H.Fukuzawa

東京と八ヶ岳の二重生活を10年以上続ける。そのきっかけとなった八ヶ岳高原音楽堂を訪れて…

H.Fukuzawa

東京と八ヶ岳の二重生活を10年以上続ける。そのきっかけとなった八ヶ岳高原音楽堂を訪れて、建築への関心が高まる。また、芸術全般に興味が尽きない。特に能は観るだけに飽き足らず、観世流で稽古を積む。論理を超えた、ヒトと社会の繋がりについて思考中。

マガジン

  • 実家敷地に開かれたコミュニティをつくる

    地方で増加する空家問題。東京在住の息子(僕)が、そうなる前に手を打ちました。2020年、平屋賃貸住宅4棟を完成。建築専門紙「新建築」2020年8月号の表紙に掲載されました。これから、それに隣接する敷地で、新たな建築を進めます。ハード(建築)だけでなく、ソフト(住まい方)にも工夫し、地域に開かれたオープンなコミュニティをつくる計画です。そのプロセスをnoteで記録していきます。

  • 建築家とつくる実家の貸家プロジェクト

    地方の空き家、空き地問題。いい加減な収益計画によって増殖する賃貸集合住宅。自分の頭でよく考えて、対応していかなければなるまい。どう考えてつくっていくのか、リアルケースの実況中継です。

記事一覧

第41回 母屋二階のワークスペース

母屋2階東側にある納戸(上写真2階右側)を、PCを使ったワークスペースにしようと考えている。梁が組まれ屋根が低いため、納戸しか使いみちがなかったが、お籠り感ある集中…

H.Fukuzawa
1か月前

第40回 開放的でエコな暮らしのために

少々間が空いてしまった。 地域社会圏主義に力を得て、できるだけ開放的にして周辺環境とつながることを重視することにした。また、できるだけエコ志向でいきたい。 1)玄…

H.Fukuzawa
1か月前
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第39回 「地域社会圏」という考え方

3月6日、建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を、山本理顕さんが受賞した。これは画期的なことだと思う。山本さんはマスコミ受けする超有名建築家ではない。受賞理由…

H.Fukuzawa
4か月前
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第38回 LS棟外部設備機器の設置方法

12月15日の打合せでは様々な課題を扱ったが、その一つがLS棟のエアコン室外機と給湯器の設置場所だ。 その前に、使用エネルギーを整理しておく。ATでは熱源を二種類使用せ…

H.Fukuzawa
6か月前

第37回 SW/SE棟間の軒の長さ再検討 

タイトル写真右側がLS棟で、二階にSW棟とSE棟がある。両棟の玄関が向かいあうテラス部分は、両側から軒が張り出している。この長さはそれぞれ91cmだが、これをもっと長…

H.Fukuzawa
6か月前
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第36回 LS棟テラス床材の検討

AWAZUKU TERRACEとネーミングしたように、できるだけテラスを広く取りたい。LS棟は階段を上がりテラスを通って、左右の2棟(SW棟/SE棟)に入る動線となっている。このテラ…

H.Fukuzawa
6か月前
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第35回 外部と内部の仕上材の検討

Kさんに承諾書をいただいた9/2,せっかくの設計士とのリアル打合せなので、オンラインではなかなかできない、仕上げ材のサンプルをみての検討を行った。 ■外壁と屋根 外…

H.Fukuzawa
6か月前
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第34回 雨水排水管で解釈変更

8/10、設計事務所とのオンラインでの打合せで、またも役所の解釈変更の話を聞かされた。今度は、町役場の土木課。雨水排水管の問題。こういうことだ。 現在母屋の雨水は、…

H.Fukuzawa
10か月前
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第33回 役所の駐車場に関する解釈変更

8/7、突然設計事務所からzoomで相談したいことがあるとの連絡があり、急遽オンラインで打合せした。建築許可申請を提出する先の、国土交通省下部組織の「西三河建設事務所…

H.Fukuzawa
10か月前

第32回 収納の工夫と様々な制約

これから新築する建物や住戸の呼称を整理することにした。設計事務所とのコミュニケーションを迅速にするためだ。 今回、二階建ての建物を2棟建てる。西側のMM棟と東側の…

H.Fukuzawa
10か月前

第31回 工事の順番問題

4月以降も様々な課題が現れてきた。というか、以前から課題だとわかっていたが、いよいよ判断を迫れる時期にきたということ。そのうちの一つで最大の課題が奥の母屋のリノ…

H.Fukuzawa
10か月前

第30回 いよいよ基盤工事開始

まだまだ設計は途中だが、解体や土地整備に関する基盤工事を先に実施することになった。以下で説明するセットバック部分の鋤取りをしなければ、道路がからむ(町が管理)上…

H.Fukuzawa
1年前
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第29回 コレクティブハウスに住む若者は何を感じ、どう考えているのか

今回は、建築というハード面ではなく、そこに住む人について考えてみる。僕はあえて大きさの異なる5戸を建設し、既存の母屋をリノベーションして、そこを主にコモンスペー…

H.Fukuzawa
1年前
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第28回 母屋とMM棟の位置関係

2月28日の打合せでもう一つテーマになったのは、母屋とMM棟との位置関係だ。 下の合成写真に見える母屋とその手前に建つMM棟が、近すぎるのではと僕は心配した。(青線は…

H.Fukuzawa
1年前
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第27回 母屋リノベ―ション仕様大筋決定 

コレクティブハウジング協会(CHC:第18回参照)の方との相談も参考にして、これまで検討課題だったいくつかの事項に結論を出し、設計事務所にも伝えた。2月28日のオンライ…

H.Fukuzawa
1年前

第26回 母屋の土間をどこまで通すか

母屋一階は、主にコモンスペースとして使用する計画だ。住人が気軽にそこに入ってこられるように、母屋内部にモルタル敷の土間を通すことを考えている。土間といっても掘り…

H.Fukuzawa
1年前
第41回 母屋二階のワークスペース

第41回 母屋二階のワークスペース

母屋2階東側にある納戸(上写真2階右側)を、PCを使ったワークスペースにしようと考えている。梁が組まれ屋根が低いため、納戸しか使いみちがなかったが、お籠り感ある集中して仕事ができるスペースにリノベする。かつては窓から、かすかに三河湾が見えた場所だ。

当初は、床をフローリングにして周囲に移動可能なテーブルを配置しようと考えた。10畳あるのでテーブルを撤去すれば、そこでヨガなんかもできるだろう。

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第40回 開放的でエコな暮らしのために

第40回 開放的でエコな暮らしのために

少々間が空いてしまった。
地域社会圏主義に力を得て、できるだけ開放的にして周辺環境とつながることを重視することにした。また、できるだけエコ志向でいきたい。

1)玄関ガラスは透明にする
Awazuku houseでは玄関ガラスは透明にしていた。その後、いったんプライバシーも大事だと思い、Awazuku terraceではすりガラスにすることに決めていた。目隠し用の玄関内側のカーテンにも費用がかかる

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第39回 「地域社会圏」という考え方

第39回 「地域社会圏」という考え方

3月6日、建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を、山本理顕さんが受賞した。これは画期的なことだと思う。山本さんはマスコミ受けする超有名建築家ではない。受賞理由のひとつには、「社会的要求の責任とは何かについて地域社会に意識を喚起したこと、建築の規律に疑問を投げかけて個々の建築の対応を調整したこと、そして何よりも、建築においても民主主義同様に、空間は人々の決意によって創造されなければならないことを

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第38回 LS棟外部設備機器の設置方法

第38回 LS棟外部設備機器の設置方法

12月15日の打合せでは様々な課題を扱ったが、その一つがLS棟のエアコン室外機と給湯器の設置場所だ。

その前に、使用エネルギーを整理しておく。ATでは熱源を二種類使用せざるを得ない。キッチンのコンロは電気。法規で木造集合住宅ではガスコンロは使用できないのだ!給湯はプロパンガス(都市ガスはきていない)。タンク一台ですみそうな灯油も検討したが、この地域では灯油の配達は難しいとのことで断念。さらにガス

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第37回 SW/SE棟間の軒の長さ再検討 

第37回 SW/SE棟間の軒の長さ再検討 

タイトル写真右側がLS棟で、二階にSW棟とSE棟がある。両棟の玄関が向かいあうテラス部分は、両側から軒が張り出している。この長さはそれぞれ91cmだが、これをもっと長く(130cm)してテラスを覆うようにしたらどうかと栗原さんの提案があった。それぞれ一長一短がある。短ければ空が見え光も差し込みやすい。長ければ雨が降っても濡れない。そこで日照シミュレーションをしてもらうことにした。

以下は冬至の日

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第36回 LS棟テラス床材の検討

第36回 LS棟テラス床材の検討

AWAZUKU TERRACEとネーミングしたように、できるだけテラスを広く取りたい。LS棟は階段を上がりテラスを通って、左右の2棟(SW棟/SE棟)に入る動線となっている。このテラスは、里山がきれいに眺められるスポットなので、2棟の住民以外にも開放したいと考えている。

10/13にオンラインで、このテラスの床材の検討を行った。前回設計士からはFRP材が提案されたが、僕は木材やタイルなどの自然素

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第35回 外部と内部の仕上材の検討

第35回 外部と内部の仕上材の検討

Kさんに承諾書をいただいた9/2,せっかくの設計士とのリアル打合せなので、オンラインではなかなかできない、仕上げ材のサンプルをみての検討を行った。

■外壁と屋根
外壁は杉羽目板張りに決まっている。その板に塗るキシラ(デコール)塗装の色を検討した(下左写真参照)。板の真ん中は、「やすらぎ」という素地の色をできるだけ残す(透明)色を一回塗ったもの。「ワイス」は白っぽい色。板の下側は、やすらぎ4:ワイ

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第34回 雨水排水管で解釈変更

第34回 雨水排水管で解釈変更

8/10、設計事務所とのオンラインでの打合せで、またも役所の解釈変更の話を聞かされた。今度は、町役場の土木課。雨水排水管の問題。こういうことだ。

現在母屋の雨水は、南側道路に埋設されている雨水排水管につながってお寺脇の川に放流されていることはわかっている。ただし、母屋から道路下までの経路は不明だ(第24回参照)。この道路下の雨水排水管は、本来は町が管理すべきものだが、町はその存在を知らず管理もし

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第33回 役所の駐車場に関する解釈変更

第33回 役所の駐車場に関する解釈変更

8/7、突然設計事務所からzoomで相談したいことがあるとの連絡があり、急遽オンラインで打合せした。建築許可申請を提出する先の、国土交通省下部組織の「西三河建設事務所」の担当者が変更になり、これまでと方針が変わったという。どういうことか。

新築する建物の敷地は市街化調整区域のため、様々な制約がかかる。その一つに敷地内に戸数分の駐車場の設置義務がある。今回5戸新築するため、5台分駐車上が必要になる

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第32回 収納の工夫と様々な制約

第32回 収納の工夫と様々な制約

これから新築する建物や住戸の呼称を整理することにした。設計事務所とのコミュニケーションを迅速にするためだ。

今回、二階建ての建物を2棟建てる。西側のMM棟と東側のLS棟だ。MM棟は、一階と2階に一軒ずつM(中)サイズの住戸が重なる。一階をM1棟、二階をM2棟と呼ぶ。東側のLS棟は、一階にL(大)サイズの住戸が一軒あり、その上の二階部分にS(小)サイズの住戸が2軒乗っかり、一階をL棟と呼ぶ。二階西

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第31回 工事の順番問題

第31回 工事の順番問題

4月以降も様々な課題が現れてきた。というか、以前から課題だとわかっていたが、いよいよ判断を迫れる時期にきたということ。そのうちの一つで最大の課題が奥の母屋のリノベーションと、その手前に新築する2棟の工事の順番だ。変数がたくさんある。

当初は先に新築2棟を完成させ、その後奥の母屋に着手する予定だった。これであれば、母屋に住む母が完成した新築棟にいったん移ってから母屋に着手し、母屋完成後に戻ればいい

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第30回 いよいよ基盤工事開始

第30回 いよいよ基盤工事開始

まだまだ設計は途中だが、解体や土地整備に関する基盤工事を先に実施することになった。以下で説明するセットバック部分の鋤取りをしなければ、道路がからむ(町が管理)上下水道、雨水排水工事に着手できず、さらにそれが終わらねば建物の工事にも入れないからだ。鋤取り工事以外はもっと後でもよかったが、同じ業者にいっぺんに頼んだ方が効率的なので、今回まとめて作業することにしたわけ。

以下のように、4段階で作業する

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第29回 コレクティブハウスに住む若者は何を感じ、どう考えているのか

第29回 コレクティブハウスに住む若者は何を感じ、どう考えているのか

今回は、建築というハード面ではなく、そこに住む人について考えてみる。僕はあえて大きさの異なる5戸を建設し、既存の母屋をリノベーションして、そこを主にコモンスペースとするコレクティブハウスとしようと考えている。コレクティブハウス自体については既に書いたが、今回はそこに住む住人がどんな思いで暮らしているのか、どういう種類の人が住む傾向にあるのか、そしてそれが持つ現在の日本にとっての意味を考えてみたい。

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第28回 母屋とMM棟の位置関係

第28回 母屋とMM棟の位置関係

2月28日の打合せでもう一つテーマになったのは、母屋とMM棟との位置関係だ。

下の合成写真に見える母屋とその手前に建つMM棟が、近すぎるのではと僕は心配した。(青線はセットバックした後の道路境界線。模型の建物位置は、セットバックが考慮されておらず、実際にはもう少し北側(上側)になければならない。)

下の平面図の位置が正しい。青矢印線が最も接近した場所。道路との距離と、母屋との距離が同じくらいだ

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第27回 母屋リノベ―ション仕様大筋決定 

第27回 母屋リノベ―ション仕様大筋決定 

コレクティブハウジング協会(CHC:第18回参照)の方との相談も参考にして、これまで検討課題だったいくつかの事項に結論を出し、設計事務所にも伝えた。2月28日のオンライン検討会で、それを踏まえた案を提示してもらった。

1)母屋には土間(モルタル)は敷かない
仮に前回示したような土間を敷く場合、既存の床を壊して床面を下げるわけではないので、土間面と室内面(靴脱ぐ)の高低差はほとんどない。都会ならと

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第26回 母屋の土間をどこまで通すか

第26回 母屋の土間をどこまで通すか

母屋一階は、主にコモンスペースとして使用する計画だ。住人が気軽にそこに入ってこられるように、母屋内部にモルタル敷の土間を通すことを考えている。土間といっても掘り下げるのではなく、現在の床板の上にモルタルを敷くだけのもの。だから、床面が今より約2㎝高くなる。工事費用は、フローリング < タイル < モルタル の順で高くなる。モルタルがフローリングよりも高価とは意外だった。

ではどこまでを土

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