作ったのは前身であるカフェを開業するとき。
最初の経営計画書には創業に必要な融資を勝ち取るためだった。
ものすごく厳密に必要経費を算出して、経費項目だけで3ページに及んだ。
読まされた人たちはたまったもんじゃない。
売上目標、必要経費、仕入れ、ランニングコスト、消耗品、光熱費etc.
思いつく限り全部書き出した。
それでも、この事業は三年目

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事業再生のこと−27

事業再生のこと−27

最近、事業再生についての相談が多くなった。
誤解されているかもしれないが、私は事業再生のコンサルティングをしているわけではない。
確かに多くの人たちや事業主が窮地に追い込まれて苦しんでおられる。
そういう相談を受けるとかつての自分たちのことを思い出して
何とか助けになればとは思う。
しかし私はそういう相談に対してコンサル料金は請求はしていない。
ただ、デザイナーとしてやプランナーとして実費が発生す

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