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事業再生のこと−32

小さな会社に出来ることは限られています。
現在小規模事業者は6万件を超え、全体の99.5%は中小企業だと言えます。
年商が5,000万円程度の会社で事業転換しなければならなくなった時、それにかかる費用は馬鹿にならない金額になるでしょう。

●事業の転換に必要な費用

●売上高-外部コスト=限界利益
●限界利益-固定費=経常利益(限界利益×20%)

例えば事業転換のために海外向けのECサイトを立ち上げようとするなら
最低でも約60万円必要になることになります。
しかし、海外向けECサイトの立ち上げに必要な費用はサイトの制作費だけではありません。海外向けECサイトの運営のために専任の従業員が最低でも1名必要になるでしょう。
パートタイマーとして1日3時間の就業として時給1,800円としても1日5,400円。1週間のうち4日就業して1ヶ月で86,400円。年間で100万円を超える人件費が必要です。

これに海外への配送作業。貿易事務に関する費用、通関書類・輸出通関手続きに関する費用、事務作業など様々な作業が必要になり、場合によってはそれらを管理する部門を立ち上げる必要が出てきます。

●海外への進出

海外マーケットへの進出に関しては貿易という方法だけではなく、
「現地生産」という方法も考えられます。
現地生産に関しても様々なリスクが内在しています。
ロシアがマクドナルドやスターバックスの店舗を国有として摂取してしまったのを見てもわかるように、情勢が変化すれば安定して成長をしていた企業が突然資産やマーケットを失ってしまうこともあり得ます。
現地生産は困難さを伴いながら、その国に馴染み、文化を理解して、
現地の人たちと事業を作り上げる勇気や努力が必要です。
でも、それが動き始めた時には大きな可能性が生まれます。
軌道に乗るまでは国内市場で海外の事業を下支えしなければならず、企業にとっても大きな負担を強いられます。
また現地での法人の設立や税務の確認、現地での人材雇用など乗り越えなくてはならない障害はたくさんあります。
それでも海外のマーケットに進出することはこれからの小規模事業者にとって乗り越えなくてはならない壁でもあります。
日本貿易振興機構(ジェトロ)や中小機構、日本公庫などに相談をし国際化支援を受けるのも方法の一つでしょう。

望むと望まないに関係なくマーケットのグローバル化を考えなければ小規模事業者の運営は難しくなっ行きます。観光事業など一部の分野を除いて国内の市場は縮小し、販路は少なくなってゆくでしょう。
周囲のマーケットは縮小し、まずは地域の商圏だけでの事業は難しくなります。広範囲のマーケットを対象にし、広範囲から収益を上げ、固定資本を増やして企業体力をつけて、その原資を使ってさらに外へとマーケットを広げなくてはなりません。ここからの変化は急激です。気がついた時には足元を掬われるような急激なマーケットの衰退に直面することもあり得ます。
これからの時代は、マーケットの変遷は免れないものであり、いかにそれを先読みし対応してゆくかを判断する能力を事業者は試されます。

●マーケットの中の自分たちのコアターゲット

海外マーケットの進出出来たとして、自分たちはどの顧客層にアピールし獲得すれば良いのでしょう?
国内のマーケットと海外のマーケットでは様相が全く違います。
日本は円安が進んでいて、国内の物価は資材不足で物価の高騰が続いているにも関わらず、海外から見ればまだまだ物価は安いと言えます。
そのままの価格で海外で販売すれば「低価格帯の商品」ということになります。
外貨を稼ぐのであれば、海外から見て適正価格に修正をして販売すること、さらに、付加価値をつけて高所得層向けの商品として販売をすればさらに利益幅を伸ばすことができます。
海外では謙遜する必要はありません。むしろ胸を張ってこれまで築き上げてきた「ジャパンブランド」をアピールし、それに見合った品質を維持することが大切だと言えます。

まずはそれを実証できる「生産拠点」と「販売マーケット」「顧客層」を手に入れることから始めしょう。

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