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#短編
【短編小説】圧力鍋の真実
貧乏ゆすりで筋肉痛になると知っている人がどれだけいるだろう。
いつも通り朝7時に目を覚ますが、体を起こそうとすると太ももとふくらはぎに激痛が走る。それは癇癪をおこしたときの娘のように手がつけられないタイプの痛みで、中途半端な態勢に腹筋が先に負けた。
妻のゆりが「あなた、朝ごはんー」と呼ぶのにも応えられないまま、足の違和感の正体を探る。昨日は気持ちよく晴れた秋の一日だった。
自宅でPC
欠ける、満ちる、食べる。
中国や台湾では、どこも欠けていない満月を「円満・完璧」の象徴ととらえている。中秋節の満月の日に、家族が日本の正月のように集まり、食事をしながら満月に見立てた丸い月餅というお菓子や、文旦という果物を食べる習慣がある。
引用:https://www.gldaily.com/inbound/inbound2611/
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理由なき否定ほど、腹の立つものはない。
結婚前に勤めていた職場の上司は「な
物足りなさを分け合って。#文脈メシ妄想選手権
履き慣れない5センチヒールに足がくたくたになった頃、「なんかアイスでも食べなくない?」という彼と休憩がてらにコンビニへ立ち寄った。もうすぐ午後10時を回るコンビニは人気が少なく、店員さんが一人もくもくと品出しをしている。
そのすぐ横を通り抜けて、わたしと彼はアイスのコーナーへ向かう。キンと張り詰めた冷気が漏れ出す棚に手を添えると、アルコールで火照った体が少しだけ冷めていく気がする。
「どれにす
【短編】女達の戦い、時々ブロッコリー #同じテーマで小説を書こう
僕の彼女は、スーパーモデルだ。
しがない一般人が何を言う、気でも狂ったのかと思われるかもしれないが、本当のことだから仕方がない。それに僕はスーパーモデルと付き合ったのではなく、彼女がスーパーモデルになったという順番なので、誤解のないように。
しかし彼女が世界に羽ばたくまでの道のりは、決して平坦なものではなかった。先々に立ちはだかる羨望、嫉妬、足の引っ張り合い。そして行く手を阻む、ブロッコリー。
【短編】ぼくはチチチ星人じゃない
「おまえ、チチチ星人なんだろ。だからそんなに耳がとんがってるんだ」
さくら組のゆうせいくんがいった。ぼくは口をぎゅっとさせて「ちがうよ」といったけど、ゆうせいくんは聞いてくれない。
「チチチ星人はにんげんをおそって食べちゃうんだ。だからきゅうたと仲良くしたら、食べられちゃうんだぞ」
ゆうせいくんが大きなこえでみんなにいった。
チチチ星人は、よるにだけしゅつげんするナゾの異星人だ。おひさまの
【短編】パンダにも理由がある。
パンダとしての人生を全うすべく、わたしは日夜研究に励んでいる。
自分がパンダだと気がつくまでに、随分と時間がかかってしまった。わたしは人間の手によって取り上げられ、人間に囲まれて育ったせいで長いこと自分を人間だと信じ込んでいた。
今にして思えば、人間たちとわたしとでは大きな隔たりがあることにも、恥ずかしながら気付かずにいた。人間は二足歩行なのに歩くわたしの足は四本で、肌がスベスベなのも足の裏く