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展覧会レポ:村上隆の最新展「もののけ 京都」に行ってきた! 転売ヤーと並ぶアート体験とは?

【約1,800文字、写真22枚】

 世界の現代美術家・村上隆。彼の大規模個展「村上隆 もののけ 京都」に行ってきました。

「村上隆 もののけ 京都」(京都市京セラ美術館、2024)展示風景©︎2024 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co.,Ltd. All Rights Reserved.

■information
京都市美術館開館90周年記念展 「村上隆 もののけ 京都」
会期:2024年2月3日〜9月1日
会場:京都市京セラ美術館 東山キューブ
住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124
電話番号:075-771-4334
開館時間:10:00〜18:00 ※最終入場は17:30まで
休館日:月(ただし祝日の場合は開館)
料金:一般 2200円 / 大学・専門学校生 1500円 / 高校生 1000円 / 中学生以下無料
※京都市内の大学生以下は入場無料
webサイト:https://kyotocity-kyocera.museum/


混雑具合

転売ヤーさんも並んでる?

 2月3日に開幕した「村上隆 もののけ 京都」展。私が行った2月6日(火)の昼は「90分待ち」のプラカードが!?
 先着5万名に「COLLECTIBLE TRADING CARD」が配布されるらしく、カード目当ての方もいたのでしょうか。
 検索するとフリマアプリを中心に、1枚1万円近くの値段が付けられていました。1枚20万円超えで落札された例もあるんだとか¹。(配布は終了しています)

建物内部にも長蛇の列

 転売ヤーさんと一緒に並ぶ体験も、村上アートの一部だとしたら、面白いなあ。なんて妄想しつつ、並ぶのは楽しかったです。建物も素敵にリノベーションされてます。

廊下をぬけると、開放的なロビー。壁に描かれた満開のサクラ!

 嫌味ではなく、中央ホールに堂々と建っている巨大な《阿像》と《吽像》をじっくり観ることができました。

村上隆《阿像》《吽像》

 真横にある大迫力の作品を観ないで、スマホを観ている人は転売ヤーさん? 

何も知らずにゲットしちゃいました

全体の構成

ミーティング中のメモかな?

 会場は6つのシーンで構成されており、約180点が並んでいます。なんと、90パーセントが新作!? って、ほぼ新作じゃない?? しかも、日本中を巡回展示しないんだとか。どうして??

 その理由をご本人が動画で語っておられます。アート界の金銭事情を語る村上隆さん、一見の価値ありです。

入口から暗闇へ

 入口にいきなり岩佐又兵衛《洛中洛外図屏風》、そして通路にも描かれた川模様! 

村上隆《洛中洛外図屏風 岩佐又兵衛 rip》
(来場者さまのお顔は加工しております)

 この屏風は本来、京都の賑わいを描いた傑作ですが、この展覧会の賑わいも演出しているようでワクワクします。
 ん? 次はどう行くのでしょう?
 白いドクロ柄のカーテンがあります。

開けてみると…

 そこは真っ暗な空間。壁や床をよくみると、ドクロだらけ。死を強烈に感じさせる空間になっています。

村上隆《六角螺旋堂》

 災厄を知らせる鐘楼でしょうか。京都には化野や蓮台野など、かつては死をイメージさせる土地がありました。賑わいのあとに、死をもってくるなんて。強烈なお出迎えです。

スーパーフラット

 村上隆さんの代名詞「スーパーフラット」。伝統的な日本美術とアニメなどの平面性をリンクさせ、社会のあり様をとらえた、という勝手な理解をしておりますが、違っていたらスイマセン。

 村上さんのユニークなところはたくさんあります。まず、東京藝術大学大学院時代に、日本画科初の博士号取得者であること。アーティストだけど、有限会社カイカイキキ創業者
であり、経営者でもあること。絵画の表現だけでなく、制作システムも構築、それこそが現代アートなこと。それに…

 まだまだありますが、とにかく新時代を取り込んで、展開されています。

風神雷神から山場へ

 京都が誇る俵屋宗達《風神雷神図屏風》の村上版!? きゃわいい風神さま~

舞台裏も見せてくれます

 左上に「作業地図」ってメモがあります。アニメの制作現場みたいですね。

 そして、キービジュアルにもなった尾形光琳《孔雀立葵図屏風》っぽい《金色の空の夏のお花畑》(右側)。

 さらに、お向かい(左側)には曾我蕭白《雲龍図》に村上さんが触発され、自ら描いたという《雲龍赤変図》! かっけぇ

 超贅沢なスペースですが、ガラガラです。少し待てば独り占めできちゃいます!!
 入場までは混雑していたのですが、入って観ていると、空いてきます。これもまた面白い現象ですね。

デジタルな作品群

 デジタルデータ、NFTの作品たち。早い段階で商品化してらっしゃいます。これからさらに活気づく分野でしょうか。

 締めくくりに、京都は五山の送り火をモチーフにしたキュートな新作でお別れ。本展は、お盆の送り火まで続くらしいので、ちょうどいいですね。さすが、凄腕キュレーターの高橋信也さん。

グッズ売り場

 グッズ売り場に人が集まるのは、展覧会アルアルですが、それにしても、人で詰まってます。
 村上さんが運営される有限会社カイカイキキは、元メルカリCEOの田面木宏尚さんをアドバイザーとして迎えられたそうなので、経営の明確なビジョンがありそうですね。

まとめ「進行形?!」

建設中

 春には屋外に巨大な彫刻作品が完成予定なんだとか。何度も楽しめる仕掛けもあるんですね。
 今回の展示は、アートをビジネスとして捉える側面を意識しました。京都の伝統は、歴史と現代との融合、バージョンアップにあるんだろうと感じます。
 まだ、途中。まだ行ける! そのパッションが、グッとこちらに迫ってくる、面白い体験でした。

〈おまけ〉

祇園饅頭さんの名物「志んこ(しんこ)」抹茶、白、にっきの3色

 ついに、「志んこ」をゲット!(前回、小銭を忘れて買えなかった)

 もっちりした食感、優しい甘み、我が家の子どもたちにも大人気のお味😁🍡 ごちそうさまでした!!

ソース;
¹:毎日新聞「村上隆さん展覧会のトレカ、転売横行 120万円超の落札も」【南陽子】2024/2/8 https://mainichi.jp/articles/20240208/k00/00m/040/141000c 
²:フライヤー京都市美術館開館90周年記念展 「村上隆 もののけ 京都」


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入江玄 アートライター
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