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多様性のことをダイバーシティって言いたくない。

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雑記。随筆的なのが書きたかった。
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カレーのスパイスが涼しい話

カレーのスパイスが涼しい話

暑い夏はとにかく涼を求める。

コーヒーはアイスを、ラーメンより冷やし中華を、温泉より海を求めがちだ。そんな暑い中でも、一人だけ異端児がいる。カレーだ。あいつは、辛いくせに夏になると食べたくなる。汗をかきながら、スプーンの上に作られた美しい比率のルウとライスを口の中へと放り込む。カレーには夏が似合う。

その日もうだるような暑さだった。コンクリートから立ち上るムンムンとした熱気がパンツの中にまでし

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自己顕示欲を削ぎ落す話

上手い文章を書く人は、そこに自身が入ってこない。極限まで「私」を削ぎ落した文章こそが美しいのである。

文筆家でもある星野源はこのように言う。

こうやって駄文を投稿していて思うのは、まさにこの通りだなという事だ。文章を書き始めるきっかけというのは、「私」がこう思った、「私」がこうした。話の中心に私情が入ってくるのだ。そして、気づけば文章の中に何かしらの誇示が入ってくる。一見、普通の顔をした文章も

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風邪を引いた話

風邪を引いた話

寝込んでいる。体がベッドに張り付けられて動かない。背中が寝汗でぐっしょりと濡れ、水に溺れ続ける夢を見る。頭がぐわんぐわん回る。

昔からよく体調を崩す私。基本的には月に1回、ひどい時には週に1回のペースで微熱が出ていた。微妙な熱で済む時はまだいいが、稀に籤が当たったかのように高熱を出した時はもう最悪だ。何度も経験するうちに慣れた、と言いたいところだがとにかく虚弱体質だった私は、熱が出るたび母に辛さ

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遂にあいつが本格的にやってきた話

遂にあいつが本格的にやってきた話

遂にあいつがやってきた。

雨だ。

雨だ。雨だ。雨だ。雨だ。雨だ。雨だ。

新しい環境に慣れるための4月、その環境に慣れてきて憂鬱が生まれてくる5月。どちらも私たちは何とか乗り越えてきた。偉い。しかし、6月更なる難易度の試練が私たちへ降りかかる。そう、梅雨入りだ。毎年この時期になると、各地で梅雨入りを告げるアナウンサーの声が高らかに響く。あんなに笑顔で言わないでほしいというのはさておき、私たちは

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寝ても終わらない日

日記を書く。今日が終わる。

夜中に目が覚める。何故かパンツ一丁だ。お腹が痛いように感じる。自分の足を動かすことに違和感を覚えつつもベットから立ち上がる。

今日は春のくせに肌寒い。このまま寝ていたら風邪をひいてしまいそうだ。徐にクローゼットの中へ入り適当な服を選ぶ。

高校生の頃に買った着慣れたスウェットに袖を通し、そこに脱ぎ捨ててあったハーフパンツを履く。

お腹が空いた。何か食べ物を胃に入れ

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いろんな言葉で死を表現する話

創作に耽っていた時期がある。それは筆を使ったものであったり、キーボードを使ったものだったりするがとにかく、「モノを作る行為」に酔いしれていた。

だいたいこういう急激な創作意欲を突き動かす感情はネガティブなものだった。誰かが嫌いだとか、何かが嫌いだとか、誰かが嫌いだとか。そのストレスをメタファー的な言葉に乗せて昇華させることが私のストレス発散だった。

ネガティブな感情は死と直結し、私が紡いだ長っ

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免許証を持っていない話

免許証がない。

私は自分を自分だと証明するものを保険証しか持っていない。何かに登録する時は保険証を必ず携帯する。大学生だと証明するときに偶に学生証を使うくらいである。

免許証が欲しい。

なぜ、大きめの登録には保険証ではできないのだろうか。
確かに、保険証にそこまでの効力を求めるのは間違いであろう。ただ、もうちょっと何かできてもいいのではないだろうか保険証くん。君の力を私は信じている。

免許

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雨よりもっといい方法がある話

人を雨男、晴れ女とかで区別する人が苦手なケニーです。

私たちは地球に生を受け、各々の営みを行っています。地球は、水が液体で存在する数少ない天体の一つとして知られています。水は地上と空中を巡り巡り、形を変えながら存在しています。

何が言いたいかと言うと、雨がウザいです。

私は自転車で20分弱の距離にあるバイト先で働いていますが、毎日しっかりと天気予報を見て、帰りに雨が降りそうな日は電車で行くと

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洗濯物がジリジリと迫ってくる話

洗濯物がジリジリと迫ってくる話

洗濯物を干して取り込むのが憂鬱で仕方がない。

昔から、家でお手伝いをするのは決まって洗濯物を除くそれらだった。お風呂掃除も、掃除も嫌いではない。寧ろお風呂掃除や皿洗いなどの水回りの仕事はテンションが上がる。ここに私の水属性感が垣間見える。

しかし、私は服自体に愛情はたっぷりなのである。できる限り傷まない方法を模索して洗濯をする。ニットはネットに入れ、色移りには細心の注意を払う。

決して洗濯物

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「俺実はオタクよ〜」に対する正しい返答

こんにちは。小学生の頃からニコニコ三代宗教(ボカロ・東方・アイマス)を通っていたオタク、ケニーです。

現代の日本には音楽チャートの上位にアニソンや歌い手の音楽が入っていることになんの疑問も抱かない、アニメやマンガ文化に対して寛容な雰囲気が漂っています。

これが数十年前になると、話は変わります。

アニメやゲームを愛するオタクは迫害の対象であり、世間一般からの目は厳しいものがありました。

それ

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大学生の間にしておくことの話

インスタにある大学生の間にしておくべきこと7選みたいな投稿がなかなかに興味深い。

恐らくこういうこともあるよ!ぐらいの紹介のつもりだとは思うけど色々横にずれちゃった私は気になって仕方ない。

個人個人で最適なことがあるはずだから様々なやる事を知ることで適を見つけるのだろうと思う。

ちなみに私の考えるすべきことは自己のファッション像の確立だと思う。

死ぬまでに関わることの一つに「衣」がある。

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実はみんな自殺してる話

自殺願望、ないしこの世から戸籍諸共抹消したいと思った経験が誰にでもあると思います。

少なくとも私はある。

そんな究極の問題解決であり自己の存在を消し去ることを可能にする自殺行為も、社会的に見ると大きな衝撃を齎すものの一つです。

私も周囲へ与える影響の多さから断念したことを覚えています。だって親が自分の息子が部屋で首を吊って糞尿を垂れ流しながら死んでる姿を見ると考えると、死んでも死にきれないほ

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できるならば100年前のイギリス市民の装いがしたい

新品の服を多く持っている。

古着も嫌いではないが、できるだけ服を作った企業にお金を渡したいので新品を買う。

しかし、私は古着のクローゼットから出てきた感じがたまらなく好きだ。

古着には新品の服にはない良さがある。

それぞれの服がさまざまなバックボーンを持っている。

それを組み合わせて一つのコーディネートが完成する。

わたくしはハンチング帽が好きなので1910年代のイギリスの労働者の格好

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夜中

今は何時だ。

霞んだ視界に差し込んでくる僅かな光の反射でなんとか時計を見つけ出す。

何時間くらい眠っていたのだろう。
確か昨日はお風呂からあがった後そのまま布団に飛び込んだ。

体感では一瞬だ。しかし時計の針は90度も動いている。

こんな夜中に目が覚めるなんて面倒だなと思いつつも用を足し、暗闇に慣れてきた目で足元に警戒しつつ冷蔵庫を目指す。

冷蔵庫のノブに手をかける。

低い駆動音が部屋に

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