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そば屋が出前できる範囲の町 -2
医者、交番、特定郵便局、児童公園。散髪屋、小さな商店街か市場。小学校、中学校。学校前の文房具屋。喫茶店、電気屋、畳屋。隣町に映画館、お寺、高校。プラモ店。
蕎麦屋やラーメン屋は、店主が出前に応じられる範囲に一二軒。町には洋食屋。
どこの水辺でオタマジャクシを見つけたとか、あの角の郵便ポストの横で初めてバレンタインチョコを渡されたとか、町の舞台設定がはっきりしていた。
蕎麦屋の息子や味噌屋の娘
そば屋が出前できる範囲の町
いつも行く町中華。後から客が入って来たと思ったらウーバーイーツだった。
食べに来たわけじゃなく、出前商品の受け取り。
かつて、町の食べ物屋は当たり前に出前をしていた。出前を頼むと幾らか上乗せされるが、ちゃんと丼で持って来て、空いた食器も引き取りに来た。今やウーバーイーツ。
もちろん頼めば便利なんだろうし、利用する店や客からしてもウィンウィンなんだと思う。
しかし漂う一抹の寂しさ。
ストリートスナップ -2
素人が往来を行き交う人々にレンズを向けにくくなって久しいが、100年後に平成・令和の風俗を知ろうとする時にどういう手立てがあるのだろう。
確かにスマホで手軽に写真を写せるようになり、自撮りや"映え写真"が氾濫している。
また、玄人やハイアマチュアがガツガツと撮影することもあるだろう。
でも、それらは民の自然な風俗の記録ではないように思う。
森山大道はこれからも現れるだろうが、桑原甲子雄は出