「介護時間」の光景㉝「甘さ」。11.4.
今回は、5年前の話です。
2015年11月4日のことです。(後半に、2020年11月4日のことを書いています)。
いつも読んでくださる方には繰り返しになり、申し訳ないのですが、私は1999年から介護を始め、仕事もやめ、介護に専念する生活に入りました。その時間の中で、家族介護者にこそ、心理的な支援が必要ではないかと思うようになり、臨床心理士になろうと思いました(リンクあり)。
2007年に母を亡くし、義母の介護を続けながら、勉強をして、2013年に大学院を修了後、仕事は、本当になくて、それでも2014年に臨床心理士の資格をとりました。同じ年、幸運なことに、紹介してもらって、家族介護者の相談を始めることができました。それでも月に1度か2度の仕事から、増えることもなく、焦りを感じていたのが、2015年の頃でした。
2015年11月4日
義母(妻の母親)の介護は、主介護者の妻と一緒に行っていたのですが、私は夜間担当でした。義母は、耳が聞こえず、自力では立てなかったので、ベッドのそばのポータブルトイレに連れていくのですが、そのリズムに合わせているうちに、徐々に寝る時間は遅くなっていって、この頃は、私の就寝時刻は午前5時を過ぎていました。それでも、夜間は、介護の合間に本を読んだり、勉強をしたりするには、適していると思うようになっていました。ただ、疲労感はずっと抜けず、微妙に体調が悪いのが普通になっていました。
2015年は、義母は年末に満百歳を迎えることになり、うれしい思いもありましたが、9月に近くの行政の施設長の方が、直接、百歳のお祝いを持ってきてくれたりしました。その方は、柔らかい雰囲気の女性だったので、家族としてもほっとしていました。他にも、首相名義で百歳の祝いに賞状が来たり、祝いの品をもらったりもしました。
取材などは、お断りしますと、書類に書いていたので静かでしたが、そんなことがいろいろとあると、家族としては、とにかく百歳を生きて迎えないと、そういう祝ってもらったことに対して裏切るのではないか、といった気持ちもありました。
義母は耳が聞こえず、立てないので、デイサービスにも通っていましたが、それ以外は、ほぼベッドの上にいました。それでも、食欲はあり、声も大きく元気で、それはありがたいことでした。
同時に、この年は、すぐ近くにマンションが建設されることになり、日差しが遮られることもあり、反対の活動をすることになりました。私も、50歳を超えていたのですが、ご近所の80歳や、90歳を超えた方々に、若いから、という理由で、その活動の代表をすることになりました。
毎週のようにチラシをつくり、マンション建設の今の状況を、その紙上で説明し、その上で、意見を集めるために、チラシの下部に、意見を書いてもらって、うちのポストに入れてもらう。その意見をもとに、次の行動を考えて、ご近所の皆様にチラシを使って、再び、ご意見を聞いて、それを建設会社との交渉の土台にする。
2015年の11月は、その繰り返しが約1年続いている途中で、人の意見を調整することと交渉するのは、とんでもなく手間がかかり、消耗することを実感している時間でもありました。
義母を介護し、反対運動の調整をし、介護者相談は続け、そんな毎日でした。
甘さ
夜中の12時を過ぎた頃。
午前5時までの時間を乗り切るために、毎日チョコを食べている時刻。
私にとっては、まだ夜はこれからの感覚。
甥に、柿の木を切ってもらったのに、逆に「親戚からもらった」というチョコレートをたくさんもらった。
薄い板状で、様々な色のキラキラするアルミに包まれている。
中にいろいろと入っているが、英語表示なので、ロクに分らず、口に入れる。
かんだら、甘いチョコの中から、さらに甘い何かが出てきて、少しむせた。
甘さにむせた事は、これまでなかった。
(2015年11月4日)
義母はそれから3年後、2018年の年末に、いつものように出かけたデイサービスの昼食を前に意識を失い、病院に運ばれ、それから3日後に亡くなりました。家族にとっては、突然のことでした。
2020年11月4日
とてもいい天気でした。
洗濯も気持ちよくできて、それでも、外へ出ると、空気は明らかに冷たく、やや硬めの感触になり、確実に季節が進んでいることを感じました。
太陽の光は少し柔らかくなっていて、日差しも秋になったことを教えてくれるようでした。
庭の柿の木には、気がついたら、今年も柿の実が赤みを増していて、もうすぐ高枝切り鋏と、脚立を使って、柿をとらなくてはいけなくなりそうです。
鳥のさえずりが、今日はやけに多くて、上を見たら、どうやら柿の実を食べているようで、枝が揺れています。そういえば、つい何日か前は、けっこう大きいカラスが柿を食べていて、その時は、枝が、かなり大きくゆさゆさと揺れていました。
今日は、もう少し小さい鳥なので、そんなには揺れないものの、見ていると、少し揺れ、そこから飛び立って、また違う鳥が来る、といったことを繰り返していています。この木は渋柿なのに、それでも、この季節になると、急に鳥が集まって、食べるので、人間には分からない味の変化があるようです。
義母が生きている時は、干し柿が好きだったので、かなり頻繁に柿の実をとって、それを、妻が枝などを整理したあとに、義母と妻が皮をむいて、ヒモをつかって、軒下に柿を干していました。
今でも柿をとっていると、道行く人が、ほぼ必ず見ていくのですが、毎年のように干している時も、通りかかる人は見ていきました。
義母は、入れ歯だったのですが、やや固いと思われるような干し柿も、かなり素早く、おいしそうに食べていたのを、今日、妻と話して、思い出しました。
渋柿なのに、枝からとると、喜んでもらってくれて、干し柿にしてくれるご近所の方がいらっしゃるので、その方には、強制もお願いもされていないのですが、こちらで勝手に、微妙な焦りを感じています。
1日、いい天気で、穏やかで、ずっと鳥のさえずりも聞こえていました。
ということは、本当に急がないと、鳥が全部食べてしまうのではないか、と日が暮れてから、改めて気がつきました。
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「介護相談」のボランティアをしています。次回は、2020年 11月26日(木)です。
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