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【第4回】私立古賀裕人文学祭:結果発表



御礼とご挨拶

おんれいとごあいさつ☺︎

お世話になっております、古賀コン実行委員長の古賀裕人でございます。
この度は第4回私立古賀裕人文学賞( 通称:#古賀コン4 )にたくさんのご応募を頂き、まっことありがとうございました🌸

今回は67名、68作品がエントリー
ありがたいことです…!ありがたいことです…!

さっそく古賀コン名物の全作品講評に参りますが、講評と言ってもそんな堅苦しいものでもなく、皆さまから頂いた大切なお手紙に一つひとつお返事をする、そんな感覚でやっておりますので何卒よろしくお願い申し上げます☺︎

最後にひとつお願いをさせてください。
エントリー頂いた作品をより多くの方にお届けし、参加作家の皆さまのファンを一人でも増やす!というのがこの祭りの開催意義でもありますゆえ、ぜひこの記事と、そしてお気に入りの作品をSNSにてご拡散頂けましたら幸いでございます。

じゃあ講評いってみよう!(/・ω・)/もんにゃ~!(まだ言ってる)

Ⅰ. 全作品講評

テーマ:「記憶にございません」

https://note.com/koga_hiroto_13/n/n30ec13f45712


1. 非常口ドット「無限ループ」

講評:
古賀コン4のオープニングアクトを飾って下さったのは非常口ドットさんの、介護をテーマにした掌編。フィクションですと断りがあるけれど、きっとドットさんにとって大切な記憶が込められているに違いないと確信させられました。
退屈な仕事に変化をつけられるのは自分だけ。継続することではじめて得られるものがある。
爽やかで前向きなラストが、春の訪れに相応しい鮮やかな読後感を運んでくれました。
素晴らしい開幕戦。


2. 大江信「最初から最期まで断言はできない」

講評:
これは面白い。
記憶にないので、何かを説明しているのだけれど、記憶にないので、何の説明をしているか一向に分からない。
しかし妙に具体的でありながら詩的に評されるそれはその実体を縁どられていく、ような雰囲気だけ出しておいて全くヒントになっていない。
当ててやろうと思って読めば読むほど何もない。
これは面白い。


3. まーたん@ふわふわ創作垢「記憶にございません」

講評:
温かな雰囲気で始まって不穏な空気が漂って甘い空間で終わった!
人生を振り返ればほとんどのことはやって来たように思えるが、良くよく考えて見れば部活動のマネージャーと付き合ったこともなければオフィスラブもしたことがない。
オフィスラブについては全ての尊厳を捨てれば今からできなくもないが、部活動のマネージャーと付き合うためには輪廻転生するしかない!
神様お願いお願い!どうか来世では激かわマネージャーと付き合えますように…(祈)


4. 比良岡美紀「コンビ解消するときに起きるかもしれないこと」

講評:
なんでそんなひどいことするの!笑
カメラの数が半端ないくらい来るんだから相当売れっ子なんだもんね?
たぶん、疲れていたんだよね?それもかなり?
ゆっくり休んで欲しい。ただただ休んで欲しい。
公園とかどう?スマホとか持たずにさ!ぼーっとする時間も大事よ。
ところで私、スマホいじりすぎて右手の小指に訳分かんないマメできてるしちょっと曲がってる気がするんだけどこれって治る?やばい?


5. 百目鬼祐壱「泣いたばあちゃん」

講評:
「誤解のないように注釈すれば、祖母はふつうに優しかった。」という一文がとても好きで、他人に他人の話を語ることの面倒臭さをふと、再感させられましたね。
たとえば夫婦関係、全然上手くいっているんだけど、ちょっとした不満みたいなものをつぶやいただけで「それってモラハラじゃない?」とか「早く離婚した方が良いよ」とか言われちゃって。あー、全然そんな話じゃないんだけどもう面倒くせーからそれで良いや、ありがとね、またね、はぁ、愚痴なんか漏らしたって良いことないな、みたいな。
とか言いながら最後に手とか繋いだのいつだったか全く記憶にないけど。(涙)


6. 松原凛「ずっと成人式でいい」

講評:
女の勘はループさえ見破るのか…!こえ~
しかし成人式の1日を繰り返して違う女子を代わるがわる持ち帰るという夢のようなこの話、良く分かんないけどAIとか駆使してなんとか実現できませんかね?
全然関係ないけど私が小学生の時の同級生に峯岸由紀ちゃんという子が居てですね、背が高くて美人で運動が出来て字がめっちゃ綺麗な子だったんだけど、背が高くて美人で運動が出来て字がめっちゃ綺麗な子って小学生男子には全然ピンと来ないんですよね。今にして思えばどっからどう見てもどの時代のどの角度から見ても由紀ちゃんがぶっちぎりの良い女だからはよ土下座してでも仲良くしてもらえー!!!と思うんだけど時すでに遅し。
良く分かんないけどAIとか駆使して何とか小学生からやり直せませんかね?


7. 粉奈丸「はやく透明になりたい」

講評:
仕事しろ!!!!!!!!
まったく、これだから若いやつは……
恋をしながら時給がもらえる仕事、それがアルバイトってか?
じゃあ俺、一生アルバイトする。
やっぱ正規雇用ってクソだ。
責任とかあるし、仕事に。アホか。
責任とか背負いたくないんだよな~!自分の人生以外の。
芦田愛菜ちゃんと日向ぼっこしながらツタンカーメンの死因を語りたい。
そのために生まれてきたんだ。


8. 憚譚之傍見「Nice to meet you.」

講評:
きみはだれ?
と素朴な疑問。
若いのか年寄りなのか、男か女かも分からないけれど。
愛する人だということだけは確かで。
それだけが大事で。
それだけを分かっていればよくて。
お見事。


9. 夏川大空「今日は雑談」

講評:
猫!猫が踊ってる!かわいい!!!
読んでるあいだずっと踊っててくれるw
ドット絵だからかな、なぞの単音BGMが脳内に流れてくる錯覚をおぼえつつ、エッセイなのかフィクションなのか曖昧で不思議な話を味わう。
集中したいのにちらちら猫を見てしまう。
だって猫!猫が踊ってる!かわいい!!!
猫!!!

P.S. 次の作品を読み始めても脳内から踊る猫が消えない!w


10. 渋皮ヨロイ「名前を変えてやる」

講評:
とりあえず、で置いておいたものだらけの人生だと気付いて自分で自分に引きました。
俺のとりあえずがお前の一生、だらけ。
人生って面倒くせえなぁ~。
だから面白いんじゃん、とか、だから価値がある、とか。
偉そうに言ってるお前の人生の価値いくら?みたいな。
そんなささくれ立った気持ちになってしまったのは、私も電話が鳴るのを待っているからだね。
嫁にバレたら「自分からかけろ」と言われるに決まっているので、バレないように、しばらくじっとしておきます。


11. くもしろ薔「忘れていい」

講評:
なぜ我々には時間の広がりが与えられたのか、その理由の一端を垣間見たようで神秘的な心持ちになりました。
ひらがなで書かれているので、頭の中で漢字変換しつつ句読点を探りながらつい内容をじっくり検討してしまって、うっかり内省に入りすぎるところでした。
外にあるものを眺めていたらいつの間にか内に入り込んでしまっていた、そんな読書体験は格別ですよね。


12. 吉野玄冬「神のみぞ知る」

講評:
めちゃくちゃ話に付き合ってくれる野党!笑
これくらいの対話ができる野党が出て来てくれたら少しは噛み応えのある議論も生まれそうなのに、などと思いつつ。
結局のところ、みな自らの実在に確信が持てず、それゆえの漠然とした浮遊感をもって生きているのが現代だというような気がしました。
大人になっても、そわそわと一日中不安がっている子供たち。
それが現代人なのかも。


13. 久保田毒虫「受水槽」

講評:
ヒントが逆に我々を惑わせる怪作。
これは人の話なのか。そうなのか。
でも人だと分かっているのは受水槽に飛び込み溺れている者たちのみ。
わたし的には、この語り手の属性をまだ絞り込みたくない。
可能性は無限大。
人間エキス水を日常的に飲む習慣のある化け物マンションの屋上が舞台である可能性だってある!


14. 結城熊雄「アイル・ビー・ユア・アンブレラ」

講評:
「やった側は覚えてないでしょうね。」
まさに今回のお題の本質を貫くような女の台詞。
自分にとっては何ということはない些細な出来事。あるいは、身に覚えのないほど手応えの残っていない行動。
世の中に溢れる相互作用のほとんどは、記録にも記憶にも残らない曖昧で暴力的な振る舞いの残滓なのかもしれませんね。
そういえば今日ちょうど娘の幼稚園の参観日だったのですが、クラス中が笑顔いっぱい楽しそうに授業を受けている光景を眺めながら、私は毎日毎日、かずやくんにぶん殴られていたなと、ちょっとセンチな気分になりました。

15. ケムニマキコ「みょるにる」

講評:
洒落怖だいすきで、まとめられているものは全て読んでいるので書き出しすぐでピンと来ましたが、そのあとが凄かったですね。
インスパイアと言えば二郎系ですが、本家を超えるインスパイアというものはまさに創作心の醍醐味、最高の芸術ですよ。
確かに当時の2ちゃんねるの遊び心、何か月、何年と伏線を仕込んでおいたり、あの手この手で自演をしたりして完成する“作品”もそれはそれでひとつの文化的背景をもつ文章として面白いことは間違いないのですが、この「みょるにる」の生々しさと言ったら!
たまりませんね。
ニンニクの量が、背脂の量が、ハンパじゃないです。大好き。


16. えこ「収集者の曖昧な記憶」

講評:
「蒐集者と回収車」「飴梨果の入学史記」「ハッピーなバースデーとチョコレート味」と続いてきた連載もこれにてエンディング。
古賀コンをどう使うか、これは皆さん一人ひとりの目的に合わせて好き勝手デザインして頂ければ本望なのですが、えこちゃんのように古賀コンで連載するという使い方は運営としてありがたく、そして僅かでも読者を作れていたら嬉しいです。
古賀コンの成長と共に世界中を冒険してくれたキャラクターたちに妙な親近感を覚えつつ、宇宙へ飛び出して行った麗夏朔夜を最敬礼で!見送りたいと思います。
ありがとう、そしていってらっしゃい!


17. 赤木青緑「はて」

講評:
色に対するイメージは教育の賜物か、はたまた遺伝子の記憶か。
つい先日娘の幼稚園の作品展覧会があったので、今年で三年目ですが、いつもの通り参加してきました。
会場では年少さんの展示、年中さんの展示、年長さんの展示と、だんだん年が上がっていくルートでコース設定がされています。
そうなるとやはり展示された作品は、後半へ行けば行くほど自由度が下がり、均一化され、個性が消えていく。
それを社会性の獲得と捉えるか、感性の消失と捉えるか。
ひとつ出来るようになると何かをひとつ失うのが人間であるのならば、何を得、何を捨てるか選びたい、そんな願いは贅沢病でしょうか。


18. こい瀬伊音「ある藤原家の食卓」

講評:
俺もマイルドヤンキーで良い。笑
家族で大河を観る、そんな文化って素敵やん。
スマホを一人一台持つようになった現代では、各々観たいものは自分のスマホで、というようなスタイルが当たり前になってきて。
それでも朝の支度をしている15分。夜ご飯を食べながら観る30分。
なにか家族で同じ画面を見つめて同じものを観て、同じ文化的栄養を接種するってのもありだよなと。ひと昔まえには、「ご飯食べてる時はテレビ消しなさい」の時代もあったけど。
テレビ観ながらの「お前これどう思う?」も、立派なコミュニケーションよね。


19. 日比野心労「対話」

講評:
その世界が、SFではなくなりましたね。
高齢者施設でのAI的な取組みといえば、AIを搭載したロボットによるコミュニケーションの他にも、監視カメラにAIを載せて利用者と職員の感情の変化やストレス値を測定しようとするなど色々な角度から実験が進められています。
以前は「家族に捨てられた」というような気持ちを抱く利用者も多かったはずですが、施設の役割に対する理解も進み、私の祖父も含めて「新しい友達ができる環境」「話し相手、遊び相手がいつもいる環境」を心底エンジョイしている方も増えてきました。
AIの参入で、もっともっと楽しい環境になっていけば最高ですね。


20. 安戸染「接着」

講評:
うるせえwww
いや~うるせえうるせえでしたね。面白かった~。
安戸さんお会いしたことないけど実際はめっちゃ大人しい人だと良いな。
声ちっさくてビールのグラスを両手で持つ人だと良いな。
この文章の調子で、背も態度もでっかくて、普段からめっちゃうるさい人だったら嫌だな。
だってそれ俺だもんね。(絶望)
「キモいキモいで消してたら全部消すことになってしまいます。」
ここ最高だね。
本当だね。


21. はしもとゆず「洗濯機から出てきた皿小ねじの巻」

講評:
タイトルの「!!」の下のポチが皿小ねじになってるのがかわいい~w
「おしまい」が猫枠なのもかわいいし、全体的に柔らかい雰囲気なのに、洗濯機に覚えのないネジが落ちてるのは怖え!笑
ガンガン回したらぶっ壊れんじゃないかと思ったら洗濯するのも躊躇してしまうというか、もし洗濯機の部品だったら嫌だし、洗濯もののたとえばシャツのポッケとかに入ってたネジだとしたら、それってどこかで拾って、捨てずに取っておいたネジな訳だから、今でも待ってるネジ穴がある!涙
「今でもまだあります」は草。


22. 虹乃ノラン「アロファオエ! 〜わが愛をあなたに〜 TAKE2」

講評:
古賀コンで主催者慰労の連載をすなwwwww
「っく! かわいいじゃないの。その下唇を嚙むしぐさ、おれはそこに吸い付くのが好きだったんだよおお。」
うるせえwwwww
あー、笑った。
私がかわいこちゃんの下唇に吸いつくのが好きなことは一旦置いておいて、私の元カノには残念ながら悠里は居ないことをお知らせいたします。
居るのは麻央香、祐希、友梨、桜子、圭惠、奈都子―――
と書いていこうと思ったけど全然思い出せねえ…!!!
これが老い…これが時の流れ…なのか……
顔は思い出せるんだけどね!顔は……
みんなかわいい!(無邪気)


23. 草野理恵子「てです」「バネとねじ」

講評:
さて今回草野さんは2作品並べてのエントリーです。
額から手が飛び出した「てです」と、腕にバネが刺さった「バネとねじ」。
身体の一部から何かが出ているのと、身体の一部に何かが刺さっている状況では、最終的な輪郭は同一であっても、その状況の内包する意味性は大きく異なってくる。
バネが刺さっていた腕に次はねじを突き刺して、心臓みたいなナニカを持って次の街へ向かう鮮血のラスト。そこにあるのは確かな主体性と行動力。
一方「てです」では優しさと呆れにため息まじりで呟かれる「頭から手が出ていても本当に別にいいんだよ」。
付け替えて生き方を選ぶものと、一生付き合う諦めを伴うもの。
いま自分に見えている「俺の」「これ」は、そのどちらなのか。
よく見ないと。慎重にね。じっくり観察しないと。


24. 柚木ハッカ「暴走秘書」

講評:
もっとやれ!そのままいけ!笑
「ちゃんと質問しないとちゃんとした答えが返ってこない」
この当たり前の法則に、ChatGPTを通して改めて気付く人は多かったように思います。
行間、あるいは文脈を理解する能力というものがいかに特殊で人間的であるか。
そしてその能力には個人差があるということ。
ChatGPTにプロンプトを与えるように人間相手にも話してあげたら、少なくとも、職場での人的ミスは減るでしょう。
そして、意外とこのAIの暴走のように、皆がみな本心や情報を開けっぴろげに公開して暮らした方が、今よりよっぽど多くの人にとって生きやすい世の中になると思いますね。
「私は裏金をいっぱ貰って与党内に地位を築き、発言権を得ることで、国民にとって暮らしやすい子ども育てやすい一人でも生きていきやすい仕事いっぱいある病気すぐ治る世の中にしていきます!私自身、お金大好き!だから私もいっぱい貰うし!皆にもいっぱいもらって欲しいです!」みたいな政治家めっちゃ信用できる。
オフパコしたくても良い。ちゃんと避妊するならね。


25. 松本玲佳 「失われた三日間」

講評:
生きていたから書けた、生きていたから…!
松本玲佳にはまだまだ書かねばならぬ、松本玲佳にしか書けぬ物語がある!
それを世界は分かっていたのかもしれません。
そう思えてしまうほどの復活劇、まさにフェニックス!
朦朧とする意識の中でも音楽を、比喩を、ついつい捕まえずにはいられないあなたは、魂の根の根っこから芯の張った“作家”です。
おかえりなさい。


26. 闇雲ねね「置いてますか?」

講評:
山に歴史あり。
勢いにわろたw
怒りすぎて神になった人は確かに居るけれども、山になった人はなかなか珍しい。
しかも活火山!
こわいですねぇ、こわいです。
みんな何を供えているのでしょうか。
サイコガンでしょうか。


27. エンプティ・オーブン「記憶にございません」

講評:
捕食すなwww
力技、好きです。
アメーバの擬態といえば、最近だと不滅のあなたへでしょうか。
私なんかは遊星からの物体X世代なのでホラーっぽいイメージが強いですね。
とにかくあいつら、困ったら捕食しちゃうんで、困ったもんです。
私も困ったら捕食しちゃおうかな取引先。


28. じゅーり「斉藤ごめん」

講評:
愛の話だった。
ずっと何に謝っているのか。
騙したことに?
嘘をついたことに?
騙し続けてやれなかったことに?
もうドッキリしてやれないことに?
ごめん。ごめんな。ごめん。ほんまにごめん。
謝るのって快感なんだと改めて思い知らされる謝罪のリフレイン。


29. 久乙矢「月とボトルメッセージ」

講評:
月への辿り着き方には2種類ある。
ロケットに乗って飛び出すか、目を閉じて内に潜るか。
記憶とはなにか段々と分かって来た。
情報の蓄積にはいくつかの種類と方法があることも。
海は記録装置なのではないかと長いこと言われてきたが、海どころの話ではなかったらしいということも。
我々は意識なくして記憶を引き出せないと思われているが、意識に肉体が不可欠であるかそこが肝であるのに、まだ観測する術がない。
科学の発達は間違いなく私たちの肉体からその存在意義を奪うだろう。
であれば、今のうちにいっぱいセックスしておきたい。(?)


30. kc_kc_「幻影の中の宝」

講評:
魔導師範院、私たちでいうところの高等学校だろうか、世間知らずで瑞々しく無遠慮でひたすらに前向きだったあの頃。
あの頃にぼんやりと思っていた「あんな大人にだけはなりたくない」という大人像。
働いて、結婚して、子どもが生まれて。
夏は沖縄旅行、冬は雪山でスキー。
外車に乗って、アイスはハーゲンダッツとサーティワンしか食わない。
そんな大人に俺たち、なっちまったよな。
もう戻れないよな。
小便のあと、手を洗わなかったあの頃には。
ちぇ!


31. 深澤うろこ「首」

講評:
ちょうど昨日、会社の飲み会のあとで寄ったガールズバーで似たような話を聞きました。
ゆうかちゃんという子でしたが、去年のちょうど今頃、付き合っていた彼氏に振られたそうです。
ゆうかちゃんとしては、その彼と絶対に結婚したいと思って尽くしていたそうですが、彼の方はまったく結婚する気がなかったようで、結婚とか言うならもう別れようぜ、さいなら!ということだったようで、一年経った今でもやや放心状態とのこと。
彼のリュックの中にゆうかちゃんの首が入っていなければ良いけど―――


32. 野本泰地「コーンのマーさん」

講評:
子どもの頃の記憶、それも鮮明に覚えているものに限って実は……
私には「ヒゲのおじさん」と呼んでいた親戚のおっちゃんが居たのですが、いま当時の写真を見てみるとそのおっちゃん全然ヒゲ生えていないんですよね。
記憶の中では綺麗なグレーのヒゲがたわわに実っていたはずなのですが。
一人マンデラ効果。
これを多次元世界の記憶の共有と捉えるのか、はたまたただの記憶違いと片付けるのか。
コロコロキャラメルコーンが存在する世界も必ずどこかに。
だって食べたいからね!コロコロキャラメルコーン!


33. 長尾たぐい「この顔に覚えはありますか」

講評:
アルマーニ野郎!ざまあみろ!(歓喜)
スパイの特徴っていうのがまさに「記憶に残らない顔」だそうですね。
実際に会って話している時は何も違和感がないのに、別れて数分もすればもう顔が思い出せない。記憶からすっぽり、不自然なほどに抜け落ちている。
これって訓練ではどうにもならんことですよね、まさに才能。
アルマーニ野郎も何が何だか訳が分からないでしょうねえ!
爽快爽快。これが「整う」って感覚なんでしょうか。
アルマーニ着てるやつにロクなの居ねえよ。(偏見)(良くない)


34. 柊木葵「記憶にございません」

講評:
干し肉の舌触りまで伝わってくるような強烈な話でした。
毎度そうですが、今回のテーマにも多分に解釈幅の余地があり、色々と好き勝手に楽しめる余地があるはずですが、いくつかの解釈が同一世界の中に複合的に内包されている本作には唸らされましたね。
実際には覚えているのに「記憶にございません」と言わねばならぬ状況、そして覚えていたはずのことをもう正しく思い出せない現状。
生々しい語りは正確でないはずなのに、実話よりも瑞々しく私の眼前に迫ってきました。
お見事。


35. 小林猫太「サイコレイダー」

講評:
やかましいわ!wwwww
次回『サイコレイダー』第二話「古賀裕人は二度死ぬ」に、レッツ同調(レイディング)!
うるせえ!!!wwwww
あーおかしい。
この人おかしいよ!笑
おもろすぎんだろ~
設定練りすぎィ!
街を歩いてる無害そうなおっさんが頭の中でこんなこと考えてんのかと思ったらいつもの街並みもなんだか輝いて見えるね。(?)
なんというか、古賀コンって下書きをそのまま勢いで出しちゃう感じも面白いのだけれど、こんな風に作り込んで(パクリ込んで)ちゃんとラッピングしてあるのもまた噛み応えあって良きものです。
次回も期待大。(あざす)


36. ししゃも「楽しい」

講評:
3万のネクタイやべぇ~!
私でも1万超えるネクタイ持ってないのにー!
生意気だぞ!
こないだパパの誕生日に買ってやったネクタイだって4千円だぞ!
くそったれー!!!
ネクタイに3万は出せないけどキャバクラ行ったら平気で払っちゃうのなぁぜなぁぜ?←バァカバァカ


37. 和生吉音「ハッピーセカンドライフプラン」

講評:
婆さんの背筋が伸びていくその姿に、あの名作映画が重なりました。
私はとにかくケビン・スぺイシーが好きでね。
その中でも「ユージュアル・サスペクツ」は俳優なら皆が真似する演技の教材みたいな映画なんですよね。
私も若い頃は、「歩く」それだけでどんでん返しを起こす姿に憧れたものです。
それで、この婆さんは誰に演じさせようか?
それだけでひと晩じゅう語り明かせそうです。
作る飯が美味いっていうのが良いんだよな。


38. ユイ二コール七里「キヨスク」

講評:
おお~!(褒)
最後すごく嬉しくなれる話でした。
これこれ~!これよ~!それそれ~!
温かい気持ちでいっぱいになれました。
その展開にしてくれて嬉しい~~~
感謝が強いかもしれないな読後感としては。
しかし酢を水道水で割るの嫌だね~。笑
水道水なんてもう何年飲んでないだろう?
中学の部活中とかが最後じゃないかな。
世界でも数少ない「飲める水道水」を有する国に暮らしながら、
コンビニでペットボトルの水を買い環境を破壊する俺。
俺が代わりに貯水池に落ちてやった方が世の中のためだったかもな。


39. 栗山心「Bar 記憶」

講評:
匂いと記憶って密接ですよね。
子どもの頃に嗅いだ、それこそプールの塩素の香り、秘密基地を作るためにガンガン入って行った雑木林の草の香り、生意気な口をきいてぶん殴られて噴き出した鼻血の錆びた臭い。
友達んちから自転車で返ってくる時に、季節になると金木犀が咲く道があって。
今でもあの匂いを嗅ぐとその友達のこと思い出すから、妻が金木犀の香りのシャンプーを買って来た時は参りました。
そういえばクリームソーダって家でも簡単に作れるよなって最近気付いたんですよね。
それで一度自分で作ってみるともう店で800円とか出すの嫌になっちゃって。
大人になるのって、ちょっとだけ寂しいことなのかもしれませんね。


40. 津早原晶子「花の子ども」

講評:
私はかねてより「古賀コンはパフォーミングアーツである」と主張しておりますが、それはつまり古賀コンで執筆する1時間を芸術家である書き手がどう消費するかを楽しむ、あるいはその不可逆的で一方通行の領域を書道のように駆け抜ける様を鑑賞する、そのような催しであると理解して頂いて結構です。
ですから通常の文芸コンテストとは異なり、主催者である私はエントリー作家の皆さまのツイートなどを頼りに開催期間中の過ごし方や取り組み方なども当然、加味した上で作品を鑑賞しています。
開幕から閉会までを楽しむ企画。ジャンルフリー、内容にNGなし!
言葉が使われていたら何をしても良いのです。
だからもちろん、記憶障害を起こす睡眠薬を飲んでから執筆しても良いのです。
推奨はしません。しかし止めもしません。
倫理は倫理の時間にやれば宜しい。
湖水地方の詩人たちは阿片を飲んで作詩をしました。
マイスリーを酒で食らって作文したって良いじゃねえか!
自分で決めて自分でやったこと、責任は自分で取るのが大人よ。
それで、良いもの書けた?
私は最高じゃんと思ったよ。


41. 永田大空「じゃんけんなんかいでもやりなおしていいよ」

講評:
ひとマスずらしの片輪走行を手癖で書き切った快作。
サラサラ読み進めると全く意味が取れず、こちらの「読み」にも手癖があることを嫌というほど痛感させられる。
普段の読書体験の中でいかに自分が都合よく読んでいるか、いかに勝手な解釈を押しつけながら読み進めているか、それを暴かれたようで恥ずかしい限り。
おいちゃんと読んだか?もう次行って良いのか?目の前で起きてる現象、描かれた光景、ちゃんと見えてるか?
オラオラと脳内の読書ヤンキーに詰められながら一生懸命読む、それが楽しかった。
タイトルも良い。最高。
タイトル、最初に考えたのかな、最後に考えたのかな。
大喧嘩しながら議論したい。


42. げんなり「曲芸飛行」

講評:
爽やかな作品が続きます。
記憶の抜け落ちが純粋さに寄与するのであれば、やはり人間を人間たらしめ地に縛りつけているのは思念であるような気がしてきますね。
モノクロの室内と窓外の色彩の対比が美しい。
ここまで来ると白目って異様ですね。
人間にしかない色彩。
娘の白目って白いんですよ。
私の白目って汚いんですよね。
積み重ねた悪行が、積もり濁らせているのかもしれません。


43. 佐藤相平「潰す」

講評:
色んな読み方ができて最高だこれ~!
読んだ人によって解釈が全然変わる話ってほんと面白い。
皆さんはこれ誰がやばいと思いました?
主人公?イートン?担任の先生?クラスメイト?
私はね、「虫を拷問するのは別に問題ないよね、発達段階によってはやるよね」という認識の人と、「イートンは狂ってる!残酷だ!」と喚く人をマッチングする婚活アプリを開発したくなりました。
ところで私が見かけた中でも一番やべえ虫の遊び方していたガキは、羽を片方だけ千切っ
た蝉をボールにして野球やってた小学生ですかね。
ただでさえ一週間の命だというのによ!


44. 我那覇キヨ「リュウが如く」

講評:
ストリートファイターの、あのリュウです。
リュウに対する熱い熱い想いが詰まったエッセイが届きました。
これは嬉しい。
人の好きなものの話を聞くのが大好きなんです。
もちろん私もストリートファイターはプレイした経験があって、でも格闘ゲームがあまり得意ではないので豪鬼を使っていました。あとは可愛いから春麗とか。
エドモンド本田を使ってるとなんか上級者っぽくてカッコイイみたいな風潮、ありましたよね。(うちの近所だけ?)
でも実はリュウについてその特徴や歴史をしっかり聞いたのはこれが初めてで。
めちゃくちゃ楽しく読ませて頂きました。
1時間でこれを書けるのは本当に好きな人だけ!


45. 群青すい「無限のかたち」

講評:
読み始めてすぐに、これは身体表現だなと思いました。
詩を踊るのと踊りを詩にするのとでは全く異なる取り組みになるので、両者出来上がるものが丸っきり変わるんですよね。
この「無限のかたち」を踊ってみようかとなったら、よっぽど注意深い踊り手でないと具象に寄ってしまうと思います。
じゃあ勘の良い踊り手にやらせてみようかとなったら、実際その行為に意味あるのかと、好き勝手踊らせとけよという話になってしまいそうで、だからこそこの詩はそもそもが身体表現で、そこから伝わる感覚を言葉にしていって創られたような、そんな雰囲気を持っているように感じるんですよね。
腕組みしていたら受け止められないような、目を閉じた方が全体が見えるようなね。


46. 藍笹キミコ「レッドオーシャン」

講評:
オルマめっちゃおもろいやんけ~!オチもばっちり!ナイスナイスと思って読み進めたらそうですか、火の鳥に出て来てましたか。残念だ。
そうだよな~言われてみればSFもそうだし、何なら漫画なんかもっとひどいんじゃないかしら。いま連載しているもので全くパクリ要素のない作品ってあるかな、たぶん皆無じゃないかな?
鬼滅から呪術廻戦くらいの流れでもう漫画の設定は全部出切っちゃってるからもうパクリとか言うのやめようみたいな風潮に一区切りついたような気がしますね。


47. 貞久萬「チェリオス効果」

講評:
じいさんカラスに食われてるし、最後皮膚着始めるし、不穏すぎて途中の面白トークをリラックスして聞けないのよw
ちなみに私も謝ったら死ぬ病に罹患して久しいのですが、我々のようなキャリアってのは謝ったら死ぬ場面とさっさと謝った方が得だなという場面はきっちり見極めておるので、もし皆さんの身近にキャリア男性が居りましたらそれ舐められているだけの可能性あります、つまり、マジでやばいと思ったら謝って来るんで、しかも物凄い勢いで。
自分でもクソみたいな性格だと思いますが、連れ子を殺したり、動物を細切れにしたり、裏金を納税しない人よりはまだマシなんじゃないか、と自分を励ましながら何とか今日も生きております。
子どもの頃はチョコワが大好きだったな。


48. 山崎朝日「一日午前零時の誓いと監視者の眼」

講評:
毎日毎日やることいっぱい!
家事も育児もそうなんだけど、充電するもの多すぎ!
パソコン、スマホ、時計、イヤホン、タブレット、どんだけ充電さすねん!
モバイルバッテリーを充電している時、俺は一体何をさせられているんだとふと我に返る瞬間あるもん。
もう全部捨てて野菜だけ育てちゃおうかなとか。
嫁の実家に隠居して焼き芋でも焼いて暮らそうかなとかね。
ちょっと気を抜くとあっという間に一年終わってるし。
面白い漫画はアニメ化して欲しくないしね。
月は地球を観測するためにあるのかな、そうなのかな?
絶対その方が楽しい。そっち希望。


49. 化野夕陽「引き換えるもの」

講評:
ラスト!うぉぉぉおおおお!!!
熱ぇぇえええええ!!!!!
行き切ったなぁ~。これはブラボー。
読みながら「ラストはこの辺まで上がると良いなぁ~」と思ってた高さをブチ超えて行きましたね。
嬉しいなぁ~。
ディープインパクトの阪神大賞典みたいでしたね。
クロフネの武蔵野Sと言っても過言ではない。
日常生活に影響を与える文章ってすごい価値があると個人的には思っているのですけど、これ読んで私は明日のバイト頑張ろうって思えました。
「いらっしゃいませ!!!」をいつもより大きな声で言いたくなりました。
熱く生きたい。
燃えるように飛びたい。


50. 朧「配列を忘れちまつた遺伝子に」

講評:
嬉しい作品が続く!
一枚の画像の中に言葉が敷き詰められているんだこれ~。
全然合ってるか分からないけれど崎陽軒のお弁当みたいと思った。
色々入っているのよあれ、思ってるよりずっとずっと色々入っているのよ。
シュウマイなんか目くらましみたいなもんで。
私はタケノコを煮たやつとあんずが好きでね~。
蓋を開けると嬉しくなっちゃうんですよ、どれから食べようかな~って!
クラシカルなのに挑戦的でね、モダンなんですよ。
定型なのにコンテンポラリーと言っても良いかもしれない。
着崩しているようでちゃんとアイロンかけてあって。
洒落てるんだ~。


51. のべたん。「記憶にございません」

講評:
最高だぁ!わたしの世代ぃ!!!
ドラえもんズ、もちろん大好きでした!
映画の本編より前座のドラえもんズの方が好きでね!
人気あったはずなのに、でも急に消えちゃったんですよね。
超人ロック、綾波レイ、しんべヱ、トンパ、フリーザ、亀仙人が一堂に会するドラえもんズのギャラが高騰したせいで予算が合わなくなり企画が消滅したというのは本当なのか…!
ところで私はアンパンマンだとフランケンロボくんの話が大好きで。
彼女とラブホでダラダラしている時に何の気なしに観たんですけど感動してボロボロ泣いちゃってですね、ドン引きされてフラれちゃいました。
ごめんなさいうそです、結婚しました。(なんの話???)


52. 猫の踵「潮騒」

講評:
ラストの一文で一気に全てがピッタリはまる快感がありましたね。
読み手によって色んな解釈がある作品も良いですが、私としてはこのようにはっきりと絞られた解釈を気持ち良く受け取れる作品も大好きなんですよね。
比喩だと思っていたものがただの情景描写であったことが分かった瞬間とかめっちゃ気持ち良いんですよね。
でも情景描写だと思っていたものが単なる比喩だった時って別に快感ないんですよね。
なんでだろ?ちょっと研究の余地があるかもしれません。


53. サクラクロニクル「寂しさの理由、海の底」

講評:
今回は小見出しが効いてましたね。
徐々に浸透して染み染みになっていく様子を外堀から埋めて行くシステム。
結局のところ人生の実感とは主観でしかなく、社会的な成功や相対的な所得などが幸福に一切寄与しないのは既に知られているところです。
幸せになる方法は他者貢献しかなく、自己もまた他者であるのです。
脳は主語を認識できないというやや眉唾な観測がありますが、個人的には認識世界においては主観と客観は大いなる視点で同一のものであるということだと理解しているのですよね。
真に満足できる話を書いてください。
サクラクロニクルさんの本当に、真に好きなものは何なのか、それが見たくなっちゃっていて、読みたくなっちゃっていて、心をノー勃起射精させて欲しくて。
気付いたら出ちゃってるようなやつを、また待ってます。


54. 日より「白忘」

講評:
芸術家の役割にも色々あるけれど、ひとつ大きな仕事としては一般人が通り過ぎてしまうようなものを、あるいはピントが合わなくて見えないものを、代わりにじっくり観察して書き留めてあげることだと思うんですよね。
それでようやく観客の、観衆の意識に対象が映る、モチーフが縁どられる、テーマが魂を持つ。
最後の一文、「ただ観察している」。
正直な人だなと思いました。
しかしその観察のおかげではじめて視野を得る盲目の魂があるのです。


55. はんぺんた「チョコレートケーキの思い出」

講評:
絶対ここにあった!っていう店の場所が全然違うことってあるんですよね。
あれなんでなのかな~?
私も、奇しくもケーキ屋なんですけどね、高校大学時代に女にくれてやる用のケーキをいつも買ってた店があったんで、こないだ実家に寄るついでに行ってみたら店無いんですよ。
それでスマホで調べたら全然違う場所で。駅の反対側なんですよ。
あれ~?と思ってナビ通り行ったらあって。
店員さんに移転したんですか?って聞いたら、昔からここですよ~って。
それで思ったんですよ、あ、俺ってば女のことばっか考えてたんだな、って。
団子より花、それが俺という生き方なんだな、って。(?)
Topsのケーキ最高ですよね。
この間レイクタウンのTopsでケーキ選んでたら、私の後ろを通った外国人観光客の家族が通り過ぎざまに「一番右の黒いやつがアンビリーバブルくそ美味いよ」って教えてくれたので買って食べたらアンビリーバブルくそ美味かったです。


56. ねぎ「記憶にございません」

講評:
黒田くん、チカさん、末永くお幸せに。()
大学時代の飲み会、いま思い出してみると、確かに男女の仲を目指して参加している人も多かったような気もしますね。
あの頃は、高校時代までにあまり性体験を得られなかった連中が必至に性体験を求めて、という感じでしたかね。
大人になった今も、そんなに変わらない気がしますが、大人になってからは飲み会にしか出会いがないような男女が仕事よりも真剣に人生の伴侶を求めて、という感じでしょうかねぇ。
いずれにしても楽しいもんです。
さて黒田くんとチカさんにはそのまま突き進んで欲しいですね。
学生時代から付き合って結婚するとほんと金かかんないですからね、オススメ!(経験者は語る)


57. 春雨こんぶ「蟷ク縺�座さんの星模様〈2024年春の運命〉」

講評:
「温泉」が妙に面白いんだよなぁw
バーナム効果文学ともいえるこの作品、基本的には誰にでも当てはまることの羅列をユーモアで楽しんで行く読み物なんだけど、そんな中で唐突に具体的な「温泉」だけは完全に個人的な好みなんだよなw
そこに人間味というか、あ、この人たぶん悪い人じゃない!っていう味が見えて最終的にいま温泉行きたくなっている自分がいる。
温泉入ってフルーツ牛乳飲んで無重力マッサージ機を3回転いきたくなってる自分がいる。
大袋入りのねぎ味噌煎餅を買って帰りたくなっている自分がいる。
帰りに佐野のSAに寄ってラーメン食べたくなっている自分がいる。


58. それいけ!まちか2世「報告書」

講評:
友人で居たかった相手と職務上の上下関係ができることの悲しみは良く分かります。
私も、自分としては相手のことを気の許せる友人であると思っていたのですが。
管理職になるって、友達減るってことなのかな。
だからみんななりたがらないのかも。
今となっては終身雇用の時代でもなし、年功序列の時代でもなし、仕事なんかいくらでもあって、何かを我慢してまで嫌な仕事をする必要ってなくなってしまったんですよね。
好きなことだけしろ、嫌なことはするな。
そのスタンスで生きていけるこの時代、強くある必要はなさそう。


59. 萬朶維基「アイスクリーム帝国の大予言」

講評:
古賀コンにまたひとり真顔で変なことばっかり言う人が現れました!(歓喜)
これこれぇ!これなのよ、これがないとだめなの!
私は「え~?(半笑い)」って言いながらググりたいの。
「一応…(眉間に皺)」って言いながら英語検索したいの。
結局のところ、知らないものを知る喜びに勝るものってないと思うんですよね。
生きるってことはそもそも知らないことを知る旅だし、退屈って新しい知識を得られない感情だし、だから勉強って必要なんですよ、ミネラルみたいなもんでね。
嘘か本当か分からないものが一番良いんですよ。
それが一番栄養価高いんですよ。
ないと死んじゃうの。
アミノ酸なのよ。


60. 只鳴どれみ「森の女」

講評:
爽やかな季節の訪れを感じさせるラストに草を禁じ得ませんでした。
最後の一文って本当に大事なんだなと再確認。
もう最後の一文だけでも良いかもしんない、結局最後の一文で全てが決まるなら。
書道なのかもしれない。
とめ・はね・はらいの文学史なのかもしれない。
オチはふたつないといけないって養成所の先生が言っていたかもしんない。
一個目のオチを提示して、相手がリアクションしたあとで、もうひとフリ来た時に返せるものがないとダメだって言ってたかもしんない。
海美子。
名前おもろ。
名前は絶対に、おもろじゃなきゃね。
他は何でも良いけど、名前だけはおもろじゃなきゃ、春は来ない。


61. 夏目ジウ「追憶」

講評:
やり切った感覚って大事ですよね。
夢を追いかけて、ひと区切りついて、次に進むとき。
やり切らないと、次のことを始めても、また戻って来ちゃうもので。
文章を書くという行為にも当てはまりそう。
このnoteなんかもそうですが、昔に比べていまは自分が書いた文章を多くの人に読んでもらえる媒体が増えました。
昔から本を読むのが好きで、文章を書くのが好きで、でも一度は諦めて他のことをしていた人が、ふらっと戻って来やすい環境がたくさん。
商業に乗らない生きた文章がネット上には無限にあって、いつでもそこにアクセスすることができる。
素直に、良い時代を生きているなと思います。


62. 高遠みかみ「記憶喪失集」

講評:
いやぁ~、強い。
面白いな~…これ、どうしよう…
設定、構成、ワードセンス、込められた全てがさすがのみかみ節。
「いいですか、今までの包丁はわすれてください 2000年 セールスマン」
これを神でサンドイッチしようと思う思考パターンはもう医者か画家のどっちかだよね。
それでいえばサムネイルの画像も作品の雰囲気づくりの屋台骨になっていて良い。
ちなみにアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックは36歳没。
ちょうどいまの私と同じ年齢。
これを、どう見るか。(入ってはいけない脇道)


63. 紙文「ミョウガを食えおじさん」

講評:
私は自分の父親のことを心の底から尊敬していて、敬愛しているのですが、ひとつだけ許せないことがあるんです。
それは回転寿司屋に行く時、かならず刻んだミョウガをタッパーに入れて大量に持っていくこと。そして、寿司にそのミョウガを乗せて食べること。
子どもながらにこの男は異常だと直観的に感じました。
そもそも常識的で控えめな男。
飲食店が持ち込みNGであることは当然理解できる男。
それがルールを破って、まるでコソ泥のような態度でそそくさと鞄からタッパーを取り出し、周りをキョロキョロと確認しながらサッとミョウガを寿司に乗せる仕草。
これが年収1千2百万稼ぐエリートサラリーマンの休日なのかと。
子どもの頃からそう思っていたのですが、妻もそれをやるんです。
血には抗えないということなのか、運命だと思って選んだ女がミョウガ族。
娘ももしかしたら……


64. 1/2初恋、あるいは最後の春休みの「わらしべ忘者」

講評:
くっそ笑ったwwwww
ひぃーーーwwwww
じいさんがはしゃぐなwwwww
いやはや、日本の政治家に必要なのはこの元気ですよ。
最近のじいさんたちは元気がなくて嫌だね!
昔はじいさんたちももっとスケベだったし、何かにつけすぐ殴り合ってたもんよ。
じいさんってのはスケベができないから金に執着するのよ。
もっとスケベを与えろ!エロに溺れさせろ!
金かからないから。エロするのに。
バンドとか組んだら良いんだよ、ギター買ってさ。
布袋寅泰はテレキャスターが良いって言ってたよ~!


65. 継橋「正しく」

講評:
誰かが目の前で詰められていると、他人事なんだけど心臓キュッてなりますよね。
まるで自分が詰められてる気がしてね。
娘が妻に鬼詰め食らってる時とかね。
幼稚園で借りた布類は、その日の内に洗って翌日返さなきゃいけないんですよ。
でもその日、娘はランチョンマットを借りたことを妻に報告していなくてね。
妻はブチ切れ。報連相に厳しいんです。
しかし良い勉強にはなったでしょう。
これに懲りたら、今度からは幼稚園で何か借りたらパパだけじゃなくて、ママにもちゃんと言おうね。
じゃなきゃ洗濯し忘れちゃうからね!(マジですまん)
散々妻に怒られて泣きながら私のもとへ駆け寄ってくる娘の目には、母譲りの鬼が宿っていましたよ。
正しさとは。


66. 入谷匙「穴の底から」

講評:
大切なものとそうでないものの区別は誰がつけているのか。
記憶に残るものとそうでないものの選別は誰が行っているのか。
それだけは忘れてはいけなかったというものを忘れ。
どうでも良いことばかりを覚えているような気がする。
逆に、忘れてしまうようなことなら、所詮その程度のものだったんでしょという声も聞こえる。
でも俺にとってはそうでもなくても、きみにとっては重要なことってあるじゃないか。
俺はきみにとって大切なことを覚えておきたいんだよ。
そんな気持ちでいるんだけど、全然覚えられないんだよな~。
どうしてきみは何でも覚えているんだろう?


67. 蒼桐大紀「ラブレターの裏側に」

講評:
今回のラストを飾ってくれたのは蒼桐大紀さんの「ラブレターの裏側に」。
爽やかな青春の風に乗って、煌めく想いが閉会を告げてくれました。
読み終わったとき、ああ今回も明るいイベントになったなと素直に思うことができました。
人の気持ちを受け止めて、それでも明るく生きられたらどんなに良いでしょう。
私たちは生きることに一生懸命になるあまり、深く呼吸をすることを忘れたり、一瞬を楽しむ気持ちをなくしたりすることもあります。
それでも百合を読むたびに、この世も捨てたもんじゃねえと。
俺だって美少女なんだと、そんな当たり前を思い出させてくれます。
当たり前を愛そう。
美しく生きよう。
箸の持ち方で人生は変わる。

以上、67名68作品。
エントリーに心から御礼申し上げます。

Ⅱ. 各賞概要

第4回私立古賀裕人文学祭では以下の通り4つの賞を用意しました。

「最優秀古賀賞」
・最優秀作品に与えられる賞で、今回の優勝作品です。
・嘘偽りなく真っ直ぐに私の胸を打った作品に授与します。
☆賞品:アマギフ1万円分

「裕人賞」
・優秀作品に与えられる賞です。
・私の文学的琴線に触れた作品の中から、
・特に言葉や文章の魅力を重視して選出します。
☆賞品:何かわたしっぽい粗品

🐸賞」
・優秀作品に与えられる賞です。
・私の文学的琴線に触れた作品の中から、
・特に構成や着眼点の面白さを重視して選出します。
☆賞品:何か🐸っぽい粗品

「🌸賞」
・優秀作品に与えられる賞です。
・観覧者による人気投票で最多得票であった作品に授与します。
・最優秀古賀賞、裕人賞、🐸賞とのダブル受賞も有り得ます。
☆賞品:何か🌸っぽい粗品

それでは……
結果発表ぉ〜!📣

Ⅲ. 受賞作品発表


第4回私立古賀裕人文学祭、受賞作品は以下の通りです👏👏👏

■最優秀古賀賞:

   蒼桐大紀 「ラブレターの裏側に」

■裕人賞:2作品

   群青すい 「無限のかたち」
   憚譚之傍見 「Nice to meet you.」

■🐸賞:

   津早原晶子 「花の子ども」

■🌸賞:

   松本玲佳 「失われた三日間」


わーーーッ!!!👏👏👏

受賞者の皆さま、おめでとうございまーーーす!!!👏👏👏

わーーーッ!!!👏👏👏

今回の「最優秀古賀賞」には、蒼桐大紀さんの 「ラブレターの裏側に」を選ばせて頂きました。
蒼桐大紀さん、おめでとうございます!
毎回そうなのですが、最優秀古賀賞に理屈は不要なのです。
全部読んで、一番好きだった作品、それが最優秀古賀賞です。
設定とかキャラクターとか、テーマとか比喩とか、そんなものは性癖にぶっ刺さった激推し作品の前では野暮な話でしかないのです。
俺はこれが一番キュンと来ちゃったんだからしょうがないだろ!!!
それが本音のところです。
もちろん後から理屈をつけて選評を書くこともできます。
短編としての構成、キャラクター設定と納得できるだけの関係性、画角の工夫と情景描写、未熟な感情、没個性の中に光るかけがえのない…
でも今そんな話はしたくないんです!
浸らせて下さいよ、この青春汁に…(?)
私は確かに受け取りました!
なので蒼桐さんもぜひ!最優秀古賀賞!受け取って下さい!
おめでとうございます!👏👏👏

「裕人賞」には、群青すいさんの「無限のかたち」と、憚譚之傍見さんの「Nice to meet you.」を選出致しました!
群青すいさん、憚譚之傍見さん、おめでとうございます!
すいさんの「無限のかたち」は、講評にも書いた通り詩を通り越してコンテンポラリーとしての舞踊表現としてのエネルギーがこちらまで届いてくるようでした。バレエ団の演出をしていた頃、私はよくリハーサルを見る時に観客席に座って目を閉じて鑑賞していたんです。目を閉じてでも伝わってくるもの、肉眼を超えてやり取りされるもののチェックをする時には。その時に瞼の裏に映る映像に極めて近い印象を「無限のかたち」からは感じました。大変素晴らしいことです。そのまま本番行って大丈夫!(褒)
傍見さんの「Nice to meet you.」は今回一番胸の深いところに刺さった作品かもしれません。短いお話、極限までカットされた言葉の中に溢れる想い。想像するしかない行間に詰まる人間関係。そして「あかいアネモネ」の花言葉。美しく、そして儚いメッセージ。じんわりと沁みました。
お二人ともおめでとうございます!ぜひ裕人賞、受け取って下さい!

🐸賞」には、津早原晶子さんの「花の子ども」を選出致しました!
津早原晶子さん、おめでとうございます!
作中の花を千切っちゃ食い、千切っちゃ食いのシーンは凄かった。あれは凄い。手触りが。味が。匂いが。鬼気迫るものがありましたね。
今回の「記憶にございません」というテーマ、やはり私としては、「私個人の記憶にないもの、私の人生の記録にないものを見せて欲しい」という願いがあった。
それをほぼ唯一と言って良いかと思いますが、見せて下さったのが津早原さんでした。私が飲んだことのないものを飲み、食ったことのないものを食い、見たことのないものを見る。
代わりにやってくれてありがとうね。
本当はやらない方が健康には良いのかもしれないけれど、たった一度の人生だもん、花食わずに死ぬより食ってから死んだ方が絶対良いに決まってる。
念のため気持ちご自愛頂きつつ、ぜひ🐸賞、受け取って下さい!

「🌸賞」は単独1位(6票)で松本玲佳さんが選ばれました!
松本玲佳さん、人気投票二連覇おめでとうございます!
素晴らしい~!やっぱり人気ありますね。
前回は幻想的な小説でしたが、今回は実体験を基にした私小説。
その体験の壮絶さや、ニュースでの取り上げられ方など、現実世界での話題の盛り上がりも本作にエネルギーを注ぐ結果になったのかもしれませんね。
とにもかくにも、生きていてくれて、また書けるようになって良かった…!
ぜひ🌸賞、受け取ってください!
全69票のご投票を頂いた今祭でしたが、
人気投票2位(5票)は同率で紙文さんと、非常口ドットさん。
人気投票3位(4票)は同率で津早原晶子さん、虹乃ノランさん、松原凛さんが選ばれました。

1位と2位、2位と3位はそれぞれ1票差!
前回同様、多くの作品に票が入る結果となり、全体のレベルの高さが伺えましたし、何よりも書き手も読み手も懐が深い!
安心して多様な作品を鑑賞し合える環境を一緒に作って頂き、心より御礼申し上げますm(__)m

P.S. 猫太さん、ノランさん、今回も主催者慰労作品をありがとうございました。大変楽しく、大笑いしながら、エネルギーチャージさせて頂きました。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます☺︎

以上、
改めましてエントリー頂いた皆さま、ありがとうございました!
人気投票にご参加くださった皆さま、ありがとうございました!
そして受賞者の皆さま、本当におめでとうございます!👏<ワーッ

それで―――
📢< 今回も後夜祭を実施しますよ~!!!絶対来て~!!!全員来て~!!!

Ⅳ. #古賀コン4後夜祭 @Xスペース

日時:2024年3月15日(金)21時00分~
場所:古賀裕人のX(Twitter)スペース機能にて
テーマ:第4回私立古賀裕人文学祭講評&振り返りトーク
私の話を聞く係:ハギワラシンジ、他
このnoteに書き切れなかった各作品への想い、語らせて下さい。

閉会の言葉

「1年に4回やるんだ!やるったらやるんだ!やってやらぁ!!!」

そう宣言してスタートさせた古賀コン。
昨年の6月のことです。

最初は文学賞だったのが文学祭になり、
人気投票も導入したり、少し形を変えながら、
それでも1週間程度でやり切るスケジュール感は変わらず、、、

ご参加の、ご観覧の皆さまに支えられながら、まず初年度、しっかりと4回開催を達成することができました。

ありがとうございます。ありがとうございます。
三日坊主にならずに済んだぜ!(本当に嬉しい)

冒頭からありがとうありがとう言いまくっておりますが、そんなもんは何度言っても言い足りないくらい、感謝の気持ちでいっぱいなんですよね。

いつも応援下さっている皆さまのために私ができることは、とにもかくにも「継続」だと思っています。

まずは次の1年、年4回開催のこのペースを続けてみたい。
続けてみないと何がどうなるか分からないし、何かが変わるかもしれないし、何も変わらないかもしれないし。
とにかくやってみる、やってみてから考える。

というのが今の率直な気持ちです。

普段ご観覧のみの皆さまも、ぜひエントリーをしてみて下さい。
古賀コンは「普段は書かない人もいっぱい出てる」珍しいコンテストです。
参加して初めて分かること、書いてみて初めて得られるものがいっぱいあります。
とにかく体験することが大切で、自分の限界を超えたり、自分でも知らなかった自分に出会ったり、全く予期していなかったものが出てきたり、きっと楽しい時間を過ごせるはずです。

1時間で書き切れなくても良いんです。
途中まででも送ってみてください。

誰に届かなくても良い、私にだけ耳打ちするように、こっそり読ませて下さいね。

古賀コンは過去の受賞者の皆さまを含めどなたでも何回でもご参加頂けます。

ジャンルフリー、NGなし。

「1時間で書き上げた文章、優勝したら1万円」

あなたの1時間を私に下さい。

次回は本年6月開催予定!

ではまた👋

主催者プロフィール

古賀裕人(こがひろと)

1988年生まれ35歳 
うお座 B型
183cm 86kg(前回から2kg↓↓)
今年に入ってから月に2度、仕事で福岡を訪れています。
俺は水炊きみたいな生き方をしたい。
最初に出されるスープで、まず火傷するような生き方を。


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