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じいちゃんの一周忌とノルウェイの森と
2021.08.07 じいちゃんの一周忌
去年の夏、突然でバタバタと何度も山梨と行ったり来たりして、慌ただしい中でなんだかこれまで輪郭なくボヤッと自分の中にあった死というものが急に明確な線で描かれ出している感覚があった。でもその時は忙しさに感けて、よく見ないまま通り過ぎてた。
それで最近、村上春樹『ノルウェイの森』,1987 を読んだときに、一年前のあの感覚が不意に現れてきた。主人公のワタナベ君
推し、燃ゆるラベル社会
宇佐見りん「推し、燃ゆ」,2020
の序盤で主人公のあかりが鬱になり、病院で診断を受けて、ふたつほど診断名を受ける。そこであかりは
「肉体の重さについた名前はあたしを一度は楽にしたけど、さらにそこにもたれ、ぶら下がるようになった自分を感じてもいた。」
と語っている。
この文章は現代社会の癌のようなものを私に突きつけた。
それはこういうことだったと思う。
現代においては全てのものごとに名前がつけ