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インドネシアの話

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3年間住んでいたインドネシア。 ちょっとした日常の思い出から、インドネシアの観光情報まで、インドネシアに関するものが雑多に詰め込まれています。 玉石混交……いや、石石混交かな。
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記事一覧

自分で自分の尻を拭うという事

自分で自分の尻を拭うという事

ぼくは、自分で自分の尻が拭える男である。
文字通りの意味で。

インドネシア生活が2年目に突入した春のことだった。
フローレス島という離島の、クリムトゥ山という山で朝日を見ていたら、急に便意を催した。
フローレス島のクリムトゥ山は観光名所ではあるものの、外国人はあまり訪れない。
したがって、トイレにはトイレットペーパーなどというハイカラな物はなく、事後には水と左手でお尻を拭うローカルスタイルを強い

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THE ACT OF KILLING

THE ACT OF KILLING

週末に見た映画の感想。

満を持して見た、という感じだ。
半年前から見たいと思っていたものの、ハードな内容なので気持ちの踏ん切りがつかずにいた。
年内にはAmazonプライムを解約しようと思っているので、先週末にいよいよ鑑賞することにした。

THE ACT OF KILLING日本語訳すると、「殺戮行為」といった感じだろうか。
あらすじは以下の通り。

1965年、インドネシア政府が軍に権力を奪

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公用旅券の話

公用旅券の話

前職では公用旅券というパスポートを所持していた。

「OFFICIAL」の文字がある通り、大使館の職員やそれに準ずる立場の人が携行する、公的なパスポートだ。
表紙が赤や青の一般旅券とは異なり、このパスポートは任期中しか使用できない。
そのため、本帰国後はその日のうちに外務省まで赴いて、パンチを入れてもらい、失効手続きを行うことになる。

海外における公的な任務のために発行される公用旅券は、基本的に

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勝手にインドネシア語布教委員会

勝手にインドネシア語布教委員会

外国語学習者にとって、インドネシア語はとっつきやすい言語の一つである。

様々な言語が話される多民族国家において、インドネシア語は仲介言語の役割を果たしており、文法や基本語彙の点で比較的平易である。
ただし、一つの単語がいろいろなニュアンスを含んでいるため、インドネシア語をネイティブ並みに使いこなそうとすると、急に難易度は高くなるらしい。
その反面、うっっっすい日常会話くらいならすぐにできるように

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『人間の大地』(プラムディヤ・アナンタ・トゥール)

『人間の大地』(プラムディヤ・アナンタ・トゥール)

#推薦図書

プラムディヤ(Pramoedya Ananta Toer, 1925年2月6日 - 2006年4月30日)は、インドネシアの小説家。
生前は、「アジアにおけるノーベル文学賞の最有力候補」と言われていた。

1965年に同国で発生した軍事クーデター「9月30日事件」で、インドネシア共産党との関与を疑われ、政治犯として10年以上の流刑生活を送る。
本日取り上げる『人間の大地』は、その獄中

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バリ島🌴での買い物事情

バリ島🌴での買い物事情

今日の島は寒い。
昨晩から断続的に雨が降っており、昼間になっても気温が上がりきらない。

押入れの奥から、長ズボンを引っ張り出す。

バリ島で買った「バリパンツ」。
東南アジアや南アジアの観光地に行けば、どこにでも売っている定番のお土産である。
何なら、那覇の国際通りでも売られている。

🏖🌴🏄‍♂️🏖🌴🏄‍♂️🏖🌴🏄‍♂️🏖🌴🏄‍♂️

バリ島といえば、10月中旬に外国人

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ブキティンギ🇮🇩の観光情報④

ブキティンギ🇮🇩の観光情報④

シリーズの最終回。

ブキティンギを含むスマトラ島の高地には、ミナンカバウ族という民族が住んでいる。
インドネシア全体の人口比率で見ると3%程度の少数民族であるが、彼らは伝統的に教育を重んじ、商才に長けていることで有名で、インドネシアにおける政治や文化など様々な分野で存在感を示している。

本日は、そんなミナンカバウ族を紹介する。

水牛伝説ミナンカバウとは、現地の言葉で「水牛の勝利(minang

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ブキティンギ🇮🇩の観光情報③

ブキティンギ🇮🇩の観光情報③

本日は、ブキティンギ市内の紹介。

ブキティンギの市街地は、歩いて1周できてしまうほど小さい。
ただ、中心部には動物園があったり、市場が軒を連ねたりしていて、活気のある町である。

高原都市ブキティンギは坂の町。
入り組んだ路地に階段が張り巡らされ、集落を結んでいる。

インドネシアは人口大国。
小さな町とはいえ、たくさんの人が生活を営んでおり、市場では露天が軒を連ねている。
まるで日本の縁日のよ

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ブキティンギ🇮🇩の観光情報②

ブキティンギ🇮🇩の観光情報②

本日は第2弾。

↑昨日の記事。

今日は、ラフレシアと赤道とその他の自然の話をしようと思う。
昨日の時点では「ミナンカバウ族」のことも書くつもりだったが、この民族に関しては面白い話が盛り沢山なので、後日にまわす。

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バタン・パルプ国立公園自動車をチャーターしていた(1日約5,000円)のだが、運転手さんにコーヒー

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ブキティンギ🇮🇩の観光情報①

ブキティンギ🇮🇩の観光情報①

昨日、沖縄県豊見城市にある旧海軍司令部壕を見学したという記事を書いた。
那覇市にあると勘違いしていて、ハッシュタグを「那覇」にしていた。
ごめんなさい。
正しくは、豊見城市です。

太平洋戦争の戦跡は、日本だけにあるわけではない。
当時、日本が占領していた東南アジアの国々にも戦争遺構は点在している。

本日は太平洋戦争の遺構にちなんで、インドネシア🇮🇩の地方都市ブキティンギを紹介する。

🇮

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インドネシアの大統領選挙

インドネシアの大統領選挙

昨日、間も無く訪れる衆議院選挙に関する話を書いた。

選挙にちなんで、本日はインドネシアの大統領選挙の話。

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ぼくがインドネシアに住んでいた時に大統領選挙があった。
2019年4月17日の話だ。

↑当時のdoodle。
投票者の服装や肌の色が多様で、多民族国家のインドネシアらしいイラスト。

そんなインドネシア🇮🇩の

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夜の散歩で聴きたい歌 3選

夜の散歩で聴きたい歌 3選

南国の街は、夜になるとにわかに活気を帯び始める。
赤道直下の烈しい太陽が地平に沈んで暑さが和らぐと、人々はぞろぞろと街に繰り出す。

イスラム教徒の多いインドネシアでは、ちょうど日没のタイミングでアザーンが街中に響く。
アザーンは礼拝への呼びかけで、独特の節回しで詠唱される。
厳密にいうとアザーンは音楽ではないのだが(イスラム教正統派は音楽自体を禁止している)、異国の人間にとって、アザーンはまるで

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2年前にiPhoneを買った時の話

2年前にiPhoneを買った時の話

昨日に引き続き、iPhone関係の話。

はじめに2年前ということは、ぼくがまだインドネシアに住んでいた時の話だ。

2年前の9月はちょうどスマホを買い換えようと思っていた時期で、Appleの発表会を待ってiPhoneを購入することにしていた。

2019年当時のインドネシアでは、2世代くらい前のモデルしかiPhoneが販売されていなかった上に、値段も日本の1.5倍くらいしていた。
ただし、現在改

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ソピルの話

ソピルの話

コロナのことについて考えていたら、ふと思い出したことがあったので書いてみる。

例の如く、取り止めのない回顧録である。

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ジャカルタに住んでいた当時、運転手を雇っていた。

車やバイクが溢れ、慢性的な渋滞に陥っているジャカルタは、交通ルールが崩壊しているため、外国人が車を運転することは困難である。
そのため、ジャカルタに住む外国人

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