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カフェ 開業までの道のり

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カフェ開業に至った背景や、開業までの準備をつづります。
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記事一覧

通販と、ゴミ

コロナの影響で、店のオープンを延期した。桜が満開の頃に多くの人を迎えたかったけれど、こんな状況では致し方ない。桜は来年もまた咲くだろう。

オープンを延期するのは簡単だけれど、ではそこで少なからず発生したであろう売上を他でどう作るか。それが悩ましくてずっと考えていた。

こんなツイートをした通り、まだ何もお客さんと関係値を構築していない中でオンライン上で何か取り組むのはイメージが湧かなかった。

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自宅兼カフェという、"いる"がベースにある場であること

自宅兼カフェという、"いる"がベースにある場であること

前職の後輩からこんな本をすすめられた。

デイケア施設を舞台に、"いる"ことの難しさや価値について個性豊かなスタッフ・メンバーとのエピソードを通じて論じられたガクジュツ書だ。

この本の核心部について語ってしまうとある種のネタバレにもなってしまうので控えるが、これからカフェ(と表現するのも違うのだが)をはじめようとしている身として確かな気づきを得られたので、ここに残しておこうと思う。

"する"で

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言語化と解像度の世の中で、曖昧さを大切にしたい

言語化と解像度の世の中で、曖昧さを大切にしたい

言語化ってそんなに重要ですか?

***

昨日、久しぶりの後輩と会う機会があり、nagiに来てほしいターゲットってどんな人なの?どんな雰囲気の店なの?と聞かれた。

あれこれ試行錯誤して伝えてみようと思ってみたものの、諦めた。というよりも、それは違う、と止めた。

言語化することで解像度が高まることは確かだけど、解像度が高いってつまり『その他との境界線がはっきりしている』ということであり、『フレ

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答えは己の中に。気づきは己の外に。

答えは己の中に。気づきは己の外に。

年も明けて、nagiのオープンもいよいよ近づいてきたわけだけど、昨年末、こんなツイートをした。

ぼくらの作っているものをこうして世に晒してみて、思わぬというか、あ、そうか、と腑に落ちたリアクションをたくさんもらった。

それは、『美しい』『作品』という言葉。

載せているのは焼き菓子をメインに、花や器、コーヒーの『写真』なのだけれど、不思議と『いい写真』とか『美味しそう』というリアクションは少な

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値切る、ということ

値切る、ということ

自分の利害のために、誰かが大変な思いをするようなことはしたくない。

多くの人がそう考えていると思う。
わたし自身もそうだ。

自分は客である一方でまた逆の立場でもある。
これはこの社会の真理である。

自分が客として自分本意な行いをすれば、いずれまわりまわって自分の身に響いてくる。だから、自分は常に「いい客」でありたいと思う。

***

向島に東京から移住するとき、当たり前のように引越し業者に

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夏は営業しない、と決めた日

夏は営業しない、と決めた日

コンセプトが決まると、「やらないこと」が自ずと決まってくる。

この記事でも触れた通り、
ぼくらはこの地の空気と心地に惹かれ「nagi」という店名にし、
日々感じる「循環」を大切に店づくりをしている。

実はというと、ぼくらはこの地の秋〜春については過去に過ごしたことがあったのだけれど、
梅雨、そして夏での生活は移住して今回が初の経験だった。

この体験で、ぼくらは「梅雨、夏は営業しない」と決

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縁もゆかりもない地での空き家の探し方

縁もゆかりもない地での空き家の探し方

東京出身の僕が「尾道に移住した」と話すと、決まって聞かれることの筆頭は「どうやって物件探したの?」です。

地方、特に都市部ではなく小さな街や集落では、都市部のように"ネットで検索すれば物件情報が簡単にヒットする"、みたいなことはありません。

そんな中で、僕らは運よく「ここしかない!」という運命的な物件と巡り合ったのですが、そこまでに至ったプロセスを共有すれば、これから空き家を探そうと思っている

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2020年春にOPENします

2020年春にOPENします

今春オープン予定だったnagiですが、
諸事情で来春、2020年の春オープンに延期しました。

大それた理由は特になくて、単純に気の合う工務店さんのスケジュール的にそれが最短だったから、この1点です。長年の夢をかたちにするわけなので、「この人たちにお願いしたい」という気持ちは譲ることはできませんでした。

今春オープンを楽しみにしてくれていた友人たちには申し訳ない気持ちですが、よろしければまた来年

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器に気を遣えば、コーヒーはもっと美味しく、やさしくなると思う

器に気を遣えば、コーヒーはもっと美味しく、やさしくなると思う

カフェをはじめるにあたり、『川下コーヒー』なんていう、急に聞き慣れない言葉を使っています。

これは店名でもコーヒーの種類でもなく、『コーヒーを楽しむ考え方』であり、コーヒーライフをより豊かにするもの、です。

では、『川下コーヒー』とはなんなのか。

会社でも事業でもサービスでもものづくりでも、何かが生まれ、それがエンドユーザーや相手に届くまでの流れがあると思います。

川下コーヒーとは、ま

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2019年春、「nagi」を開業します。

2019年春、「nagi」を開業します。

2019年が明けた。
今年は、自分にとって忘れられない年になるんだと思う。

思えば、大学3年生の時に「カフェを開きたい」と決めてから13年あまり。新卒で入ったオプトの採用面接時にも「自分は30代でカフェを開きます」と話してたし、最近になって自分が面接した後輩たちに「羽田さんはわたしの面接の時にも"カフェやりたい"って言ってたんですよ。オプトにも変わった人がいるんだなぁと思いました笑」という話をよ

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店づくりで感じた、Pinterestのいいところ

店づくりで感じた、Pinterestのいいところ

来春オープンに向けて、店づくりを進めています。作りたい世界観はなんとなくあるものの、そのイメージを膨らませたり、膨らませたイメージを設計士さんに共有するのも、なかなか難しいものです。詩的な言葉を巧みに扱うことができれば言語化もできるのかもしれないですが、自分にはそんな能力はこれっぽっちもありません。

そこで自分が重宝しているのが、pinterest。内装からロゴデザインまで、めちゃくちゃ助かって

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「東京の無駄づかい」

「東京の無駄づかい」

「今度東京に遊びにいくから、東京らしいスポットを教えて」

そう友達に言われたとき、正直困惑したのを覚えている。

東京には日本中、もしかしたら、世界中のものが集まっている。ただ、逆を言うと東京にしかないものはなかなかない。日本の他の都市と比べれば、大きな公園が多いことくらいか。けれどもそれも、ニューヨークと変わりはない。

そのとき思った。

「自分は東京のことをあまり知らない。というより、

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