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学芸会は時代遅れ?学習指導要領から読み解く本来の目的と必要性

学芸会とは?小学校の学芸会の目的とは何かを解説


今年、学芸会があるという学校もあるのではないでしょうか?
そもそも、
「学芸会って何?」
と思っているかたもいることでしょう。

学芸会とは、簡単にいうと、小学校で学年単位で実施する劇のことをいいます。

そもそもこの学芸会って何のためにやっているのでしょうか?
今回は、学芸会の目的について考えていきたいと思います。

小学校学習指導要領では文化的行事の一つとして学芸会を位置づけ、

平素の学習活動の成果を発表し、自己の向上の意欲を一層高めたり、文化や芸術に親しんだりするようにすること

小学校学習指導要領解説「特別活動編」

をねらいとしています。

また、

文化的行事のねらいは,次のとおり考えられる。  児童が学校生活を楽しく豊かなものにするため,互いに努力を認めながら協 力して,美しいもの,よりよいものをつくり出し,互いに発表し合うことによ り,自他のよさを見付け合う喜びを感得するとともに,自己の成長を振り返 り,自己のよさを伸ばそうとする意欲をもつことができるようにする。

小学校学習指導要領解説「特別指導編」

と、ねらいについてはさらに詳しく明記されています。

文化的行事の例として、学習指導要領には、

文化的行事には,児童が各教科等における日頃の学習の成果を総合的に発展させ,発表し合い,互いに鑑賞する行事と,児童の手によらない作品や催し物を鑑賞する行事とがある。前者には,学芸会,学習発表会,展覧会,作品展示会,音楽会,読書感想発表会,クラブ発表会などがあり,後者には,音楽鑑賞会,演劇鑑賞会,美術館見学会,地域の伝統文化等の鑑賞会などが考えられる

小学校学習指導要領「特別活動編」

と、学芸会も例示されていますが、学芸会をやらなければいけないわけではないのが分かります。

でもなぜやるのか?

それは簡単です。
これまでずっと学芸会が実施されてきたからです。

もちろん、議論して廃止にした学校や、トップダウンという形で廃止になった学校もあります。
また、学習発表会という形になったという学校もあるでしょう。
ただ、学習発表会という名前にしても、結局、劇をやってしまう先生もいるから、名前だけ変わっただけという学校もあります。
学習発表会であるなら、生活科または総合で学習した内容の発表であるべきです。
これなら、年間指導計画で位置づけられるので、4月から準備がすぐできます。

しかし、多くの学校では、例年主義という呪縛のもと、学芸会が実施されています。
学校には、「スクラップ&ビルド」という発想がそもそもないので、学芸会だけでなく、これまで積み上げてきた学校文化をなくすということができないでいます。

さらに、スクラップできないだけでなく、新しいこと(外国語、ICT、特別支援教育などなど)が次々と上から積み重なっていくので、どんどんそれが重荷となって先生たちの負担となっているのです。

これは学校という組織だけの問題ではなく、教師の価値観のパラダイム変換が求められているともいえます。
負担が増えることだけを嘆いていても、学校は変わりません。
まずは、スクラップできるものは、いったんスクラップするという覚悟が必要です。
その上でどうしても必要ならば、また新たに作り上げていけばいいだけのことです。
このような発想の指導主事、管理職、および管理職予備軍、がもっと増えていくことを願います。

一番スクラップしてほしいと感じるのは
「周年行事」
です。
〇〇小学校50周年式典なる式典が催されます。
この準備にどれだけ先生たちが苦しめられているのかおそらく知らないのです。
この式典はいったい誰のために、何の目的でやってるのか理解に苦しみます。
航空写真だけで十分です。
どうしてもやりたい学校は、いったんスクラップした上で、学校独自で実施すればいいだけのことです。

ちょっと脱線してしまいました…すみません!

さて、話の続きです。

学習指導要領には、

ア 言語能力の育成の観点から,学芸会などで異年齢の児童が一堂に会して,互いに発表し合う活動を効果的に実施することが望ましい。
その際,特定の児童だけが参加,発表するのではなく,何らかの形で全員が参加しているという意識をもつことができるようにする。

イ 児童の発表意欲を尊重し,自主的,実践的な活動を十分に認め,できるだけ主体的に運営できるよう配慮する。
そのためには,児童会活動やクラブ活動などの組織を必要に応じて活用し,児童が計画したり運営したりできるようにすることが望ましい。

ウ 練習や準備に過大な時間をとり,児童に過重な負担をかけることのないように,練習,準備の在り方を工夫,改善するとともに,年間指導計画を作成する際にあらかじめ適切な時間を設定しておくようにする。

小学校学習指導要領解説「特別活動編」

と、実施上の留意点が書かれています。

「練習や準備に過大な時間をとり,児童に過重な負担をかけることのないように…」

とあるにもかかわらず、
学芸会を実施している学校の練習の実態は、準備に過大な時間をとっているのが現状です。

さらに、この学芸会の練習は運動会同様、支援を必要とする児童にとって苦痛この上ない時間になっていることも忘れてはいけません。
学芸会練習がある日は、欠席するなんていう子もいます。
また、せっかく練習したにもかかわらず、当日パニックおこして参加しないなんてケースもあります。

多数派による、多数派のための、少数派には寄り添うことのない学芸会となっているのです。

わたしは、学芸会をなんとしてでも廃止したいと願っているわけではありません。
まあ、ない方が楽なので、どちらかというと廃止になったらいいかなとは思います…

なくなるのであれば、時代の流れかなと思いますし、もしやるのであれば、ゴールを明確にしてやればいいと思っています。

もし学芸会を実施する学校に赴任したのであれば、

文化的行事のねらいにもある、

「平素の学習活動の成果を発表」


を意識させなければなりません。

では「平素の学習活動」とはなんなのでしょう?

学芸会で行っていることを考えれば簡単です。

学芸会では、
①セリフを大きな声をだして、役になりきり演じること。
②セリフがないときでも役になりきり演じること。
③歌を歌うこと。
この3点が主な指導内容となります。

これが当日できるようになるための、平素の学習活動を考えればいいだけのことです。

平素の学習活動で実践できること
①挨拶・返事(毎日)
②授業中の発言(毎日)
③音読(国語)
④役割演技(国語の言語活動として)
④歌唱(音楽)

以上、5点を4月から意識して取り組んでいくのであれば、学芸会を実施する意味はあるかと思います。

しかし、
音読にどれだけ力を入れているでしょうか?
音読を毎日宿題に出している先生は多いですが、その宿題のフィードバックをしているかといえば疑問が残ります。

国語の物語文の学習のまとめとして、劇などを実施しているでしょうか?
1年生では「大きなかぶ」で役割演技する方も多いですが、上学年になったらまず、この役割演技をしなくなります。

さらに、劇中に歌う歌です。
学芸会がある年になると、音楽専科の先生は嘆きます。

なぜか?
4月から積み上げてきた、歌唱指導が一旦消えてしまうからです。

音楽の授業では、頭声的発声(透き通るような声のこと)で歌えるように指導していますが、学芸会では、声の大きさを求められます。
しかも教えるのは頭声的発声の知識などもっていない担任。

「もっと声をだそう」
なんて指示をするものですから、
結果、子ども達は地声で叫びまくります。

だから、音楽の先生は、地声になった子どもたちの声を、もとに戻すのに時間がかかるため、嘆くのです。

ここまでくればおわかりだと思いますが、
これまでの学芸会は、平素の学習活動などほとんど意識されずに実施されていたことが明確です。

なので、
上記5点が実施できないのであれば、学芸会は廃止すべきです。

もし可能であれば、実施してもよいのではないかと思います。
そのためには、学芸会のスクラップ&ビルドを行い、全員の共通理解と覚悟が必要となります。

学芸会に関する記事もあるので一応紹介しておきます

ついでに音楽会の記事も紹介します


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それではまた!

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