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登山者のための神社学

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YAMAKEIonline(https://www.yamakei-online.com/yama-ya/group.php?gid=17)にてご紹介いただいた記事をまとめていき… もっと読む
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記事一覧

神々の故郷、宮崎県・高千穂の天孫降臨伝承地・二上山と、彼の地に残る鬼・「鬼八」に思いを馳せる

神々の故郷、宮崎県・高千穂の天孫降臨伝承地・二上山と、彼の地に残る鬼・「鬼八」に思いを馳せる

神々が降り立った地として知られる宮崎県・高千穂町。降臨とされる場所のひとつが二上山で、そこには降臨に関する史跡も数多く残る。しかし、周辺に伝わる伝説から降臨以前の歴史を辿ると、高千穂の信仰とは一線を画す土着信仰の名残が残っていることに気付く。

全国的にも神々の故郷としてひときわ名前が知れ渡っているのが宮崎県の高千穂町だろう。日本創生の神話が記された古事記において、神々が降り立った最初の土地として

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大自然と人間を繋ぐ神々への想い ~木曽御嶽山~ 下編

大自然と人間を繋ぐ神々への想い ~木曽御嶽山~ 下編

2019年夏――、噴火から約5年、御嶽山山頂への登山が、いよいよ解禁されようとしている。神社や暮らしの中にある信仰を独自に研究する中村真氏が、追悼の想いを込めて御嶽山への登拝の想いを綴る。

※こちらは2019年にYAMAKEIonlineにご紹介いただきました。

御嶽山への登拝は、先達(指導的な修行者)と信徒が一緒になって体験する聖地巡礼の旅ともいえる。日常と非日常、生と死、この世とあの世、俗

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大自然と人間を繋ぐ神々への想い ~木曽御嶽山~ 上編

大自然と人間を繋ぐ神々への想い ~木曽御嶽山~ 上編

山岳信仰の代表的な山として知られる御嶽山は、平成26年9月に突然の噴火により戦後最悪の火山災害の地となった――。まだ往時の活況には程遠いものの、この山が持つ神秘的な魅力は、多くの人々の心を引きつけている。

※こちらは2019年にYAMAKEIonlineにご紹介いただきました。

長野県と岐阜県の県境に位置し、古くから信仰の山として多くの人々の心象風景に深く刻まれてきた木曽御嶽山。平成26年の御

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二千四百年以上の歴史を伝える、新潟県・弥彦山の信仰と伝説

二千四百年以上の歴史を伝える、新潟県・弥彦山の信仰と伝説

越後平野に浮かぶようにそびえる、三角錐の端正な山容の山、弥彦山。その麓に里宮を、頂に御神廟を持つ彌彦神社は、3つしかない鎮魂祭を行う神社として知られる。その理由は、二千四百年以上も前――、弥彦山に祀られている天香山命の神武天皇の「神武東征」での活躍から来るものだという。

広大な越後平野の中央に固まるように聳え立つ弥彦山脈の主峰である弥彦山は、北に位置する多宝山との双耳峰である。北に角田山、南には

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神々の母イザナミノミコトの墓所の伝承地・比婆山で気付いた、熊野信仰・花の窟神社との繋がり

神々の母イザナミノミコトの墓所の伝承地・比婆山で気付いた、熊野信仰・花の窟神社との繋がり

広島県北部、島根県との県境にほど近い位置にそびえる比婆山(ひばやま)。神々の母である伊邪那美命(イザナミノミコト)の墓所の伝承地とされる場所の1つだが、ここに伝わる伝承は、もうひとつの伝承地である熊野・花の窟神社の伝承そのものであることに気付く。

神話の山・比婆山と、広島県庄原市・比婆山熊野神社

広島と島根の間に広がる山岳地帯・中国山脈の広島側に神話の山・比婆山はある。この山を越えると、そこか

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神々の故郷、宮崎県・高千穂の天孫降臨伝承地・二上山と、彼の地に残る鬼・「鬼八」に思いを馳せる

神々の故郷、宮崎県・高千穂の天孫降臨伝承地・二上山と、彼の地に残る鬼・「鬼八」に思いを馳せる

神々が降り立った地として知られる宮崎県・高千穂町。降臨とされる場所のひとつが二上山で、そこには降臨に関する史跡も数多く残る。しかし、周辺に伝わる伝説から降臨以前の歴史を辿ると、高千穂の信仰とは一線を画す土着信仰の名残が残っていることに気付く。

全国的にも神々の故郷としてひときわ名前が知れ渡っているのが宮崎県の高千穂町だろう。日本創生の神話が記された古事記において、神々が降り立った最初の土地として

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両神山の岩稜に、日本創生の祖神様を祀る“ドラゴンロード”の姿を見た――奥秩父・両神山

両神山の岩稜に、日本創生の祖神様を祀る“ドラゴンロード”の姿を見た――奥秩父・両神山

奥秩父の北端、鋸歯状の岩稜が連なる険し山として知られる両神山。古くから山岳信仰の対象とされ、一般的には神犬信仰で知られるが、龍神信仰の史跡も残る。そして実際に登ってみると、そこはまるで山全体が龍の身体のように見えたのだった――。

美しい自然と険しく荒々しい岩稜が相対する両神山春先には山頂一帯にアカヤシオが咲き乱れ、秋には一面の紅葉が特に美しいと言われる――。山中に多くの自然林を残した御山が埼玉県

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妙連な山容に蘇りの神をみる――妙義山登拝から見えた日本人の心の在りようの変化

妙連な山容に蘇りの神をみる――妙義山登拝から見えた日本人の心の在りようの変化

奇怪な山容、厳しく危険な登山道、美しい新緑や紅葉などに誘われ、多くの登山者・クライマーが訪れる妙義山。古来からの信仰の対象とされてきた山の歴史を辿っていくと、そこには日本人の心の在りようの変化を感じることができる。

断崖絶壁、奇岩だらけの絶景――。古い火山が長い時間をかけて浸食を受けて硬いところが残った結果、異様な形をした嶺の多くが連なり、白雲山、金洞山、金鶏山という山が生まれた。その三山の妙連

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随一の人気を誇る山・北アルプス穂高岳も、じつは神様が守ってくれている

随一の人気を誇る山・北アルプス穂高岳も、じつは神様が守ってくれている

日本の登山者が最も憧れる山として挙げられる山、穂高岳。上高地の河童橋から見上げると実に神々しいこの山には、「穂高見命」という神様が祀られている。

国内でも有数の人気の山と言えば長野県の上高地。ハイシーズンともなると原宿の竹下通りかと思うほどの人であふれることは皆さんもご存じだろう。
本格的な登山道に入る手前の明神池には信州の古い信仰である穂高神社の奥宮がご鎮座されている。穂高神社とは安曇野市穂高

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信仰として山を登る「登拝」が日本では古代から行われていた。日本人の山との付き合い方

信仰として山を登る「登拝」が日本では古代から行われていた。日本人の山との付き合い方

「日本百名山、富士山、山ガール」などのブームもあって、近年の日本では多くの人が登山を楽しんでいる。しかし、「登拝」という形で、日本では古代から信仰登山が行われてきた。

「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」との趣旨で、近年では8月11日(今年は8月10日)が「山の日」という祝日となった。
かつて登山といえば、大学や社会人の山岳部・山岳会を中心とした活動が中心であり、その後は1990年代には

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神様との出会いが僕を山にむかわせた/登山者のための神社学

神様との出会いが僕を山にむかわせた/登山者のための神社学

日本には、どんな場所にも当然のように神社がある神社を愛してやまない僕は、同時にいわゆる“DEAD HEADS”でもある。そして旅人でもあり、ビジネスマンでもあると自覚している。住まいは東京だが、1か月のうち自宅のベッドで寝るのは1週間程度で、あとは日本各地を移動しながら生きている。
その暮らしの根底にはアメリカのロックバンドである“GRATEFUL DEAD”の影響をふんだんに受けている。僕のよう

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