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遂にあいつが本格的にやってきた話

遂にあいつがやってきた。

雨だ。

雨だ。雨だ。雨だ。雨だ。雨だ。雨だ。


新しい環境に慣れるための4月、その環境に慣れてきて憂鬱が生まれてくる5月。どちらも私たちは何とか乗り越えてきた。偉い。しかし、6月更なる難易度の試練が私たちへ降りかかる。そう、梅雨入りだ。毎年この時期になると、各地で梅雨入りを告げるアナウンサーの声が高らかに響く。あんなに笑顔で言わないでほしいというのはさておき、私たちはこの時期、宣言に怯えながらの生活が続く。

あんなに楽しみにしていた桜開花宣言を約3か月前に終えたばかりの私たちにとって、いくら何でも惨い仕打ちだ。個人的には、梅雨の時期が1年で一番嫌いだ。いつか北海道に住んでみたいものだ。

さて、私はエンジンを搭載した乗り物を有していない。基本の移動手段は自転車である。トロトロとペダルを漕いで目的地へと向かう。これが梅雨の時期となるとどうだろう。まあ言うまでもなくびしょびしょだ。梅雨の時期のはずれの日に当たると、本当に息ができないくらいに雨粒が打ち付ける。もちろん荷物も濡れてしまうことは避けられない。

ここまで書いていて私が梅雨アンチのように見えるだろう。しかし、そうではない。別に特段嫌いなわけではない。好きではないが。

メンヘラ彼女のような言い方になってしまったが、本当に嫌いではない。いったい何が好きなのかというと、濡れた小動物の愛らしさである。もちろん濡れていない状態の猫も可愛い。可愛すぎる。でも雨というイベントが発生すると、その瞬間から猫が更に可愛く見えて仕方ないルートへと進んでしまうのである。濡れているという状況が私の母性本能に訴えかけてきて、そのまま抱きしめたくなる。こんな状況に遭遇する度、猫を飼うことを検討するのだが、私は普通の大学生。いくら家にいる時間が長い私とはいえ、バイトで1日外出していることもあるため、ずっと世話をすることが難しいことが理由となり、実現には至っていない。

私の家系はペットとは無縁である。犬や猫といったペットを家族として迎えたことは一度もない。だから、友達の家に遊びに行ったとき、軽く愛でてあげるくらいが私の動物とのかかわりであった。その反動だろうか、昨年一人暮らしを始めてから、とにかくペットを飼いたくなった。いつかは猫に囲まれて生きる、そんな暮らしを夢見るようになったことは、梅雨の功名なのかもしれない。

そして、いつか家に迎えたとき多分こう言う。

遂にあいつがやってきた。

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