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詩作品まとめ

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日々の詩のまとめ。
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【詩】愛されて

【詩】愛されて

それが愛だと言うのなら
愛とは致死の毒でしょう

僕のためを思ってと
届けてくれた言葉なら
どうかもう見放して

わかってるよ
わかってたってできないんだ
愛されて育ったあの子みたいに
上手に笑いかけられないよ

愛に恵まれて育った子
優しく愛情深い親
……という役名
あなたの中では真実なのかな

仮面の裏では飢えているよ
都合が良いときの優しさじゃなくて
媚びるための笑顔じゃなくて
いつも変わら

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11月1日〜13日の詩(Nos. 183~192)

11月1日〜13日の詩(Nos. 183~192)

作品No. 183(11月2日)

死の刃を前にした生き物は
世界の喪失の予感に震える
人が 故郷が 大地が 空が
霧に呑まれて消え去るように
たった一人残される

その痛みと孤独の先に

残された者が
死者の魂の残り香と
安らかな眠りを夢見るように
死者もまた
愛した世界の永遠と
生者の命燃える明日を願う
きっと

作品No. 184(11月3日)

辛かったって言ってもいいとか
笑わせんなよ

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10月16日〜31日の詩(Nos. 170~182)

10月16日〜31日の詩(Nos. 170~182)

作品No. 170(10月20日)

四つ葉を摘めば
私だけの幸せが
かさついた手で枯れるだけ

ならば残しておきましょう
いつか見つけるあなたのために
根の付いたまま 生きたまま

そこに幸せがあることを
知っただけで十分ですから

作品No. 171(10月20日)「誰かに助けてほしかった」

作品No. 172(10月21日)

私は正しくないのです
正しくないものを好きになり
正しくない思

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10月1日~15日の詩(Nos. 152~169)

10月1日~15日の詩(Nos. 152~169)

作品No. 152(10月1日)「痛む人」

作品No. 153(10月1日)

夕霧の森の土に蝕まれ輪廻の苗代となりたい母性

作品No. 154(10月3日)

もしも過去に戻されて
やり直しなさいと言われたら
僕は絶望で死ぬだろう

やり直しても
変えられはしない
頑張っても
同じ失敗をする

だってその時の自分は
精一杯にやったのだから
怠けていない
疲れていただけ
目を逸らしたのは
怯え

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9月1日~29日の詩(Nos. 134~151)

9月1日~29日の詩(Nos. 134~151)

作品No. 134(9月1日)

想い出を憑依させた石を
素通りするのも何なので
草を二、三本毟り捨てる
五円分の労働

白髪が束になり始め
可愛げの無くなった孫の顔は
通行料の足しになるだろうか

作品No. 135(9月4日)「彼女の身体」

作品No. 136(9月8日)

殺菌する
汚い手のひら
汚い口
汚い眼

殺菌する
体の中まで
細胞の中まで
全部全部

私と同じDNAを持たないもの

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8月21日~31日の詩(Nos. 125~133)

8月21日~31日の詩(Nos. 125~133)

作品No. 125(8月21日)

君は言った
僕がいなければ無差別殺人鬼になっていたと
僕は防波堤の責任で
君を守り、支え、救うと誓った

だけど救いを求めない者は
神様にだって救えはしない
僕は神でも天使でもなく
悪魔でさえなく
独りぼっちの人間で
君から逃げるので精一杯

拗ねていないで叫んでごらんよ
助けて、ってさ

作品No. 126(8月22日)

どうかママ
お外での僕を見ないでいて

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8月11日~20日の詩(Nos. 113~124)

8月11日~20日の詩(Nos. 113~124)

作品No. 113(8月11日)

それはふとした思い付きか
誰かの指図を受けたのか
それとも逡巡の末なのか

いきなり身近に灯った熱に
私は蒸発してしまいました

気体の私は散り散りになって
衝突しながら逃げ道を探し
雲の鎧をかき集めました

貴方の熱が不意に去り
私は迷いと後悔に濁る液体になり
恐怖は去ったと知るのです

作品No. 114(8月11日)

男に興味が無いのなら
レズビアンに違

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8月1日~10日の詩(Nos. 99~112)

8月1日~10日の詩(Nos. 99~112)

作品No. 99(8月1日)

我慢していると
人に優しくできなくなる

我慢することは
規範の檻を閉じ
正しさの鎖を巻き
纏足を誇ること

檻を壊そうとする者を
嫉妬し憎み排除すること

飛び方も知らないのに
自由の空に放り出されるのは
何より怖いから

我慢することは
自分を嘘に塗り込めること
魂を飼い殺しにすること

作品No. 100(8月1日)

あの頃僕は生きてなくて
人肌の悪夢を食い

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7月1日~30日の詩(Nos. 83~98)

7月1日~30日の詩(Nos. 83~98)

作品No. 83(7月1日)

旅に出られるのは身体が痛くないからで
本が読めるのは心に隙間があるからで
人を愛せるのは愛されたことがあるからで
未来が怖いのは明日が来ることを信じているから

作品No. 84(7月2日)

蝉の殻が腹を見せて
朝のアスファルトに長い影を落としている
琥珀を透かす儚い薄緑
詰まったままの夢

作品No. 85(7月3日)

記念日は
行動を起こすための口実

カレ

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6月13日~29日の詩(Nos. 71~82)

6月13日~29日の詩(Nos. 71~82)

作品No. 71(6月13日)

わたしは蜘蛛の巣
そばにいる巣を土台にして
掛けられた同心円の網

見渡す限り連なる網の雲
わたしの隣にはあなた
境目も無い糸のつながり

突風があなたを連れ去った
わたしの一部を引き裂いて

あなたが抜けた空白を
勤勉な蜘蛛がちまちま埋める
いつかわたしが去るその時まで

作品No. 72(6月14日)

僕がいなくなった後は
楽しい思い出だけ飾っていてね

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6月1日~12日の詩(Nos. 59~70)

6月1日~12日の詩(Nos. 59~70)

作品No. 59(6月1日)

遊びに行こうとわがままを言って
心配事から君を引き離したい

あれが観たいと駄々をこねて
君の好きな映画を観て
あれが食べたいと腕を引いて
君の好きなアイスを食べて

君が言えないわがままを
君の代わりに叶えてあげたい

作品No. 60(6月2日)

平和な時
人の命は何より重い

狂乱の時
命は容易く消えてゆく
大義のために
国のために
家族のために
あるいは無

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5月21日~30日の詩(Nos. 46~58)

5月21日~30日の詩(Nos. 46~58)

作品No. 46(5月21日)

優しいあなた
ひとのためにと言葉を呑み込み
心を影に溶かしたあなた

自分の影に訊いてみて
逐一逐一訊いてみて

どう感じたの?
好き? 嫌い?
それはどうして?
どうしたい?

鬱陶しいほど何度も何度も

暗い沼からすくった答えは
醜く見えても大切なもの
あなただけのきらめく原石

作品No. 47(5月23日)

彼は醜いアヒルの子
仲間外れのアヒルの子

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5月11日~20日の詩(Nos. 34~45)

5月11日~20日の詩(Nos. 34~45)

作品No. 34(5月11日)

覚悟を決め
逃げ道を断ち
在るべき場所に
己の全てをかけて立つ

その人の瞳は
凛と美しい

作品No. 35(5月12日)

相手の課題を
我が事として背負う
それは一見優しくて
深く美しい愛のよう

でもそんなこと頼んでない

あなたは一人で張り切って
あなたの思う正解に
私を引きずり突き進む
嫌がる私を叱咤して

私はそんなに無力でしょうか
自分の歩む道さえ

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5月1日~10日の詩(Nos. 24~33)

5月1日~10日の詩(Nos. 24~33)

作品No. 24(5月1日)

私を定義する薄い肌は
絶えず剥がれて入れ替わり
かつての私は汗となり
空気と混じり 散っていく

拡大すれば
綿飴のような分子や原子が
心許なく集まっているばかり

「私」も
「あなた」も
少し密度が濃いだけの
形無き雲

留まらず
淀まず
清く流れ行け

作品No. 25(5月2日)

転んで初めて気が付いた
手足に鎖
口に猿轡

鎖は矛盾
求めても得られない

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