ひろ健作と行く『冒険の旅』#1
はじめにお尋ねしたい。
家事や仕事、習い事や友だちとのことに疲れていないだろうか。
朝の風景
朝起きて、仕事場へと向かう。ある人はバスに揺られ、ある人は満員電車に乗る。またある人は家がそのまま仕事場かもしれない。またある人は家族を送り出して家事をはじめるかもしれない。
PCを立ち上げメールをチェックする。スマホで気になるニュースや動画を流し見する。そろそろ仕事をはじめなければならない。
けどいまひとつ身が入らない。資料を見ても頭に入らない。汚れた食器を片づけ、溜まった洗濯物を干す。次から次にやることがあって、どれから手を付けていいかわからない。
あ~あ、なんでいっつもこうなんだろ
あなたはつぶやく。昨日夜中の2時半までアルコールを飲んで、海外ドラマを観ていたからまだ体が目を覚ましていない。そんな状態で仕事をはじめているからまだエンジンがかからない。
いつもこんな調子だ。気づくと先週も、先々週も。
ゴールデンウィークやお盆に休みを取って帰省し、友人たちと昔話に花を咲かせてそれなりに楽しくはあるけれど、過去を懐かしんでいるだけで、いまひとつ面白みに欠ける。どこかムリして話を合わせている自分がいる。
いつからだろう……。こんな自分になったのは――。
かつての自分
かつてはこんな自分じゃなかった。はじめてする仕事に不安を覚えつつも、少しでも成果を出そうと前向きだった。好きな人と一緒になって幸せな家庭をつくろう、そう思っていた。
気の置けない仲間や友人と、夜飲みに行き、大いに語った。将来こんな風になりたいと夢を語った。
けれど、いつからだろうか。日々の忙しさに追われ、夢を追いかけなくなった。旅をして海や山の風景や街中のお店を探訪してそれなりに楽しんでも、どこか満たされず、むなしさを覚えるのはなぜだろうか。
あなたは、そんなことがないだろうか。
ひろ健作という人間
ぼくにはあった。友だちといても、ふとさびしさがよぎる。思い切って海外旅行に行って、見知らぬ土地で見知らぬ人に話しかけ、思い切り羽根伸ばしても、どこかムリをしている。
家に帰り、両親と話していても、どこか上の空。「最近どうなの」と尋ねられて我に返り話し出す。けどどうせわかってはもらえない。話を合わせている自分がいる。それは気の置けないはずの友人に対しても――。
ほんとうはグチを言い合う友だちやママ友であっても、どこか一線引いている。自分の周りに人はいっぱいいて、いつでも話せる環境にいるのに、孤独感は消えない。
なぜだろう……アルコールを飲み、思い切りはじけているように見せていても、どこか酔えていない自分がいる。気に入った彼女とお付き合いができているのに、さびしさがふと自分を襲う。
波打ち際で立ち止まり、座る。寄せては引く波を観ながら遠くを見る。
「どうしたのヒロ。元気ないじゃない。いつものあなたらしくないわ」
付き合っているときはやさしいことばをかけてくれていても、見た目ほど魅力がなく、中身がないと気づいた彼女は、あたらしい彼をつくった。
久しぶりに会ったとき、驚くようなひと言を吐いた。
「相変わらず、暗いのね」
そうなのだ。ぼくは本当は暗いのにムリして明るく振る舞っていた。だからどこか内面と外に見せている自分とでギャップが生じて、家に帰りひとりになると、ひどく疲れていたのだ。
これからお話しするのは、そんな暗い過去を持つ僕と、そこからどうやって脱け出していけたかというお話し。
もしかすると、いま読んでいるあなたにも、共感してもらえる部分があるかもしれない。なにかヒントにつながるかもしれない。
ぼくと歩む『冒険の旅』。それでは少しずつ綴っていこう。
……つづく。
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