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第26回 母屋の土間をどこまで通すか

母屋一階は、主にコモンスペースとして使用する計画だ。住人が気軽にそこに入ってこられるように、母屋内部にモルタル敷の土間を通すことを考えている。土間といっても掘り下げるのではなく、現在の床板の上にモルタルを敷くだけのもの。だから、床面が今より約2㎝高くなる。工事費用は、フローリング  <  タイル  <  モルタル の順で高くなる。モルタルがフローリングよりも高価とは意外だった。

ではどこまでを土足敷きにするか。栗原さんは2023/1/12の打ち合わせで4案を提示した。

A案:小さめのL字型(行止まり)

室内の灰色部分が土間になる。下(南)側の玄関から突き当りを左に曲がり、奥の洗濯スペースまでを土間にする案。見積もりは約115万円。


B案:大きめのL字型(南・西通り抜け)

A案からさらに西側に土間を伸ばし、ドアを設けて通り抜けできるようする案。西側にあるAH4棟から母屋へのアクセスを容易にする。また、夏には風が通り抜けやすくなるが、洗濯スペースはA案より少し狭くなる。見積もりは145万円。

A&B案は、南北通り抜けの土間とはしないため、これまで通り浴室がキッチンと接する。そのためキッチンの出入り口は半間しかない。それが移動上の問題を発生させる。どういうことか。今のところ、キッチンが上足(靴を脱ぐ)で土間は下足、階段から上は上足を想定している。キッチンを出て居間等の部屋に移動する際に、いったん靴を履き、再度部屋に入るときに靴を脱ぐことになる。また、土間から二階に上がる際は、階段下で靴を脱ぐことになる。そのため、階段下に框(かまち)を用意する必要がある。キッチンの出入り口は半間しかないのに、そこをサンダルや框が一部ふさぐ形になってしまい、著しく人の移動を妨げてしまう。では、階段やキッチンも土足にするか?悩ましい・・・。


C案:直線型(南・北通り抜け)

C案は、玄関から一直線に土間を貫通させ、屋外へと出られるドアを設ける。洗濯スペースから、そのドアを通って東側の物干しスペース(旧アトリエ)に移動できるかもしれない(要調査)。その代わり、浴室などの水回り全体を西側に移動させなければならず、洗濯スペースは狭くなる。見積もりは162万円。


C`案:小さめのT型(南・北通り抜け)

C案から、西側に土間を伸ばした案。伸ばした部分は現在は廊下。見積もりは170万円。

D案:大きめのT型(南・北・西通り抜け)

玄関から2か所の出入り口まで通り抜けられるようにする案。最も開放的になる。見積もりは184万円。

母屋北側に出入口を設けるかどうかは、洗濯物干しスペースまでの動線が確保できるかがキーになる。

母屋北東側平面図

図面だと赤い曲線のルートを移動できそうにも感じたが、実際に現地調査をしてもらった。それが以下の写真。

左写真はアトリエ側から、右はAH側から

隣家との境界(隣家側が下がり擁壁がある)の両側から樹が生えており、このままでは通行は難しそう。伐採するか、きれいに刈り揃えればなんとか通れそうだが。洗濯機から出した洗濯物を抱えて、ここを移動するのは危ないかもしれない。

今回の計画では、住人同士の交流を重視している。それをイメージしやすくするために、我が家敷地全体の上空写真を掲載しておく。黄色内が敷地。左側の畑では建築はできず、住人に無料で畑を貸し出している。右側の黄色線内右下の青線が、およそ今回新築する2棟(5戸)の位置で、黄緑色線は解体予定のアトリエ。

AH竣工時の空撮写真

既存のAWAZUKU HOUSE4棟(白い屋根部分)の住民とも合わせた交流を促したいと考えている。瓦屋根の母屋がコモンスペースとして交流の核となり、それが実現できればと思う。

建築というハード設計によって、人の意識や動き方というソフト面に大きな影響を与えるので、母屋のリノベーションは費用面も考慮しつつ総合的に考えねばならない。


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