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風邪を引いた話

寝込んでいる。体がベッドに張り付けられて動かない。背中が寝汗でぐっしょりと濡れ、水に溺れ続ける夢を見る。頭がぐわんぐわん回る。


昔からよく体調を崩す私。基本的には月に1回、ひどい時には週に1回のペースで微熱が出ていた。微妙な熱で済む時はまだいいが、稀に籤が当たったかのように高熱を出した時はもう最悪だ。何度も経験するうちに慣れた、と言いたいところだがとにかく虚弱体質だった私は、熱が出るたび母に辛さを訴えながら看病してもらっていた。学校を休んで家にいる日は特別な日だ。起きていられる元気がある時は決まってトムとジェリーを見ていた。そしてお昼は、母が作る薄焼き卵のオムライスを食べた。テレビからは普段見れない時間帯に放送しているワイドショーが流れている。すると不思議と熱が下がった。午後には体が軽くなってくるあの感覚が何とも心地よい。体力的には全快ではないのだろうが、感覚的には全快以上の元気があるのだ。夜寝る前には、次の日の朝に、また熱がぶり返さないか少しばかり期待するほどには元気になって床に就く。これが私の風邪の日ルーティンだ。


大学生になり一人暮らしを始めた。しかし、相変わらず体調を崩しやすい体質はそのままだ。小さい頃に比べ、頻度は低くなったが2ヶ月に1回は微熱で体が重い日がある。一人暮らしだと、当たり前だが家には一人である。今回も当然一人ぽっちである。家には、数に限りがある解熱剤とみかんの缶詰、そしてでっかいゼリーがある。でっかいゼリーとは、なんとも馬鹿馬鹿しい表現ではあるがとにかくでっかいゼリーなのである。異論は認めない。


今回はコロナではないことが確認されたため、私の気合次第では買い出しに行くことは可能だ。このままでは何も食べずに1日を過ごすことになってしまう。それは避けたい。外は暖かくなってきたが体調に合わせて上着を羽織る。季節外れだが致し方ない。スーパーもいいがすぐに食べれるものが揃うコンビニの方が良いと判断し、最寄りへ向かう。

ゾンビのような足取りでコンビニへ向かう。普段なら星野源を聴きながら向かうが今日は同じ曲が2回も流れてくるほどだった。ようやく着いた頃にはもう聞き飽きてしまった。店内へ入り、目ぼしいものをカゴへ入れていく。とにかく調理がいらない体に良さそうなものを片っ端から入れていく。PayPayの残高は気にせずカゴへ入れた結果、かなりギリギリだった。計算もできない時にギリギリなのはやめて欲しい。

さて、帰り道ももちろん重い足取りで家まで帰った。ここで買ったものを紹介する。

まずは風邪の王者、フルーツだ。風邪をひいた時に食べるフルーツは普段より甘味を強く感じる。今回はカットされたパイナップルを選んだ。

次に、永遠の風邪の味方、豆腐だ。とりあえず何も食べる気が湧かない時でも豆腐なら醤油をかければ食べれる。栄養価もなんとなく高そうだ。

そして、念のため、野菜スティックだ。とりあえず栄養を摂れそうで、且つ食べやすそうということで選んだ。ソースが少し味が濃いのが懸念点か。


なんと、寒気がするのになんか美味しい、アイスだ。こういう時にアイスを食べるととにかく寒いが食べたくなるのは何故だろう。今回はパピコレモン味をチョイスした。

最後に、これさえあればなんとかなる、塩おにぎりだ。とにかくお腹を埋めたかったが脂っこいもの、辛いものは良くないのであっさり炭水化物の頂点、塩おにぎりを選んだ。ちなみに私は元気な時も基本塩おにぎりを食う。



これらを一気に胃にぶち込んだ。さぞかしお腹が空いていたのだ。2日ぶりの食事で元気になった私は、テレビでワイドショーを見ていた。そしてその後、にゃんたこの動画をYouTubeで見た。夜になり軽くシャワーを浴びた。寝る前に、明日こそは元気になるようにと願いながら布団に入った。

こうやって大学生になって新しくルーティンを作るのも悪くない。

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