#短編小説
【短篇】深夜のタクシー
都心の繁華なところで会社の飲み会があり、二次会、三次会とあっという間に時は流れて、その帰り。近場の者は終電に間に合うが、他は方向別にタクシーに分乗する。
高層ビル群を抜けて、街道を郊外へと向かうタクシーから客が一人減り、二人減り、ようやく一人切りになった二宮は、大きくため息をついた。前を走るタクシーのテールランプが、酔眼にぼんやり滲んでいる。心底疲れていた。仕事に脳が疲れ、人付き合いに心が疲
都心の繁華なところで会社の飲み会があり、二次会、三次会とあっという間に時は流れて、その帰り。近場の者は終電に間に合うが、他は方向別にタクシーに分乗する。
高層ビル群を抜けて、街道を郊外へと向かうタクシーから客が一人減り、二人減り、ようやく一人切りになった二宮は、大きくため息をついた。前を走るタクシーのテールランプが、酔眼にぼんやり滲んでいる。心底疲れていた。仕事に脳が疲れ、人付き合いに心が疲