ミルクティーの誘惑


私の最もお気に入りの飲み物

それはミルクティーである。


中国語でいうと『奶茶(ないちゃー)』


なんで、ミルクティーが好きかは分からない。

好きの理由なんてものは、だいたい存在しない。


「理由のない愛のほうが、信頼できる。」


と言ったのは、どの男だったっけ。


とにかく、幼い時から、ミルクティー 一筋


「レモンかミルク、お付けしますか?」

と聞かれて、ミルク以外を頼んだことがない。


これはきっと、母が私を産む直前に(夏も真夏の真っただ中)

母が、父に「自動販売機で、ミルクティーを買ってきて。」

と頼んだら、あまりの暑さに、飲み物までぬるかった。

というエピソードが、関係しているだろうと私は思っている。





仕事終わり、携帯を見ると、もう充電が残り2パーセントになっていた。

とんでもなく儚い命すぎるな、と思う。

でもすぐに、”そこに儚さなど存在しない”、と思った。

どうせすぐに生き返る。

だから人の命には、終わりがあるんだ。

大丈夫、儚いものは美しい。


(中国では、携帯の充電が切れると、財布を失くした時くらい困る。

財布を失くしたことはないけれど、とにかく何でも携帯なんだ。

なんでもQR決済。

仕事帰りに、ぎりぎり買い物できるだろうと思って、ピーマンとジャガイモを抱えてレジまで行くところで、充電がお亡くなりになった。

現金なんて持っていない。

残念。ピーマンとジャガイモをもとにあった場所までお連れして、別れを告げた。

「ごめんね、買ってやれなくて。」)



とにかくそんな充電ぎりぎりの携帯電話に、彼氏ではない男からの連絡が一件。

最近出会ったばかりで、近所を散歩したり、美味しいものを一緒に食べに行くような仲の男性だった。

しかし、彼の中に、男女を意識しているような、恋愛感情に近いものを感じ始めたので、残念だけれど、もうあまり親しくしないようにしようと思っていた人。


もちろん、普通の散歩のお誘いや、夕飯のお誘いだったら、無視していたかもしれない。

しかしコイツ、私の気を引くためか、

「ミルクティーのお誘い」

をしてきたのだ。

日本もそうだけど、そこら中にタピオカ屋さんがある。

「ミルクティーのお誘い」とは、それの事。


正直に言おう。私は心が揺れてしまった。


もし、私が日本に住んでいて、注文も自分ですることができるなら、わざわざ「ミルクティーのお誘い」に乗ることなんかない。

そんなのは、勝手に会いたい理由を作っているだけだ。


でも、言葉が通じない国で、一緒にご飯を食べに行ってくれるような、通訳の存在のありがたさ。なんでも食べられる幸せ。


私はこの誘惑に、少し揺れてしまった。


家に帰宅し、充電をしながら、この件について考える。

(友達としてなら問題ないだろう・・・)

と考え、 

「ただの友達として?」

と返信をする。


「オッケー」と返ってくる。


でも、、、

どうせなら、一緒に飲んで、美味しいって感じる人と一緒に飲みたいよなーと思い直す。

私の事を、ミルクティーで誘惑していいのは、本命の彼だけだ。


そして、

「今日は予定があった。」

と言って断った。






つづく(べつの話題に)



































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