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禅寺の徒弟がゆくーチベット僧院留学記ー

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チベット僧院デプン・ゴマン学堂への留学で学んだことや体験したことを書いています。
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#インド

横浜善光寺季刊誌『成寿』に留学記を掲載していただきました。

横浜善光寺季刊誌『成寿』に留学記を掲載していただきました。

横浜善光寺発行の季刊誌『成寿』に私の留学記を掲載していただきました。本文は下のファイルにてご覧いただけます。

『成寿』のバックナンバーは下のリンクから取得できます。

インドからの帰国劇 ーインド国内編ー

インドからの帰国劇 ーインド国内編ー

日本でも連日報道されている通り、コロナの影響でインドはかなり危機的な状況にある。都市部では感染者の増加に歯止めがかからず、医療体制は崩壊しかけている。

そんな中、5月初めに外務省から一時帰国を検討するようメールが届いた。同時に各方面からも心配の声が届いた。昨年も同じように大学から帰国を検討するようメールが届いたが、留学を終えるまで1年以上あったのでインドに残る選択をした。しかし、今回は状況が状況

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明けましておめでとうございます!

明けましておめでとうございます!

ལོ་གསར་ལ་བཀྲ་ཤིས་བདེ་ལེགས་ཞུ།
明けましておめでとうございます。

本日2月12日、チベット暦2148年の正月を迎えた。今年も日本の正月に帰国しなかったのでやっと正月気分を味わえている。

今回も年末には同郷の人たちや兄弟弟子、同寮の者が集まり、朝から大量のモモを作って会食が開かれた。

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インドで警察に捕まった話

インドで警察に捕まった話

一年くらい前、郵便局へ行った帰りにいつも通りキリシャに乗って家に帰ろうとしていたところ、警察に止められた。パスポートやビザ、PAP(制限区域許可証)、外国人登録証の提示を要求された。生憎外国人登録証を持ち歩いていなかったため、交番に連れて行かれることになった。

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戻りつつある日常

戻りつつある日常

3月末にインド全土でロックダウンが開始されて以来、8ヶ月ぶりに生活用品店の正面出入り口が開いた。ロックダウンが開始された当初は店の営業が厳しく取り締まられていた。しかし、生活用品店だけは開いていないと困る。そのため店は裏口を開け、営業時間を制限して粛々と営業していた。それがやっと堂々と正面出入り口のシャッターを上げることができた。

食堂や喫茶店、本屋、携帯電話店も営業を再開した。

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コロナ禍中の僧院生活

コロナ禍中の僧院生活

インド全土でロックダウンが開始されてから3ヶ月が経ちます。ロックダウンの効果はあったのかどうかわかりませんが、インドの感染者数はずいぶん前に中国を抜きアジア1位になっています。それでもまだ感染者は1日に2万人近く増えいるようです。

私が今住んでいるカルナータカ州でも先週から感染者が急増しているようです。カルナータカ州は比較的感染者が少なかったのですがついにという感じです。お寺ではまだ感染者は報告

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インドでロックダウンが実施されてから2週間が経過。なんとか元気に生きています。

インドでロックダウンが実施されてから2週間が経過。なんとか元気に生きています。

インド全土でロックダウンが実施されてから2週間ほどが経った。まず驚いたのはロックダウン実施の発表が3月24日の夜で、実施開始が数時間後の25日0時からという驚異的な早さだ。日本ではまずあり得ないだろう。もちろんインドでも混乱はあっただろうが、政府や警察には逆らえないのでみんな従うしかないという状況だった。

私が留学しているデプン大僧院でも3月25日から法要などの集会は全てなくなり、食堂もお店もカ

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チベット僧侶の休日の過ごし方

チベット僧侶の休日の過ごし方

お寺に休日はあるのと思うかもしれないが、こちらデプン寺では月曜日が休日となっている。なぜ月曜日かというと、近くにムンドゴッド(Mundgod)という街があって、そこでは月曜日にバザールが開かれるからだそうだ。下の写真がムンドゴッドの街の様子。

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チベット僧院の食事 ー食堂編ー

チベット僧院の食事 ー食堂編ー

私がチベット僧院へ留学すると言った時、よく聞かれた質問が食事についてだった。

「チベット料理が出るんですか?」「チベット料理ってどんなものがあるんですか?」「お寺なので肉は食べられないんですか?」と。また、チベット僧院とはいってもインドにある。なので「カレーをよく食べるんですか?」とも聞かれた。

ということで、今回はチベット僧院(デプン寺)の食堂で食べられる料理をいくつか紹介したい。

まずは

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ダライ・ラマ法王のイベントに参加した話

ダライ・ラマ法王のイベントに参加した話

いつになくお寺の周りはお祭りのような雰囲気だった。

それもそのはずで、ダライ・ラマ法王猊下がこちらのお寺にいらっしゃっているからだ。法王がひとたび移動なさろうとすると、一目見ようと道は人でいっぱいになる。

今回は12月14日から22日にかけてデプン寺とガンデン寺で様々なイベントが催された。

まずデプン・ゴマン学堂の新しいチュラ(問答場)の落慶式から始まった。

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僧院でのお買い物

僧院でのお買い物

日本ではなかなか想像しにくいかもしれないが、こちらの僧院の敷地内は御堂の他に僧侶の寮や家が立ち並び、小さな街のような感じになっている。お店もあり、日用品や食品であれば僧院内で全て手に入れることができる。

下の写真はゴマン学堂のお店の様子。

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南インド乾季に突入ー洗濯物がよく乾くー

南インド乾季に突入ー洗濯物がよく乾くー

南インドは11月になって乾季に入ったようだ。

私がMundgodに到着してすぐの時は雨が降りっぱなしの日々だった。その時の様子は下の記事にまとめてあるので見て頂きたい。

しかし、11月に入ってからは一転して晴れっぱなしの日々が続いている。雨が降ることはあっても瞬間的に降るだけだ。お陰様で停電が少なくなった。

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ここ数日の電気と水

私がゴマン学堂に到着してから10日ほど経つのだが、雨が降らなかった日はない。そして降る時は強烈に降る。それが原因でここ数日電気と水道が満足に使えていない。

部屋の電気は夜に本が読めるか読めないかくらいに薄っすら点くだけだ。コンセントの差込口には電気は通っていない。ほぼ停電状態である。

昼間は日の明かりでなんとかなるのだが夜はどうしようもない。ただ、各寮には発電機が備えられており、停電している時

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留学に向けて

島根県にある小さな禅寺に生を受けて以来、私は仏の教えに囲まれて育った。

小学校に上がると、毎日朝早くから父と兄と一緒に本堂でお勤めするようになった。10歳の時に得度してからは、小僧として近くのお寺の法要や檀家の法事等に随喜させてもらった。中学生にもなれば仏教を勉強し僧侶として生きていきたいと思うようになっていた。この時はただ僧侶に囲まれて法要に随喜することが楽しく、父の説法をする姿を見て、自分も

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