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接着 (第4回 私立古賀裕人文学祭 応募作品)

中いなく悪おなんその下足おはてしまれかおに方様皆の場来ご
・・・
え?
文章って左上から書くの?
何そのルール、初めて聞いた。
習った?本当に?
全然記憶にないんだけど。
でもまあそういう事ならやり直します。

ご来場の皆様方におかれましてはお足下のそんなお悪くない中、このようにしてお集りいただき、誠にありがとうございます、只今ご紹介にあずかりました古賀でございます、
・・・
え?
違う?
僕、古賀さんじゃない?
そうなの?
え、じゃあ僕は誰なの?
知らない?
そちらのあなたは?
あ、やっぱり知らない。
そうですか。
なるほどなるほど。
他人が思うほど自分は自分の事を知らない。
あるいは
自分が思うほど他人は自分の事を知らない。
もしくは
誰も知らない知られちゃいけない。
みたいな感じですかね。
まあ僕が誰なのかなんてどうでもいいです。
古賀コンを三連覇している男
って事だけでいいじゃないですか。
知らない者同士、仲良くしましょうや。
皆様とは運命的な何かを感じますし。

さて今日はですね
『記憶に御座いません』
というテーマに沿ったお話なのですが
まずはですね、
自動車メーカーのトヨタから販売されている
アルファードとヴェルファイア
という車があるらしいですがご存知ですか?
共にオラオラ系の人が好むなどと言われておりますが
実際はどうなのでしょう。
・・・
世の中には2種類の人間がいます。
「どうなのでしょう」と言った後で
実際に調べてみるタイプと調べないタイプ。
当然私は後者で
全く興味がないので調べません。
どうでもいいです。
車にも乗ってる人たちにも興味がありません。

気になるのは何でそんなイメージになってしまったのか?
と言うところです。

今日は皆さんと一緒にその原因を探る旅に出たいと思います。
それでは参りましょう、いざ、知識の大海へ!

あ、今のくだりについてなんですけど
わざとらしい出来の悪い芝居臭さに加えて
そこはかとなくキモさも漂っている気もするので
要らないかなとも思ったのですが
キモいキモいで消してたら
全部消すことになってしまいます。
それどころか私自身の存在を消さなくてはならなくなります。
存在の耐えられない軽さ?的な?
よく分からないけど。

まあ不要だと思う方は無いものとしてお聞きください。
端的に申しますと
在るものを無いものとして下さいね
つまり色即是空を体得して下さいね
という事です。
この境地に辿り着くのは少し大変だとは思いますが
身に付けておくと後々何かと便利ですから
頑張ってみて下さい。

さて
話を戻しまして
まず考えるべきは両者?両車?の共通点です。
2回同じ事を言った訳ではありませんよ。
最初のりょうしゃは両方の者という意味で
後者のりょうしゃは両方の車って事です。
なかなか洒落が効いてると自分でも思いました。

さて共通点。
こちらをご覧ください。
アルファード。
ヴェルファイア。
このように文字で並べると一目瞭然です。

そう。
ア、
ル、
ファ、
この3文字が共通しております。
つまり原因はここにあるのです。
ア・ル・ファ♡
だなんて可愛らしさに騙されてはいけません。
これが奴らのやり方です。
この3文字が入っていたら
100%の確率で奴らはオラオラ系のイメージを我々に与えにきます。

海の向こうの国では
アルファロメオなんていうアレな車が
あるらしいのですが
この車のソレもやはり同様にアレな気がします。

車を離れたところで
パッと思いついたのはルシファー。
つまり悪魔的なアレですね。
こちらはルとファはあるけれど
アが無いので
このアレはそこまでではないです。
全然大した事ありません。
単なるア無し野朗です。

あるいは今度は野菜系。
野菜でアルファルファってのがあります。
コレもそういうアレで言うならオラオラ系のソレです。
むしろ ル と ファ が
2個も付いているので
コレのソレは倍のアレです。
アルファ界の双璧の一つを担っています。

そして極めつけはこちら。
アルファ双璧のもう一つでありながら
その格はアルファルファよりは遥かに上。
キングの異名を持つ
皆様ご存知のアロンアルファです。
アルファ三原則を満たしているのは当然の事、独自のアルファ哲学を構築し
オラオラ系の頂点に君臨しています。
アを単体で重ねてくるいぶし銀のテクニックとデザインにも注目して頂きたいです。

どんなものでも瞬間に接着させる非常に強力なアビリティの持ち主で
本人も
『私に付けられぬものは無い』
と豪語して憚りません。
そしてソレが虚言でも大言でも無い事を
我々は身をもって知っております。
紙や木、金属や布、鉱石やプラスチック、はたまた水や空気に至るまで
地球上に存在するあらゆる物質は原子レベルで接着できることは言わずもがな、
物理外の世界、
精神や思想、概念までもを
接着させることが可能です。

例えば
過去と現在と未来、
肉体と霊魂、
遠距離恋愛中の若い2人の仲、
現実と虚構、
木火土金水の五行思想の木火土金水、
四大元素思想の地水風火、
こちら側とあちら側、
政治家と金、
姓と名、
生と死、
神と人、
善と悪、
陰と陽、
などなど

どんなものでも接着させています。
彼を形容するどんな言葉も
その偉大さの前では空々しく上滑りして行きます。
彼の存在なくしては
およそ成立しないであろう事象ばかり
いや
全てです。
森羅万象ありとあらゆるものの存在は
彼なくしては成立しないと言われています。

産まれたのが双子だったら
アロンとアルファと名付けます。
そういう機会がなかったとしたら
私がアロンとアルファというお笑いコンビを結成して取らせて頂くとします。
え?何をって?
天下ですよ、
これが彼の天下統一への第一歩であった。
(完)
みたいな。
ご清聴ありがとうございました。
以上をもちまして、
え?
なに?
なんですか?
テーマが違う?
テーマ?
テーマとかないですよ?
え?最初に言った?
私が?
言ってないよ。
本当に?
言った?
いやあ記憶に御座いません。

(了)


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