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おいたま食堂多摩川支店です

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ご近所や祖父母、両親。見聞きした昭和的暮らしとお料理のレシピエッセイ。山形県置賜(おいたま)地方の伝統を、器用な母から不器用な娘へ。受け継がれるはずが失敗したり忘れたり。日々のご…
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記事一覧

【レシピ付】おつかれさんに、ギョウジャのパワー



(この記事は東北を深掘りする日刊webマガジン『まいにち・みちこ』に2019年5月22日に掲載されたものです)
地元山形県・長井市の新顔野菜に「ギョウジャ菜」がある。
見た目はニラにそっくりだが、根元は茶色く葉っぱの幅もニラより少し広い。
鼻を寄せて嗅いでみると、刈り取った根元からはニラというよりはっきりとニンニクの香りがする。
いかにも「効きそう」だ。

山に生える行者ニンニクとニラの掛け合

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【レシピ付】くるくるうずまき・こごみの春ナムル

【レシピ付】くるくるうずまき・こごみの春ナムル

(この記事は東北を深掘りする日刊webマガジン『まいにち・みちこ』に2019年5月15日に掲載されたものです)
こごみは別名「クサソテツ」。
丸まった芽出しの姿から『屈む』(かがむ)の音が変化したものだそう。
他の山菜ほど山奥に行かなくとも生えている、とても身近な草である。
しかも生えているところも山深くや森の奥などではなく、川べりの緩い斜面や陽当たりのいい空き地など、収穫しやすい場所。
群生する

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【レシピ付】春は垣根を摘みながら、ウコギ飯

【レシピ付】春は垣根を摘みながら、ウコギ飯

(この記事は東北を深掘りする日刊webマガジン『まいにち・みちこ』に2019年5月8日に掲載されたものです)

四月下旬の週末、郷里の山形県長井市に帰省した。
2泊3日の駆け足の帰省だったが、ゴールデンウイーク前の山形の春を満喫できた。

山形の春のはじまりは、南に接する福島県と半月くらいずれている気がする。
吾妻連峰の山々を越えてくるのに多少時間がかかるのだろうか。
山形新幹線に乗って東京から北

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ちっちゃな尾頭付き。ひっくり返して運を開く『むくり鮒』



(この記事は東北を深掘りする日刊webマガジン『まいにち・みちこ』に2019年1月30日に掲載されたものです)

12月から山形県置賜地方の『げん担ぎ』郷土料理を紹介しているが、今回は少々レアな料理のご紹介。
県外の方にはほとんど知られていないかもしれない。
「むくり鮒(むくりぶな)」という魚料理である。
山形県の内陸部は海から遠く、低温輸送が発達していなかった頃は、乾物や塩漬けの魚がよく食卓

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【レシピ付】ひょっとしていい事が? 江戸時代から伝わるひょう干し煮



(この記事は東北を深掘りする日刊webマガジン『まいにち・みちこ』に2019年1月23日に掲載されたものです)

まことに遺憾ながら、山形県は一部で「不思議県」として認知されているらしい。
テレビ番組「秘密のケン〇ンショー」などで面白く取り上げられるおかげだが、県民は自分達が他地域とずれているなどと少しも思わない。
①を『いちまる』と読むのも、(1)を『いちかっこ』と読むのも、子供がよその家に

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【レシピ付】男子大学生にもアピール・雪菜の漬物と若ニンニク



(この記事は東北を深掘りする日刊webマガジン『まいにち・みちこ』に2019年1月16日に掲載されたものです)

年末年始は山形に帰省した。と言っても大みそかの夕方まで仕事をし、その足で東京駅に直行して18時台の山形新幹線つばさに乗るという荒業だ。
たまたま一枚だけ直前にとれたチケット。遅れたらすべて無駄になってしまう。
それでも帰らなければと思ったのは、実家の両親共に80歳を過ぎ、電話で話し

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【レシピ付】まめで元気に健康に子孫繁栄。数の子と合わせて金運もアップ!?



(この記事は東北を深掘りする日刊webマガジン『まいにち・みちこ』に2018年12月28日に掲載されたものです)

子供のころ、「かど」という焼き魚が好きだった。

我が家は織物職人の工房で三世帯同居で、幼い頃からおともだちの家より頻繁に、お年寄りメニューが食卓に上った。その結果兄と私は、ハンバーグやスパゲティーより焼き魚やお刺身が好きな子供として育った。
なかでも大きなニシンを一匹のまま姿焼

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【レシピ付】兄と妹といとこ・冬至も夏もあずきとカボチャの色々

【レシピ付】兄と妹といとこ・冬至も夏もあずきとカボチャの色々

(この記事は東北を深掘りする日刊webマガジン『まいにち・みちこ』に2018年12月22日に掲載されたものです)

冬至にはカボチャを食べるものらしい。
らしい、とわざわざ念を押すのは、山形県長井市の我が実家では、しょっちゅうカボチャの煮ものが出ていたからである。

私には一つ年上の兄がいる。顔は母方の親戚に共通の小さな目に低い鼻と似ているらしいが、性格や個性は共通点があるようで、ある面では全く違

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宮古島から山形県へ。ミネラル・ビタミン戦士『元気菜』

宮古島から山形県へ。ミネラル・ビタミン戦士『元気菜』

(この記事は東北を深掘りする日刊webマガジン『まいにち・みちこ』に2018年12月11日に掲載されたものです)

「何かいっか? 米はまだ買ってねベ? 白菜と餅は段ボールさ入れたけんど」
山形県長井市の両親は、こんな電話と共によく食べ物を送ってくれる。
私が東京の大学に進学してからだから、かれこれ30年以上。
子供が生まれた当初など、買い物にも行きにくいだろうと、月に二回のペースで送ってくれた時

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故郷長井市周りだけ? まさかまさかのご当地食材、甘いつけ揚げ

故郷長井市周りだけ? まさかまさかのご当地食材、甘いつけ揚げ

(この記事は東北を深掘りする日刊webマガジン『まいにち・みちこ』に2018年12月6日に掲載されたものです)

自分にとってすっかりおなじみ、これは全国標準に決まっていると思い込んでいたものが、山形県民にはある。
その一つが数字記号の①、②だ。
テレビ番組で知られるようになったが、山形県民はこれを「いちまる」「にまる」と読む。そして以下「さんまる」「よんまる」と続く。⑦は「しちまる」ではなく「な

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【レシピ付】宇宙人も好物!?実は名物・馬肉で煮込み

【レシピ付】宇宙人も好物!?実は名物・馬肉で煮込み

(この記事は東北を深掘りする日刊webマガジン『まいにち・みちこ』に11月16日に掲載されたものです)

山形県は酒、米、芋煮に牛肉と美味しいもの沢山あり、自然の恵みを堪能しているが、『秘密の県民ショー』等の番組のおかげで周知されてきたのが『日本一のラーメン喰い県』という事実である。
東北グルメとしては蕎麦が有名だし、濃いめの地元産の生醤油を使った蕎麦つゆで食する手打ち蕎麦は、歯ごたえがあって、鼻

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【レシピ付】冬間近ですよ大急ぎ・秋の晴れ間に芋煮会

【レシピ付】冬間近ですよ大急ぎ・秋の晴れ間に芋煮会

(この記事は東北を深掘りする日刊webマガジン「まいにち・みちこ」様に2018年秋に掲載されたものです)

山形出身者の心身にしみ込んだソウルフード。それは玉こんと「芋煮」
細胞からDNAレベルと言っても過言ではないわけで、それは大げさな表現ではありません。
特に最上川沿いにの者にとっては、秋は芋煮を思い出して河原に行きたくなる季節なのですよ。
筆者は現在、東京の多摩川という、神奈川県との県境の川

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【レシピ付】旬の栗でホカホカ煮物 栗と鶏肉のこっくり煮

【レシピ付】旬の栗でホカホカ煮物 栗と鶏肉のこっくり煮

我が山形県・米沢市の湖に巨大宇宙人が現われたというニュースが、先日スポーツ紙をにぎわせた。ちなみに載ったのは世界中のおふざけニュースを流してくれることで有名なスポーツ紙。
私の本家が米沢だという事を知る友人達は、メールで「宇宙人大丈夫?」と尋ねてくる。大丈夫も何も、街が襲来されたわけではありませんし。
秋の山で遭遇する生き物は、新幹線と衝突して止めたこともあるという「熊」が一般的なのだが、今後「宇

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【レシピ付】優しい甘さ 淡い淡い桃のミルクシャーベット

【レシピ付】優しい甘さ 淡い淡い桃のミルクシャーベット

(この記事は東北を深掘りするwebマガジン『まいにち・みちこ』に2018年盛夏に掲載したものです)

山形県長井市の我が家は父方祖父母と同居していた。
 おばあちゃんは60代で他界したので、記憶に焼き付いているのは私たち孫に『お米に宿る七人の神様』を教え、白いご飯は白いままと諭してくれたおじいちゃん、じじちゃである。
 じじちゃは84歳で天寿を全うしたが、ある時から次第に食が細くなっていった。も

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