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2020年5月の記事一覧
Flower language
私の彼は変なことに詳しい。
それが役に立つ知識ならまあ許せるのだけど、彼の披露する知識は大概、それで?と言いたくなるような変なものばかりなのである。
以前友達に愚痴ったところ、なにも知らないよりいいんじゃない、ととりなされたけれど、日々そういったムダ知識を詰め込まれるほうの身にもなっていただきたい。
それゆえにその時の私のリアクションは大体「へー」ではなく、「へ?」である。このニュアンスの違いが
コインランドリースケープ
コインランドリ―の風景が好きだ。
学生のころは一人で近くにある古びたコインランドリーに行っていた。
お金もないのでたまにしか使わなかったけど、行くときはたいがい夜遅くだった。切れかけでチカチカする蛍光灯の薄暗い感じとか、ゴンゴンとうるさい乾燥機の音の隙間を縫って、遠くから聞こえてくるパトカーの音を聞いていると、都会にいるんだなという実感がした。
ときおり洗濯物を回収しに来たラフな格好のおじさんと
おいぼれオヤジとおんぼろパンダ
風雨に晒されて色あせたパンダの皮をむくと、強化プラスチック製の本体がむき出しになる。背中部分の蓋を留めるネジは錆びついており、表面に浮いている錆だけ軽くぼろ布でふき取ってからスパナを引っ掛ける。気を抜くと錆びごとスパナがはずれそうになるため、慎重に力を込めてネジを緩めて蓋を開ける。
開けた部分を覗き込んで、俺はつぶやいた。
「あー、こりゃなかなかの状態だなあ」
声が聞こえたのか、後ろで様子を眺