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街(まち)登山のすすめ

続く「中高年登山」ブーム


中高年の山歩きは、私の記憶では、もう40年来の流行だ。

健康寿命を伸ばすには、足腰を鍛えるのが大事。自然散策や観光も兼ねて、中高年の登山人気は衰えを見せない。

私も、初心者用とされる福島の安達太良山などに登ったことがある。

しかし、いざとなれば面倒なことが多い。装備や旅費などコストもかかるし、どんな低い山でも遭難の危険がある。

途中で歩けないようになってレスキューのお世話になるのはたいがい中高年だ。


「街登山」という概念


実は街中でも「登山」はできる。

身近にも「山」はある。見渡す限り平地だという土地は別だが、日本ではたいがい、近所に「坂」があり、小高い所があるものだ。

そういう街中の「山」を見つけて登ることを、「街登山」と呼んでいる。


私は「街登山」を市民に指導・普及する非営利団体「nobolo(ノボロ)」の代表をしている。

「街登山」のいいところは、安上がりで手軽、そして何より、遭難しないことである。

以下、私が住む川崎市を例に、街登山の楽しさをお伝えしたい。


街の「山」の見つけ方


横浜は「坂」が多いことで知られるが、私が住む川崎の北西部、麻生区も負けていない。

もともとここらは、山と谷が襞のように連続する多摩丘陵を、無理やり切り開いて開発したところだ。

小田急小田原線はおおむねその「谷」の部分に引かれているが、住宅はその周辺の「山」に向かって建っている。(おおざっぱに言えば、ここではそもそもみんな「山」の中に住んでいる。)

だから、住宅地に坂が多く、高いところまで道路が通っている。

地名に「山」「丘」「台」がついているところは、「街登山」の対象になる場所が多い。

このあたりでいちばん知られるのは「百合ヶ丘」「新百合ヶ丘」だ。もともと山ユリの咲く「山」だったから、小田急の駅があるところも小高い。

ただ、新百合ケ丘程度の高さでは、さすがに「登山」としては物足りない。

いまだったら、NHKで大河ドラマが始まった「徳川家康」ゆかりの「茶臼山」が旬だ。

それについては、少し前にnoteに書いた。ここはかなりの坂である。


あと、「おっ越し山」もありますね。柿生中学校の近くから月読神社への自然道になっている。

おっ越し山の自然道


神社仏閣は、たいがい高いところにある。長い石段がつきものだ。神社仏閣が作られた場所は、古人が信仰した「山」であることが多いからだ。

だから、神社仏閣の訪問が、同時に「街登山」になることは多い。(以下に述べる「細山登山」もそうである。)

あと、見晴らしのよい「山」が、自治体によって「公園」になっていることも多い。麻生区で言えば「弘法松公園」や「王禅寺見晴らし公園」などがそうだ。そういうところに行くのも立派な「街登山」である。

街登山における「山」は、高い所というだけでなく、このように神聖な場所で、見晴らしのよい、気持ちいい場所であることが多いのも取り柄だ。


「細山」登山


細山は、小田急線の百合ヶ丘駅や新百合ヶ丘駅の北に広がる地名で、稲城市に接している。

市民は「細山」をただの地名だと思っているだろうが、「街登山」の見地からは、地名のとおり「山」である。

1週間前の1月12日、天気がよかったので、私はこの「細山」に登った。

新百合ヶ丘駅北口からアートセンターの通りを進み、千代ヶ丘の坂を行く。千代ヶ「丘」というくらいだから、ここですでにかなりの上り坂である。

千代ヶ丘付近


千代ヶ丘から細山に入って、香林寺の案内看板があるあたりまで登ると、私の足の筋肉は痛み始め、もう帰りたくなっている。

細山に入ったところ


しかし、青空を背景にそびえる香林寺の五重塔は立派で、ここまで登った甲斐があったと思う。

香林寺の五重塔


香林寺からは遠く新宿の高層ビル群も見える。

香林寺からの眺め


この日は、そこから細山神明社(神社)に寄って、読売ランド前駅の方に降りた。

そこから小田急線路沿いに出発点の新百合ヶ丘まで歩いて、全行程約2時間。

のんびり歩いたが、高低差があるので、冬なのに汗ばむほどの運動になった。

この「細山登山」は、麻生区民におすすめのコースだ。

余力があれば、さらに「細山」の隣の山、「よみうりランド山」に登るのもよいが、たぶん1日がかりのコースになる。

「よみうりランド山」は、このあたりの「富士山」と言ってもいい高さだ(稲城市だから東京の山だが)。よみうりランドを遊園地だと思っている人がいるが、あれは「山」であり、その頂上に遊園地があるにすぎない、ということは地元の人なら知っている。

「よみうりランド山」の上には「丘の湯」という温泉もある(近々リニューアルされるらしいが)。このコースについては、また改めて書きたい。

最後に1点。街登山は、めったに遭難しないが、普通に交通事故の危険はあるのでご注意を。


<街登山・街歩きシリーズ>

「王禅寺見晴し公園」2月15日

「弘法松公園」2月25日

「さくら公園」「化粧面谷公園」3月30日

川崎市麻生区「長寿日本一」と坂・公園の多さ5月28日

「向原の森公園」6月1日

「美山台公園」6月3日

「むじなが池公園」6月7日

「鶴亀松公園」6月10日

「片平中町遺跡公園」6月18日

「百合丘公園」7月3日

「狩野英孝」の足跡をたどる9月12日

「よみうりランド」9月27日

「桐蔭学院」10月18日

「鳥のせずり公園」2024年3月21日

「黒川谷ツ公園」2024年5月5日


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