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事業再生のこと−29

準備できることから準備しよう。
まず、マーケットを見直そう。
これまで売れていたマーケットが売れなくなっている。その原因は何だろう?
マーケットの劣化・・・顧客層の高齢化。これまで購買していた顧客が購買しなくなった。他のマーケットに顧客が移動した。販売している商品がマーケットとズレてきている。顧客の購買頻度が減った。
今起きているマーケットの変化はユーザーが不況に備え始めたのが一番大きな原因だろう。
そしてこの20年間企業が都市開発を怠った事にも原因はある。
特にこの20年間は地価の変動が乏しく、人々の年収も容易には土地の売買ができない低所得であったことも要因となっている。
不動産の売買の活況は景況感のバロメーターとなるから、不動産が動かない時代が続くと経済は沈み込む。
現在では地価が下がり、いよいよ諸外国、特にアジアの国々による「日本買い」が始まる。
日本は自力では経済を立て直すことが困難になっているのだ。

●日本買いがもたらすもの

いまだに日本はアジアの諸外国から見て憧れの国であり続けている。先日入国に関して規制が緩和された。
同時に諸外国からの入国者が非常に多くなった。
色めき立っているのは日本人の方で、インバウンド需要にこれほど依存した国に変貌することを誰が予想しただろう。そもそも日本という国は本当にインバウンド需要に依存するべきなのだろうか?
多くの企業が諸外国の企業に買収され、合併しているが、これこそが日本買いが急速に進行している証明だろう。今後は移住者も含め外国から人が流入し、それが普通になる。
かつて鎖国が解かれた時のように諸外国は日本を買い叩こうとするだろう。そして買い叩かれるのは企業だけではない。多くの人材が国外に流出するだろう。
国政が古い大きな企業にのみ有利な施策をやめて本気でスタートアップや中小企業への重い税制をやめない限り人材の国外への流出は止めることができない。

●外からの視点で国を見る

日本人は諸外国の人々のことを「外人」と呼ぶ。こういう呼び方をするのは日本だけである。国の内側と外側という考え方。
外の国の人々はアメリカ人だろうが中国人であろうが「外人」と一括りに呼ぶ。つまり世界には「日本人」と「外人」しかいない構図になっている。
驚いたことにこの国の政府そのものがそんな意識を持っている。
「諸外国からの人の流入」と言っているが、「東アジアからの人の流入」「北欧諸国からの人の流入」「EU圏からの人の流入」「南アフリカからの人の流入」などとは言わない。
「諸外国からの人の流入」と言っている自分たちが
日本人と諸外国の人々の間に垣根を作っていることに気づいていない。
人々の流入や日本買いが止まらない限り、これまでのような考え方を続けるわけには行かない。
「日本」はアジアの中の特別な存在ではなくなるのだ。
このままでは日本はアジアの中の小国として埋もれてしまう。

●国が出来ないのなら自分で道を拓く

この国が「何かを改革する」と言って短期間に成し遂げたことは一度もない。
それは「政権が変わる」なんて生やさしい事では始まらない。
現在のシステムがひっくり返るほどのインパクトが必要だろう。
内側の力で変革を起こすことはもはや叶わないと思った方が良い。
一旦システムが崩壊して新しく作り直す事になるだろう。
その時に生き残って行くのはどういう産業でどういう人たちなのか?
以前から良く言っているように最後の残るインフラは「食糧」に関するインフラだろう。それも一度は崩壊を免れないかもしれない。
新しいインフラは「デジタル」を核としたインフラになるだろう。
デジタルは基本的にはサービスやソフト、アートと言った分野で発展を遂げているが、これからは「物」「食糧」「衣服」「生活」「住居」「製造」といったいわゆる実業と結びつかなくてはならない。
いくらメタバースが新しい経済圏を作り出したとしても、人は「食べる」「寝る」「医療」を受けるためのスペースや道具、材料がなくては生きてはいけない。
まるでそれらが必要なくなるかのような映画「マトリックス」のような世界は簡単には成立しない。
それに人は枯渇した資源を今度は宇宙空間に求めるようになり、ある一定の富裕層はそれを使って新しい経済圏を作るだろう。
しかし大部分の人たちは再生できる範囲での循環経済を作り、その中で暮らして行く方法を考え、いずれ実現するだろう。
それは国が実現するのではなく「デジタル」で繋がれた不特定多数の知恵を持った人のネットワークが実現させるのだと考える。
自分自身がどのタイミングでどんな形でそのネットワークに入り混むことが出来るかが、すなわち「道を拓く」事になる。

●もうすでに始まっている

世界中の知見を持った人たちが集まるネットワークはもうすでに拡がりつつある。
世界の経済はまだかろうじて動いているが、その一部を未来のネットワークに移行する手続きを始めなくてはならない。
このネットワークの中で経済が循環し、しかも再生できる仕組みを皆が考え始めている。
そんなに遠い未来ではなく、そんなに縁のない話でもなく。すぐにごく身近に始まっている。
気がついている人と気が付かないでいる人間で近い将来大きな格差が生まれる。
しかし、このデジタルと実業を繋いだ新しいシステムは人の経済格差を緩和してくれる。参加した人は一様に恩恵を受けることが出来るだろう。
ただ参加しなかった人たちとの格差は広がる。
逆に巨大に成長する企業も一代で巨万の富を築く人もいなくなる。
「乗り遅れる」と言った感覚ではなく、そのシステムや知識はスタンダードなものになるから、苦労するのはすでに社会で働いている中堅人材なのだろう。
常識が変わるのだから、一旦これまでの経験を白紙にして取り組まなくてはならない。
今しばらくは旧経済システムと新経済システムのせめぎ合いが始まる。
どのタイミングで新しい経済に乗り移るのか?決断に迫られるだろう。

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