かんやん

こんにちは。スキマ時間に読める掌編小説やエッセイを書いていけたらな、と思っております。…

かんやん

こんにちは。スキマ時間に読める掌編小説やエッセイを書いていけたらな、と思っております。ここでは、基本サクッと読めるものを目指します。よろしくお願いします。

マガジン

  • 山行

    山の記録

  • 日々の泡沫

    ささやかな日常の雑感、備忘録

  • 記憶の動物園

  • ココロとカラダと

    中高年の自己流健康志向エッセイ。体が資本だ。

  • 連載もの

    他のマガジンからもれた、何回かに渡る比較的長い文章を集めました。

最近の記事

【短編】ようこそウナギの町へ!

 二泊三日の縦走登山を終えて、単線のローカル線から東京方面への特急の連絡がうまくいかず、途中の乗換駅で二時間ほど足止めを喰らった。盆休みのUターンラッシュに、前日に首都圏が台風で荒れて特急が運休した影響が重なって、予約がなかなかとれなかったのである。  時刻は午後三時、指定席を購入した臨時特急までおよそ2時間の待ち時間。  くたびれ果てていたけれど、腹はとことん減っていた。山小屋で朝飯を食って以来、プロテインバー以外何も口にしていない。とにかく途中下車して腹ごしらえしよう

    • 【山行】初めての中央アルプス

       夏だ、休みだ、山だ!  殺人的な忙しさでNOTEの更新もままならぬ状態で、お盆休みに突入。  GWは皇海山に登るつもりが、無人小屋が設備の関係で使えないと直前にわかり、敢えなく断念。2月以来の山行は初めての中央アルプス(木曽山脈)。  特急「あずさ」だと東京方面から目ぼしい山は、甲府(南アルプス)、茅野(八ヶ岳)、松本(北アルプス)で、中央アルプスは岡谷から飯田線(調べると愛知の豊橋まで伸びている。何時間かかるんじゃ?)に乗換えて南下するからずっと遠いんです。  で

      • 中央アルプスに来てます。

        • チー牛の行方

           夜勤の現場仕事を終えて、始発まで時間があったので、飯を食おうと思った。  選択肢は限られている。北口の牛丼屋か、南口のこれまた牛丼屋。実は北口には牛丼屋が通りを挟んで二軒向かい合っているのだが、そのうち一軒は24時間営業ではないのである。なぜ駅ごとに牛丼屋があるのか、不意に切なさが込み上げてくる。いつから日本人は牛丼ばかり食べるようになったのか、何ゆえ日本の外食産業はかくも想像力が貧困であるのか、それとも想像力が欠如しているのは消費者の方なのか。  なんのワクワク感もな

        【短編】ようこそウナギの町へ!

        マガジン

        • 山行
          6本
        • 日々の泡沫
          17本
        • 記憶の動物園
          5本
        • ココロとカラダと
          5本
        • 連載もの
          24本
        • 短編集
          12本

        記事

          記憶の動物園 #豚

           どうやら私は、豚が好きな子どもだったらしい。らしい、というのは、全く記憶にないからだが、親がそう言うのだから間違いないだろう。  曰く、「朝から晩まで、ブタブタブタ」と言い続けていた、と。  当時はメタファーなど知る由もない年齢だから、親のことをそう呼んでいたはずはない。  私が確実に覚えているのは、自分が牛好きな子どもだったことである。念のために言っておくと、幼少期の私を魅了したのは、ビーフやポークではなく(今はむしろそうなのだが)、つまり食品としてではなく、動物と

          記憶の動物園 #豚

          水を呑む

           禁煙、筋トレ、ウォーキング……健康に気を使っていたはずなのに、どうして自分はひどい肩凝りに悩まされるようになってしまったのか、そんなことばかり考えている。  推測要因その1  仕事で支給されたバックパック、書類と端末でズシリと重い。こんなものを背負って、あちこち歩き回るのだから、肩には良くないはずだ。  推測要因その2  長時間同じ姿勢でいる。家にいるときは、横になって本を読むか、映画を観るか、スマホをいじっている。この時の姿勢が首と肩に負担をかけているかもしれない。

          地獄の女鍼灸師

           週に一度、夜勤明けの午前中に鍼灸院に通うことになった。   駅前の雑居ビルの5F、エレベーターから降りると玄関と受付があり、そこから先はカーテンで仕切られたスペースにそれぞれ簡易ベッドが一台ずつ、ズボンを脱いで用意されたベージュのスウェットパンツに履き替える。上半身は裸だから、いつも上の着替えまで用意されてる理由は不明である。  ベッドにうつ伏せに横たわり、クロワッサン型の枕の凹部に顔を凸部(鼻)を合わせる。  担当の田中先生は、マスクで顔を隠した年齢不詳の女性である

          地獄の女鍼灸師

          東洋医学・代替医療・民間療法

           自分は根っからの文系人間だが、母は理系だし、父親にいたっては数学者である。  父親が教え子に手を出して孕ませ(今だったら大問題だろう)、堕して学業を続けるという話も出たらしいが、まあ中退して籍を入れるということで穏便に済んだらしい。そんなわけで、自分は娑婆苦の充ち満ちた世界へと生まれた。それにしても、こんな話、よく子どもに聞かせられるな、と呆れたものだ。未来の可能性は無限だなんて陳腐なことを言うつもりはないが、妊娠のせいで学問による自己実現をフイにしてはいけない、学業は終

          東洋医学・代替医療・民間療法

          上野博物館「法然と極楽浄土」展へ。そういえば、GW中は、大体こんな風に横になってました。

          上野博物館「法然と極楽浄土」展へ。そういえば、GW中は、大体こんな風に横になってました。

          元気出せよ、生きてりゃいいことあるって……ペッパー。

          元気出せよ、生きてりゃいいことあるって……ペッパー。

          頭痛・肩凝り・睡眠不足

          「しばらくウォーキングをおやめなされ」  あるとき、ある人にそう言われた。  それは歩くことこそが最良の健康法であると信じていた自分にとって、全否定にも等しかった。  人には人それぞれの健康法があり、長年の経験に基づいて、誰もが健康に一家言を持っているのではないか。だからそれを否定されても、簡単に受け入れられないのではないだろうか。  自分にとっての健康法は、実は歩くことだけではない。腕立て伏せで体幹を鍛えることにより、フレイル(虚弱・脆弱)やサルコペニア(筋力低下)を

          頭痛・肩凝り・睡眠不足

          ジョギングの危険とウォーキングの進化論的適応性

           何年か前までは軽くジョギングする習慣があったが、真夏の夜勤明けに走っていて脱水症状が現れて以来断念した。もう無理はしない。車でジムへ行ってマシンで走ったりするのは、矛盾していると思っていたものだけれど、その考えは改めた。しかし、ジョギングに健康効果はあるのか。  アメリカにランニングを広めたジム・フィックスという方をご存知だろうか。このジョギングの伝道師は、まさにジョギング中に心臓発作で亡くなったのである。享年52歳。「激しい運動に従事する人は長生きできる」これが、彼の信

          ジョギングの危険とウォーキングの進化論的適応性

          歩くことの自分史

           ずっと歩いてきた、比喩的な話ではなくて、いやもちろん、比喩的な意味でもこの冴えない人生をあっちへふらふらこちっちへふらふらと歩んで来たのだろうけれど。  今から数十万年前にアフリカ大陸の奥地、ボツワナかどこかで誕生した解剖学的現生人類は、数万年前にアラビア半島を経由して、三つのルート(①ヒマラヤの北を通ってシベリアへ。さらにアメリカ大陸へ②ヒマラヤの南を通って東南アジアからオーストラリアへ③ユーラシア大陸西部へ)で世界へ散らばったらしい。  いや、そういう壮大な話ではな

          歩くことの自分史

          【エッセイ】健康曼荼羅

           いつも自分の体調を気にかけているわけではないけれど、体調不良に陥ると、何が良くないのかと考える。もう若くはないのだから、なかなか快食・快眠・快便とはいかない。それどころか、肩・腰・目・胃腸・そして心……いつもどこかが故障しているような。だから、自ずと体調を気にかけることになる。いや、わかってる、深酒のせいだ、それと睡眠不足、さらには仕事のストレス……あとは、食べすぎかな、それに運動不足?  若い頃は不健康そのものの生活を若さでカバーできたのに、今は単純にそれができなくなっ

          【エッセイ】健康曼荼羅

          【短編】何も起こらない退屈極まりない田舎の話

           山小屋で一泊して下山し、麓の登山口まで戻るともう昼過ぎで、次のバスまで1時間以上あった。  さて、どうするか。このままここでのんびり待つか、それとも歩くか。1時間あれば駅に着く。しかし、それは疲労困憊した自分には、ウンザリするような選択肢だった。かと言って、バスを待ちながらベンチでスマホをいじっているのも面白くない。腹が減ってきた。ザックの底には半ば潰れかけた非常用のチョコとカロリーメイトが残っていたけれど、こういうものは山では美味いが下界ではなんとなく食指が動かない。

          【短編】何も起こらない退屈極まりない田舎の話

          【エッセイ】駅前の本屋が閉店したと思ったら、新規開店していた件

           年末に駅前の行きつけの書店を訪れたところ、立て札が出ていた。  あー、地元で40年以上も営業してきたこの本屋さんもとうとう閉業か、時の流れだなあ。ずいぶんと寂しくなる。大型店ではなかったけれど、文学、歴史、人文科学の新刊が充実していて、とても品揃えの良い書店だったのに。……面白そうな本を見つけては、タイトルを暗記して図書館で借りたりしたものだ。あ、いや、でもそれは高額な新刊の場合で、文庫や新書、ブルーバックスは必ずここで購入しましたよ、都心の大型書店ではなく。 「文学の

          【エッセイ】駅前の本屋が閉店したと思ったら、新規開店していた件