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次の10年に向けて「プラネタリー・グッド」を提唱する理由。

プラネタリー・グッド(Planetary Good)
#プラネタリーグッド #PlanetaryGood

って、聞き慣れない言葉だと思います。

それはそうでして(笑)、私達いきものCo.(いきものカンパニー)が掲げるコンセプトとして著作・造語したもので、今のところgoogle先生で検索かけても、弊社サイトと私のコメントくらいしかヒットしない、産まれたての言葉です。

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私達はこの『プラネタリー・グッド』を、これまでの10年の中心的な価値観であった"ソーシャル・グッド"に次ぐ、これからの10年(2021〜2030年)の標語として提唱していくつもりです。

さて。何でこんなことを言い出したかと言うと。

2020年は、多くのインキュベーション案件を手がけさせて頂きました。スタートアップ創出・支援だけでなく、大きな企業の新事業開発プロジェクトや、新しい事業を作っていく人材育成プログラムの企画・運営まで幅広い機会を頂きました。(ご一緒させて頂いている皆さま、ありがとうございます。)

同時に、手掛けきれないほどの案件やテーマを前に、必然的に絞り込まなければならず、改めて「私たちが作りたい未来は何か」ということに向き合うことになった2020年でした。

『プラネタリー・グッド』

このコンセプトに辿り着いたのは、2020年6月頃。

いきものカンパニーは、その名の通り、「人にも、いきものにも、地球にも良い取り組みをたくさん作ろう」ということをミッションにしてきました。新しい取り組みを生み出す・孵化させるという意味の"インキュベーター"になろう、ということです。

インキュベーターは常に、「何が(他とは違う)新しさなのか」と「どう成長させる(育てる)のか」に向き合う仕事です。言い換えれば、「新しく生み出し、成長させさえすれば成功」という存在になりがち、とも言えます。

しかし、そういう成長(が期待される)事業の中には、時に、大きな「外部不経済」や「社会や環境にとって負債」を生み出すものがあります。むしろ、そうしたビジネスモデルや、それらを助長する社会システムが中心的だからこそ、社会問題や地球環境課題といわれるものがもはや無視できないレベルまで膨らみ、今頃になってSDGsやESG経営の重要性が謳われるような時代になったわけです。

そして、残念ながら、私たちに来るご相談の中にも、そうした「大きな外部不経済を生み出すことで成り立つ、急成長モデル」を企図するものが多くあります。率直に書いてしまえば、私たちが手がけ、生み出す事業やプロジェクトが「生物や生態系、地球に良くない」のであれば、私達自身の存在意義に関わる、と思う場面も増えたのです。

皆さんもお気付きでしょう。

向こう10年(その先もずっと)、こうした外部不経済を増大させる企業やサービスは「もう急成長はしない、ブレーキがかかる」ことは明らかです。

◆地球環境にネガティブなインパクトを起こす仕組みには、これから強い規制がかかります。
◆逼迫する資源に依存していると、必ず供給リスクや価格高騰により事業存続が困難になります。
◆ジェンダーやダイバーシティに配慮しない組織は、採用はもちろん、雇用法規や各種政策、企業価値評価においても不利になります。
◆原料・資材、エネルギー、製造・流通工程と、その社会・環境インパクトのすべてが、市場・生活者の評価対象となります。

これらは"既に起きている未来"で、既存のルールや市場なんて無いに等しく、既にあるビジネスモデルのマネゴトで成長することも困難です。そんなの当たり前だよね、と言う方もたくさんいらっしゃるかも知れませんが、こうした「予測できる社会の大きな動き」を踏まえた、新しいマネジメント標準も、事業モデルも、ファイナンスの枠組みも、まだ多く現れてはいません。

むしろ「環境や社会に良いことはCSRでやってるし、そんなことでは事業(収益)は伸びない!」ということを、平然と口にする企業も未だに少なくありません。そこまで時代錯誤や思考停止ではなくても、SDGs推進やESG対応を、収益に繋がらない手間・制約・コストと見る向きも根強いのではないでしょうか?

僕はこの認識・危機感のギャップこそ、むしろ、ビジネス・チャンスになると見ています。

世界は今、大きく2つのうねりが起きています。

●一つは、環境や社会負荷の高い事業モデルや技術に代替し得る、循環的(circulative)で再生産的(Regenerative)な事業や技術の台頭

●もう一つは、既存の経営・事業モデルから、持続的なモデルへの変革を目指す事業体や自治体への評価や支援(投融資などのファイナンスも含む)

この二つは両輪となり「明らかに成長していく(いる)」のです。それは、単に国内外の規制や世論の追い風が吹いているに留まらず、「認識や対応の遅れた既存事業者達のシェアを、容易に奪うことができる」からです。

これまでの10年も同様でした。

「ソーシャル・グッド」や「シェア」が直近10年程度の時代の軸となり、数多くのスタートアップやプロジェクトが台頭し、社会を変えてきました。しかし同時に、それを軽視した既存プレーヤーはあっという間にシェアを失っていきました。慌ててオープンイノベーションと謳い、スタートアップと連携を図ろうとしても、旧態依然とした価値観や収益構造を押し付ける形で、数多くの軋轢を生んでいることは記憶に新しいでしょう。

さて。2030年に向けて、これからの10年。

事業創出を手がけるインキュベーターとしては、ソーシャルグッドやシェアを内包することはもちろんのこと、それを越えて、もう一次元高いビジネス・デザインを手がける必要がある、と考えています。

①今の社会にも(潜在的に)求められ、子供や孫の時代にも受け継ぎたいビジョンや事業であること
②その事業は、広義の社会コスト(ソーシャルイシューを含む)を減らす方向に貢献していること
③資源・生物・生態系にもポジティブなインパクトがある・ネガティブを減らせること
④それらを多くの人に伝え(啓蒙し、理解を高め)ながら、たくさんの人の賛同と参加を得ること
⑤結果として、環境・社会に負のインパクトを与える既存事業者や産業に代わって普及・拡大していくこと
⑥事業体としてビジョンや価値基準を持続し、近視眼的な判断を抑止する経営体制やルールを有すること
⑦そして、その事業(体)の存在が世界の先駆事例として、地球規模にポジティブなインパクトを与えること

この7要素※が満たすことが、私達の提唱する、
『プラネタリー・グッド(Planetary Good)』です。

※言葉や概念は磨いているところです。

サーキュラーエコノミー、サステナビリティ、ダイバーシティ、インクルージョン、ジェンダー、脱炭素、生物多様性、SDGs、ESGなど、あらゆる飛び交う課題や言葉を内包して、

平たく言えば『地球にも、人間社会にも、ポジティブであり続けられる事業・組織を作ろう』ということに尽きます。

そして、大切なポイントですが(先程も書いた通り)、事業成長を投げ出すのではなく、既存の事業モデルや技術の代替という形で、新たに普及・拡大する事業を作ることを目指します。

事業価値評価の観点では、短期的な利益率よりも、面的な拡張性や、事業・収益の継続性の重要性が増していくでしょう。社会コスト削減や資源循環を実現し得る事業モデルは"地域で小さく、成長を追わず"と思われがちですが、グローバルに(あちこちで、素早く)展開できる分散型に設計することで面的な成長が可能です。また、事業上のあらゆるリスクやコストを下げる(例えば、調達リスクのヘッジ、規制リスクの回避、顧客離脱の低下、採用コストの逓減など)ことでの収益の継続性への説得力が高まっていきます。社会インパクト評価が、企業価値(株式価値)評価とダイレクトにリンクする時代も、もうすぐそこです。

そして、最も重要なことを。

このプラネタリー・グッドな事業を創出するには、ITだけでできることを遥かに上回る、バイオ(生物学的)テクノロジー、マテリアル(物質的)テクノロジー、それらに関わるサイエンス・ラーニング、そしてデザインを活用した社会イノベーションが求られます。

これからの10年、生物学、生態学、地球環境科学などの自然科学分野や、それらと工学・化学・社会学を組み合わせた先端研究やスタートアップに、より大きく、長期の資金をつけていく必要があります。また、デザインの活用によるコミュニケーション促進や社会実装の加速にも、本格的に投資していくべき時なのです。(※これは政策レベルでも議論されているはず)

これに気付いている投資家や金融機関、企業はとっくに動き出していますし、研究も始めています。私達もこのような先駆的なプレーヤーと共に、『プラネタリー・グッド』を提唱しながら、これからの10年を作るインキュベーション・ネットワークを構築していきたいと思います。

これをお読みになっている皆さんも、是非『プラネタリー・グッド』の実現に向けて、新しい取り組み(事業、プロジェクト)をご一緒させて頂けたら幸いです。

よろしくお願い申し上げます。

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インキュベーター(事業を創る&支援する人)。ライフワークは #プラネタリーグッド な社会づくり。農畜水産・食料分野が専門。慶應SFC研究所 上席所員/農林水産省生物多様性戦略 検討委員など。いきものカンパニーなど2社の代表。グッドデザイン金賞など。

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