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ウェルビーイングについて前野教授から学ぶ!仕事を通じて幸せになるために必要なこと〜マネプロ#42

こんにちは!

HRビジネスパートナーの
坪井(@tsubot0905)です。

マネジメントの進化を探求するnote
『マネプロ』は今回が第42回目です。

このマネプロnoteのシリーズでは、5分で分かりやすく学べるシンプルな構成と、相手とのコミュニケーションで使えるようなシンクロしやすい問いを意識した内容を心がけています。

さて、今回のマネプロのテーマは
「ウェルビーイング 〜 仕事と幸せ 〜 」です。

プロとのマネプロ対話、第7弾の企画になります。

世の中のプロフェッショナルな方々との対話から
学びを得るマネプロ対話は、毎回とても刺激的。

今回の探求で用意した問い/テーマはこちらです!
その道のプロに4つの切り口で聞いてみました。

この4つの問い / テーマについて対話させていただいたその道のプロは、ウェルビーイング』『ディストピア禍の新・幸福論』などの著者である前野隆司教授。

前野教授のことを紹介すると

慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科教授。2017年より慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター長兼任。

研究領域は、ヒューマンロボットインタラクション、認知心理学・脳科学、心の哲学・倫理学から、地域活性化、イノベーション教育学、創造学、幸福学まで。主宰するヒューマンラボ(ヒューマンシステムデザイン研究室)では、人間にかかわる研究なら何でもする、というスタンスで、様々な研究・教育活動を行っている。また、所属する文理融合の大学院SDM研究科では、環境共生・安全などの社会的価値を考慮した様々なシステムのデザインに関する研究・教育を行っている。著書多数。

ウェルビーイング研究に関して、日本では第一人者である前野教授にお話を伺えるということで緊張しつつ楽しみにしていました!

では、そろそろ前野教授との対話から学んだ内容にいきましょう。

目次はこちら!

<仕事が幸せにつながっていないのは、なぜ?>

まずは、↑のタイトルにある
最初のテーマの背景説明から入りますね。

社会人の多くは、起きている時間の大半を仕事に費やしています。

しかし、仕事の中に、自分の幸せにつながる要素がたくさんあると思っている人は、それほど多いとは思えません。

以前のマネプロで、ウェルビーイングにつながる「幸せ」を構成する5つの要素としてPERMA理論を紹介しました。

おさらいすると、それぞれ、

P:Positive emotion/前向きな感情
E:Engagement/コトへの没入感
R:Relationship/良好な人間関係
M:Meaning/人生の意味・意義
A:Accomplishment/達成感・自己効力感

です。

これら5つの要素を見てみると、人生にはいろんな側面がありますが、どれも仕事の時にこそ得やすそうなものばかりです。

自分の得意を生かして世の中に貢献することには強い意義を感じられそうですし、それだけで前向きになれそう。目標なしに達成感没入感は得難く、様々な人と関わる機会が得られるのも多くの人にとっては仕事くらいでしょう。

おまけに、幸福度の高さは健康や高い創造性、高い生産性に直結するという研究成果がたくさん積み上がっています。

例えば、日立製作所フェローでハピネスプラネットCEOの矢野和男氏の研究では、幸せなチームは不幸せなチームよりも、生産性が20%から40%高かったのだとか。

生産性も創造性も、経営者にとっては喉から手が出るほどほしいものではないでしょうか。

こうした事実がある中、自分の幸せにつながる要素が、仕事にたくさんあると思っている人は、それほど多いとは思えないから不思議なものです。

なぜ、仕事と幸せが
つながっていないのでしょう?


<ウェルビーイングに本気な企業の特徴>

前置きが長くなりました。
ここからが前野教授と対話した内容です。

さて、改めまして。
仕事が幸せにつながっていない。なぜか?

前野教授によると、

多くの経営者が目先の利益を優先して、社員のウェルビーイングを向上させることに本気じゃないからですね。

とのことでした。

仕事には従業員の幸せの5要素を満たし、生産性や創造性が上がるチャンスがあるのに、経営者はその機会を、みすみす逃しているというわけです。

効果的なことに取り組んでいないから余裕がないのに、「余裕ができてから効果的なことに取り組む」と言いわけをしてしまう。それは本気でない。

いやあ、耳の痛い話です。ウェルビーイングに限らず通ずる話。私にも思い当たる所があります。

となると、聞きたくなることが生まれました。

それは、ウェルビーイング向上に本気の企業はどんな特徴があるのでしょうか?ということです。

社員から「やりがい」と「つながり」が感じられます。笑顔があふれていて、熱意があり、ダラダラしている人が一人もいない。互いに承認・尊敬する文化が根付いていて、信頼関係が感じ取れる。互いを大切に思っていて、その結果、やる気も出ている状態が続いています。

「やりがい」によって社員が自律しており、
「つながり」によってお互いが協業している。

このひらがな4文字の2つが両輪となって、人や組織の結果にまで現れる、ウェルビーイングを体現した企業になるのだと感じました。

<本物のウェルビーイング経営にサーベイはいらない>

「ウェルビーイング経営が根付かないのは、多くの経営者が本気でないからだ」とおっしゃる前野教授。

世の中のほとんどの企業が、まだウェルビーイングに熱心でない。もしくは、進め方が分からないからこそ、前野教授がパーソル総合研究所と協業して開発した「はたらく人の幸せ/不幸せ診断」が役に立つのではないでしょうか?


そこで、2つ目の話題です。

ウェルビーイング経営のために「幸福度のサーベイを実施すること」の意味について、どのようにお考えでしょうか。

こうしたサーベイは、健康診断みたいなものです。個々の状況を見える化している補助ツールであって、これ単体では意味がありません。

実際、サーベイばかり多くても嫌気が差すだけでしょう。サーベイに頼り過ぎてはいけません。健康診断は、診断の後に何をするかこそが大事ですよね。

定量的なサーベイ調査が形骸化してしまう。
現場でもよく似たようなケースに出会います。

サーベイに価値を持たせられるかどうかは、私も結局のところ、前野教授の言う通り「本気かどうか」にかかっていると思います。抽出できたデータを見て、共有して終わりでは意味がありません。

そもそも、ウェルビーイングの度合いは働いている人の顔を見ればわかります。本当に幸せな会社はわざわざサーベイを行う必要がありません。

たくさんの幸せな企業を見ている前野教授だからこその言葉ですね。活気のある組織はそれくらい明らかに違いが出ているのでしょう。それにしても顔を見れば分かる、というのは凄い!

もちろん、サーベイ調査が、現状把握やPDCAに有効であるのは間違いありません。ですが、経営者が本気で、魂がこもっていれば、サーベイがなくとも推進できるものとも捉えられますね。


<経営者にとって社員の幸せとは?>

3つ目の話題では、経営者とウェルビーイングの話にフォーカスしてみることにしました。「経営者にとって社員の幸せとは?」をテーマに切り込んで聞いてみます。

前野教授は、「経営者と3分話せば、その会社がウェルビーイング経営に本気かどうかがわかる」とおっしゃっています。

本気の経営者と本気でない経営者の違い。
どんな所に表れるのでしょうか?

私と話すときに、最初に「利益上げたいんだよね」という話から入るのか、「従業員が大事だから生き生き働いてもらいたいんだよね」と腹の底から言うのか。

これでわかります。

従業員の幸せに本気の経営者は「みんな頑張ってるね。みんなが頑張ってるからいい社会が作れるんだよね。ありがとう」と魂を込めて言います。そういう気持ちを経営者が常に持っていますね。

先ほどまでの章のエビデンスもふまえると納得せざるを得ませんね。しかし、あえて聞きます!

そうは言っても、利益が出なければ事業自体を続けられないので、やっぱり利益は最優先で大事なことではないのですか?

経営者は視野を広く、器を大きく持たなくてはいけません。利益は大事です。しかし、利益を出すのは何のためですか? 社員の働きによって社会を良くするためではないんですか?

考えさせられる「問い」をいただきました。

たしかに、利益を追いかけることは大事ですし、定量的な目標を掲げて追いかけるのも大事です。

しかし、本来の会社の目的を忘れた利益や目標は空虚なものです。サーベイの話と同じですね。

そして、会社の目的を達成するには経営者だけではできません。社員の一人ひとりが目的に向かっているからこそ、一人ひとりの社員の幸せを考える必要があるわけですね。

<経営者が器を大きくするには>

では、経営者は、いったいどのようにして
自分の器を育てていけば良いのでしょうか?
(なかなか重みのあるテーマに入ってきました)

「偉人」に触れることじゃないかな。

昔は偉人と呼ばれる人がいましたよね。
ガンジーや坂本龍馬のように、
個人の利益を度外視して命をかけて
多くの人のためにかけずり回った人がいた。

偉人に出会えると自然と視野が広がるから。

なるほど、偉人ですか。示唆に富んだ話です。

前野さんと話していて、経営者や人事といった役割のような形式的な「機能」の枠をはみ出た存在との出会いが必要なのだと感じました。仕事や役割に没頭すればするほど、個としての器を磨いていく視点が失われているのかもしれません。

今は器の大きさを目指す社会に
なっていないってことなんでしょうね。

とはいえ、個人的な実感としては、若いスタートアップ経営者の中には社会課題や環境問題への意識が強い人も多く、ピュアに人のため・世のために、理想を語れる人が増えている気がします。

そういう人がリーダーをしている会社は
ウェルビーイングな企業になれそうですね。

かつて、メルカリがMVVに意欲的に取り組み、その言葉を浸透させたように、伸びているスタートアップがウェルビーイングに力を入れていると、もっと社会が「器の大きさを目指す」ことの大切さに目を向け、世の中に広がるのかもしれません。


<メンバーのウェルビーイングを高める関わり方>

最後に、経営者に限らず、
広くリーダーに関わる話をお聞きします。

4つ目のテーマです。

メンバーのウェルビーイングを高めるために、
リーダーはどんな関わり方ができるでしょうか?

渋い答えかもしれませんが
「思いやり」でしょうかね。

学校ってのは人を育てることが目的だからもちろんそうするけど、企業ももっと人を育てることに熱心でいいと思います。

先ほどの器や役割の話題にもありましたが、メンバーを「機能」として見るのではなく、一人の「人間」として見て、その人の成長に貢献するということなんですね。

では、自分のいる組織でメンバーのウェルビーイングが高まると、どんな言葉が聞こえてくるようになるのでしょうか?

ウェルビーイングな企業では、
「仕事を通してもっと成長したい」
と社員が素直に言います。

幸せであるほど
目的意識が強まり、成長意欲も湧くのです。

そして、成長すると新たな自分になれる。
この好循環をつくることって大事ですよね。

成長する人は幸せ、ということです。

学び、育つ。
そして、また学びたくなる。

この学びを起こす好循環はまさに理想的です!

「幸福の循環と同じくらい成長の循環も大事」
という素敵な言葉を最後に授けていただきました。

前野さん、ありがとうございました!

<終わりに>

前野教授との対話、いかがだったでしょうか?

マネプロ#40では、個人の幸せに焦点をあてましたが、今回は「仕事と幸せ」について、ウェルビーイングの観点から深掘りしてお聞きました。

締めくくりに、
こんな言葉を紹介したいと思います。

働くことを諦めないこと。仕事はあなたの人生に意味と目的を与えるものであり、それがなければ人生は空虚だ。

byスティーブン・ホーキング

最初にも書いた通り、仕事は人生の大半の時間を占めており、もっとも幸せの源泉となる要素を満たしやすい時間でもあると思います。

今回の記事をきっかけに、
みなさんの仕事が少しでも充実しますように。

<今回のQuestions>

以上が42回目のマネプロでお届けしたかったコンテンツでした!

ということでマネプロ恒例、最後の問いです。

今回のテーマを通じて、リーダーやマネージャーの方々に問いかけたい4つの質問を選びました。忙しい皆さんの思考の整理と、新たな行動の後押しになれますように!


<最後に>

今回は、ウェルビーイングの専門家に仕事とウェルビーイングについて詳しく伺いました!

次回の記事もお楽しみに!
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最後まで読んでもらえて嬉しいです。
ありがとうございました!

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