記事一覧
『青春酒場 三年B組』
◎人物表
颯佐健太郎(55歳) 会社員
青葉隆司(55歳) 会社員
春山伸晃(56歳) 会社員
新芽啓二(55歳) 会社員
ゆきの(58歳) 居酒屋店員
ひろみ(65歳) 居酒屋店員
あかね(55歳) 居酒屋店員
こずえ先輩(年齢不詳) 居酒屋店員
〇病室
ベッドに寝ている新芽啓二(しんめけいじ55
『謎の女~ある夏の日編~』
マンションのドアを開けた瞬間、ドキリとした。真夏の太陽の直射が襲い掛かる。いや、オレを一瞬で凍り付かせたのはそれではない。悲鳴だ。わめき叫んでいる、尋常ではない女の声。見ると女が泣いている。エレベーターへ向かうマンションの外廊下で見知らぬ女が地べたにへたり込んで号泣… 慟哭というのが正しいのか、頭を前かがみにして激しく泣いている。小刻みに揺れるセミロングの髪。少女なのか、いや、その甲高いがかすれた
もっとみる『酒と泪と男とAI』
「すみません! ハイボール!」
「はい、ハイボールね! もつ焼き、こっちだっけ、おまたせ~、あ、いらっしゃい、ごめんね、今一杯で、あ、外でいい? ちょっと寒いけど、じゃ、お二人さん、外にご案内して~」
やっぱり、いい! 昭和をモチーフにした居酒屋は、連日、昭和生まれの生き残りサラリーマンで大繁盛だ。やっぱり、こうじゃなきゃね、飲み屋ってのは… 令和も終わろうって時にまた昭和がリバイバルとは笑っちゃ
なぞの女、はじめました
その店の客は、なぜか一心不乱に丼に食らいついている。安くて早く出てくるのが売りなくらいの、町の古びた中華食堂だ。味も普通だ。だがなぜだ、皆まるで憑りつかれたようにむさぼり食っている。というよりもその丼と闘っているような殺気さえも感じる。
梅雨明けの発表もありそうなその日、オレはその謎の理由を知った。ちょっと早い昼飯にふとその店に入ろうとした時、店の外壁に真新しい一枚の貼り紙が目に入った。
「な
『AIAI(アイアイ)傘』
山下は一週間分の食材を買いにいつものショッピングモールをぶらぶらしていた。梅雨時という事で、中央の特設スペースでは傘が販売されている。そういえばこの間ビニール傘、どこかに置いてきちゃったな。ちょっと見ていこうかと、山下は足を止めた。
その傘売り場で、珍しく人だかりになっている一本の傘があった。なんと、一本10万円の値札が付いている。10万円の傘は山下も初めて見る。取っ手が真鍮だとか、布が高価なレ