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事業再生のこと−35

ここからは近未来の話。
つまり私たちのこれからの事業活動について書きましょう。
皆さんもこの3年は激動の日々だったと思います。
感染症の蔓延による顧客の喪失、他国の侵略戦争による円安、物価高による経営の圧迫。
残念ながら来年にかけてこの状況が好転するとは考えづらい状況です。

●デジタル化による経済の変化

日本のデジタル庁もようやく動きそうな気配ですが、
しかし、まだまだ公共サービスの分野での導入にとどまりそうな気配です。
日本の政権が既存のエネルギー産業、教育産業などの巨大産業に依存し忖度している以上、経済のシステムの改革や教育の改革は進まないだろうと考えます。
それでも諸外国が急激にデジタル化を推進し、世界における経済のシステムが変化するのであれば、日本の産業構造も変えざる終えなくなるでしょう。

まずweb3によって既存の法人組織が全く違った構造になるかもしれません。
日本の税制は経済破綻を起こしている国の財政が改善しない限り非常に高い税率のままで、新しい産業を育てる土壌とは言い難いでしょう。

●まずはコミュニティーを強化しよう

このような時代にどうすれば事業が生き残り成長させることが出来るのでしょう?
一つは事業体が自分自身を支える強いユーザーコミュニティーを持つことだと考えています。
例えば、海外や日本で根強い人気を持ち続けているブランドを思い浮かべてみます。例えばエルメスやルイ・ヴィトンのようなファッションブランド。
ヴィトンは1894年から実に120年以上の歴史を誇り、現在でもその人気は続いています。彼らの強みはどこにあるのでしょうか?
それは彼らのユーザー層が長年にわたって築き上げた巨大なコミュニティーが彼らのブランドを支え続けているからだと言えます。
そのようなコミュニティーを国内だけでなく海外を含め広範囲に作り上げることが大切だと言えます。同じような事例がまだ生まれて浅いスターバックスコーヒーにもみて取れます。

●近未来を見通す(web3とコミュニティーの近似点)

DAOと言われてもピンとくる方は少ないかも知れません。
30年前に「インターネット」と言われてピンとくる人が少なかったのと同じようにweb3の時代が来ようとしています。
web3はブロックチェーン技術を使ったセキュリティー性の強いインターネットの新しい形です。仮想通貨ビットコインが2008年に生まれ信頼性の高い相互取引が可能になりました。このビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨の信頼性を補完しているのがブロックチェーン技術です。
各国家が発行している法定貨幣と仮想通貨の違いは何でしょう?
国家の中央銀行が担保している法定通貨は国の情勢や環境によって人為的に価値が変化します。もちろん仮想通貨も価値は状況や環境の影響は受けますが人為的な操作をする中央銀行を持たず流通する範囲が広範囲であり、偽造や不正が行われにくいため今後安定した流通が増えてゆくでしょう。
しかし、最も影響を受けるのは各国家の税制であり、日本では高い税をかけられ、仮想通貨を単位とした取引が困難な状況にあります。

私たちのような小規模事業者には遠い話のように感じるかも知れませんが、世界のどのような国でも安全に使える通貨として、今後グローバルに展開するECサイトなどで普及すると思われます。

このような仮想通貨によって生まれる新しい組織形態がDAOで、これまでのピラミッド型の中央集権型企業組織ではなく、運営メンバーがそれぞれ網目状につながる組織になります。
網目上に広がるという点において自分たちのファンであるユーザー層も同じようなコミュニティーを構成していて、運営組織とユーザーコミュニティーは別の組織ですが、相互に影響を及ぼす可能性があります。
将来、自社への投資が自分たちのファンコミュニティーから仮想通貨で行われ、それに対し私たちがやはり仮想通貨で担保されたトークン(株のようなもの)で配当するような誰もが経営に参加できる事業が構築されていく可能性があります。
またコミュニティーから事業に参画するメンバーも出てくる可能性もあります。

まだまだ未来の話でどこから手をつけて良いか分からないし、自分たちには縁遠い話のようなことだと思っても、学習し時代の変化を敏感に感じ取っておく必要があります。

●足元を固めて安定させる

私たちは新規事業を始めて三年。
まだまだ経験値が足りません。
ただ、この三年は私たちだけでなく激動の三年であったことは間違いありません。
これほどの変化を経験したことを不幸と取るか幸運と取るかでこれからの事業の動かし方は変わります。
人が集まれない状況。
デジタル化の促進。
これまでにない円安。
これまでにない物価の高騰。
インフレの気配。
世界情勢の不安定化。
まだこれから起こるであろう東アジアでの異変。
異常気象や脱炭素化の動きが霞むぐらい目まぐるしく変化し続けています。
こんな時代に事業経営の舵取りをどうすれば良いのでしょう?
舵取りを一歩間違えば取り返しのつかないことになりそうな状況です。

しかし、これだけのリスクを回避することができるのなら、これから起こる新しいリスクに対して事業体は強い対応力と再生力を手に入れることが出来ます。
ただし、これまでの方法が通用しないことは確かで
常に状況を分析して自分の力で新しい対処方法を考え出し、
短期間で行動し、修正しながら結果に導かなくてはなりません。

日本人は悲しいですが不況になると大きな企業、それもできれば公共組織に入って凌ごうとしますが、今回に限ってそれも有効であるとは言えません。
国は火の車状態、大企業も小回りが効かず、
ようやく全てのシステムを見直し始めています。

多くの組織の中から百戦錬磨の強者と言われた世代が弾き出されています。
もちろん過去に囚われていてもこの難局を乗り越える事はできません。
今必要なのは、新しいスキルを持った次世代の発想力と、苦難を乗り切ってきた経験を積んだものの知恵の結びつきでしょう。
まずは基本に立ち返って巨大な投資を受け入れる方法論よりも先に、利益を生み出す体質に事業体を変える事です。
無駄な経費を省き、人件費、仕入れ金額、商品にかかる費用をもう一度洗い直し、
原価率を把握し、原価率を下げる方法を地道に実行し、損益分岐点以上の売上をどうやって確保するかを考え直すべきでしょう。
流動資産を減らし固定資産を増やす。無駄な投資を避け、体力を温存しておく。
景気が回復する兆しが見えてから始めて投資をし、次の事業に繋げてゆく。
前章でweb3の話をしましたが、準備はしなければなりませんが、今はまだ無理な投資をする時期ではありません。
今投資をして「勝ち逃げ」しようとするライバルを後追いする事なく、今は力を残しておいてください。
景気は10年ごとに波が起きます。次の10年で体力をつけ、さらにその後の10年で成長すれば良いのです。

●新時代の分散化社会

政府が企業のスタートアップを促進させると言って国家予算を投入しようとしていますが、新しくスタートアップした企業が確実に成長できる社会的な土壌が出来ているわけではありませんし、海外のようにたとえスタートアップで失敗したとしても再挑戦出来るような受け皿が出来ているわけでもありません。
今のような状況で国内のスタートアップを増やしたとしても、有望な事業は海外の投資家に持っていかれ、国内に残ったスタートアップは成長することができず日本の経済が回復するわけではないでしょう。
「自分たちが間違っていた」なら「自分を全否定する」のは日本人のよくないところです。
敗戦後ここまで欧米化が進んだのは、日本人が自国の文化を全否定しようとしたからではないでしょうか?
自国の文化の良い部分と新しい文化の良いところを上手く併せ持つ新しい文化を作ることに、実は時代を乗り越えるヒントがあると考えます。
私たちの事業も海外を視野に入れざる負えなくなるでしょう。
しかしその前に経済が低迷している国内であっても成長できるビジネスモデルを作らなくてはなりません。
キーワードは「分散化」。
もうすでに「分散化」は起き始めています。逆を返せばそれは「中央集権型」の崩壊を意味しています。
これまで働く人たちのほとんどはピラミッド型の組織に慣れ親しんで、ピラミッドの底辺に行くに従って業務は細分化し、狭い範囲での技能しか身につけることが出来ませんでした。
分散化で起こることは、各小さなグルーブ内で経済を回す必要が出てくるということです。つまりそのグループ内の誰もが経営感覚を持っていなければ、そのグループ自体が経済を生み出さないし利益も生み出さないということです。
これまでのピラミッド型社会に依存してきた人たちにとっては「分散型」は過酷な社会システムに違いありません。

「分散型」の意味は「組織」の話以外に「地域」の話も含んでいます。
つまり、異常気象、紛争、感染症、などの地域性を含んだ障壁のリスクを分散するという意味も含んでいます。
地域的にはローカルな事業であったとしても、事業そのものは地域に縛られなくても成立する必要があります。それぞれ、食品、機械、電気、流通、販売など様々な分野がありますが、それぞれに「分散型」に移行させておく必要があると私は考えています。
とはいえ、分散させるにも多くの資本投下が必要になります。
自分たちの利権を守ために国際商標の登録なども必要になるかも知れません。
私たちはこれから2年かけて分散化の初期段階に移行しようと考えています。
結果が出始めるのは三年後移行でしょうか?
その頃にまた状況をお知らせしましょう。


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