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沖縄の「長寿イメージ」がズルい 真の長寿はうち(川崎市麻生区)なのに

真の長寿地帯


わが川崎市麻生区が、厚生労働省調査により、全国約2000の市区町村のうち、男女とも平均寿命日本1だと発表されたのが5月。

それから3カ月たって、話題にする人が少なくなってきた。

そんな中で、(投稿は1カ月前だが)医師が、麻生区のこと含め「長寿地域」を語るYouTube番組を見た。

長寿の秘訣(内視鏡チャンネル)


私が以前から指摘しているように、今回男女とも長寿日本1になった川崎市麻生区と、前回(5年前)男性長寿1位、今回男性2位だった横浜市青葉区は、市は違うけど、隣りどうしである。

日本一の長寿地帯。緑線の上が川崎市、下が横浜市


この医師たちの動画では、その点にも触れ、横浜市都筑区まで、地続きの「長寿地帯」だと指摘している。案外、そのことに気づいている人が少ないから、貴重だと思う。


厚労省「市区町村別平均寿命調査」

第4回    平成27(2015)
川崎市麻生区 男2位  女4位   
横浜市青葉区 男1位  女9位 
横浜市都筑区 男4位  女6位  

今回     令和2 (2020)   
川崎市麻生区 男1位  女1位 
横浜市青葉区 男2位  女13位
横浜市都筑区 男8位  女ー  


この医師が経営している胃カメラ・内視鏡検査のクリニック(たまプラーザ南口胃腸内科クリニック)は、横浜市青葉区にある。医師は、以前の長寿調査で青葉区が上位にあることを知って、(それまで縁もゆかりもなかった)この地に開業したのだという。

「健康意識が高い土地に開業すれば、検査を希望する人が多いと思った」

と。実際、繁盛しているようだから、狙いが当たったわけだ。

川崎市麻生区、横浜市青葉区、都筑区は、健康意識が高い人たちが住む地域だから、日本一の長寿地帯になっている。それが、この医師たちの見解のようだ。

でも、なぜ、この地域に健康意識が高い人が集まっているのか。それについては語っていない。


「長寿」に惹かれるインバウンド需要


日本一の長寿地帯ということは、世界一の長寿地帯でもある可能性がある。

私の調べでは、川崎市麻生区は、「地中海式食」で知られるモナコ公国と「世界一」の座を争っている。


5月にそれが発表されたときは、私は胸がときめいた。大騒ぎになるぞ、と。

コロナの規制が撤廃されたら、「長寿の秘密」を探りに、世界中から観光客や研究者が川崎市麻生区に殺到し、われわれ住人もインバウンド需要のおこぼれにあずかれるはずだ、と。

いま、観光規制がなくなり、日本中にインバウンドがあふれている。

しかし、川崎市麻生区に、インバウンドなんて1人もいませ〜ん。

なぜか?

「長寿イメージ」のインバウンド需要は、あいかわらず「沖縄」に奪われているからである。


現在、沖縄のインバウンドは好調で、コロナ前の水準をほぼ回復したそうだ。

コロナ前の沖縄の観光客数は年間約1000万人、業経済波及効果は約1兆円だ。それによる雇用創出は約15万人というから、麻生区の人口にほぼ匹敵する。

https://www.pref.okinawa.jp/site/bunka-sports/kankoseisaku/documents/h29_economic_effect_20180925.pdf


その弾みになっていると私が思うのが、沖縄の「長寿イメージ」である。

今年になっても、「世界一の長寿地域、沖縄」をアピールする外国人向け動画がアップされ、100万から200万の視聴回数を稼いでいる。


人が死なない島(沖縄)を探索する
Exploring the Island Where PEOPLE DON'T DIE (Okinawa)(2023年5月投稿、約100万視聴)


なぜこの日本の島(沖縄)の住人は100歳以上生きるのか
Why Locals Live +100 Years on this Japanese Island(2023年1月投稿、約200万回視聴)


以前にも書いたが、沖縄を「世界一の長寿地帯」としてPRしている国際組織があるらしい。その組織が、コロナの中断をはさんで、再び動きはじめたのだ。


沖縄が「世界有数の長寿地帯」という話は、ナショナル・ジオグラフィックの2004年「調査」で世界に広まった。

だが、科学的に疑わしく、実態は違うことが分かって、今では「滅びた神話」だ。


2000年代半ばまでは、他の地域とは歴然とした差があり、不動の1位だった沖縄のおばあさんたちは、今では他の地域に住むおばあさんたちよりも先に亡くなる。沖縄では糖尿病による死亡率は11.9%と、全国平均の11.4%よりも高い(2018年日本人口動態統計)。世界基準からすれば、依然として沖縄の平均寿命は高い方に属しているものの、日本国内では長寿村ではなく、短命村と言われても致し方ない立場にまで落ち込んだ。
「世界一の長寿村」の看板を下ろした沖縄(朝鮮日報2022年10月23日)


常識的な日本人はそれを知っているから、いま沖縄を「長寿地帯」と思っている人は(年寄り以外は)少ないだろう。

しかし、海外での認識は違う。

2017年、沖縄の長寿をテーマにした「Ikigai」という本が世界的ベストセラーになり、再び「オキナワ」が世界の観光業の注目を浴びた。


ペンギンブックス「Ikigai」


そして、上記YouTube動画に見るごとく、その「神話」はまだ生きている。動画の中でも言っているが、「世界で最もヘルシーな場所」というイメージがあるから、その「食」や「風土」を有り難がるのだ。


日本国内でも、沖縄を世界有数の長寿地帯だという、ナショジオ調査をもとにした「ブルーゾーン」という本が2022年に再刊され、今はなき週刊朝日が紹介したりしていた。「沖縄神話」を復活させようという勢力が国内にもある。


「ブルーゾーン」


追記 Netflixで8月30日から、本書の著者ダン・ビュイトナーの「100歳まで生きる ブルーゾーンと健康長寿の秘訣」というドキュメンタリーシリーズが始まる。「特別なことをしないで長生きしている」例として沖縄が紹介される>


そして、日本国内のテレビ通販番組では、年寄り向けに、いまだに「長寿の南国」ゆかりの健康食品が宣伝されている。


イメージ戦略の重要性


情弱相手に、商売しやがって。

と思うが、あちらの方の商売がうまいから、麻生区が負けるのは仕方ないのだ。

イメージ戦略で、沖縄が勝っている。

本当のナンバー1は麻生区なのに、と言っても、虚しい。

必要なのは、麻生区のイメージ戦略だ。

沖縄を、お手本にすべきなのだ。


まず、沖縄に比べて、川崎市麻生区の知名度が低すぎる。

みんな麻生区を知らない。日本人が知らない。首都圏の人でも、「あそう区」だと思っている人が多数だ(正しくは「あさお」)。

海外まで届くような強力なPRが必要だ。

世界一の健康地帯として、OKINAWAに代わり、ASAOを世界にアピールしなければならない。

麻生区で、泉重千代に匹敵する長寿の有名人を作る。

麻生区の名物は柿だから、「柿食えば長生き」みたいな神話を作る。

追記:うまい具合に、柿のエキスがコロナに効く、という研究が発表された)


泉重千代さんがいた徳之島(鹿児島県)には、観光名所の「長寿の道」がある。


沖縄の大宜味村には「日本一長寿宣言」の石碑がある。

大宜味村の「日本一長寿宣言」の石碑(リコー経済社会研究所:「『日本一長寿の村』を宣言した桃源郷/大宜味村」より


こうした南国の観光インフラに対抗するため、川崎市麻生区と横浜市青葉区、都筑区は手を組むべきだと思う。

そして、鶴見川沿いにある、麻生区の栗平から柿生までのジョギングコース(スポーツ健康ロード)と、青葉区から都筑区に伸びるサイクリングコースをつなげて、「シン・長寿の道」にすればいいと思う。

麻生区には、弘法大師がこの地の「九十九谷」を賞賛したという伝説がある(弘法松伝説)。多摩丘陵の、谷が多く、坂道が多い地形のため、住人は日常的に足を鍛えられ、健康長寿に結びついていると言われる。その坂道を、観光客にも上り下りしてもらおう。


沿道に、住民の健康意識の高さを象徴する、「胃カメラを呑む老人」「大腸内視鏡検査を受ける老人」とかの銅像を建てればどうだろう。

泡盛飲んで、エイサー踊って、長生きできる南の楽園、という偽りのイメージを、沖縄は売っている。

お気楽な「健康長寿」のイメージを売っている。

「健康長寿」を舐めんじゃねえ。

「健康長寿」は、そんな甘いものではない。節制、運動、こまめな健診と日常的な健康管理で、はじめて達成できるのである。

それを実践しているのが、われわれ麻生区民だ。真の「長寿の秘訣」を世界に示すため、麻生区観光協会は立ち上がれ!


<参考>


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