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海外ビジネスの失敗談

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中洋の様々な国でプロジェクトの納入を通じて経験をしてきましたが、どのプロジェクトにも固有の難題がありました。いい経験をさせて頂きました。
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退屈な話

退屈な話

校長先生の長~い挨拶

僕が小学生の頃、夏休みなどのイベントの前後には全校生徒が校庭に整列して校長先生のお話を聞きました。考えてみると6歳から12歳までの年齢の為、聞く側には大きな年齢差がありました。

多分そのような事はあまり考慮に入れられていない内容だったのではないかと思います。ただ一人だけ感動を覚え記憶があったのはスピーチが短い先生だけでした。『寒いな~』とか『暑いな~』『早く終わらないかな

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前金のもらい方

前金のもらい方

ビジネスには着手金とか前渡し金なるものがあります。中小企業にとってスパンの長い仕事は資金繰りが大変なので先にいくらかを支払ってもらうと助かります。また前金をもらう事でキャンセルをされにくくなるというメリットも出てきます。

そこで問題はその切り出し方です。『ウチも苦しいのでお願いできますか?』は最悪。正当な要求でありながら相手から見下されます。評判を下げる事もあります。それで前金を取れればいいが、

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成功の反対は失敗ではない

成功の反対は失敗ではない

挑戦しない人生は面白くありません。私達は様々な事に挑戦する為に生まれてきました。

エピクトテスの言葉

古代ギリシャの哲学者エピクトテスは『物事には全て二つの把手(とって)がある』と言いました。ウオルト・ディズニーはカンザスシティーの田舎で生まれ、絵が好きで得意だという事だけを武器にハリウッドに出てきました。そして仕事が無かったので自分で会社を作りました。幸いにもその会社は一時軌道にのりました。

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見栄

見栄

私達は社会で生きていく上で意識して様々なキャラクターを演じています。同じ人が家ではお父さんや夫、会社では上司や部下、社会では親戚や取引先やご近所など場面によって色々な立場があります。その中で、相手によって異なった自分を演じています。少なくとも会社でのキャラと家庭でのキャラは大抵の人の場合、異なっているように思います。

見栄とは

英語で人間をpersonと言いますが、その語源はラテン語のペルソナ

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あるがままに見る

あるがままに見る

以前ウクライナで仕事をさせて頂いた経験から、TVニュースを見るとすごく気になります。人が作った国境線の位置の為に憎しみ合い、愚かにも戦争をして多くのそれも同じような民族同士で命を奪い合っています。特に罪のない女性や子供達の命が奪われていると聞くと 心が痛みます。『国境』と言うイメージがない野生動物や渡り鳥には理解できない事でしょう。

先日のケニア国連大使の演説は人々の心を打ちました。『私達の国境

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InsideとOutside(内と外)の課題

InsideとOutside(内と外)の課題

自分に取っての『内に対しての外』とはどこの事と認識しているでしょう。大きいものから見ていけば世界そして国や社会、地域、会社、家庭。つまるところは個人、その人ということになります。根本はその人そのものを内側と認識しています。従って自分の意識によって家族や会社の上司・同僚との接し方も変わってくるという事です。

国による違い

初めて印度に行った時、友人の家に招待されて家の中の豪華さや美しさに比べて外

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サルタンカブース大学への道とその帰り道で新しい仕事を入手した

サルタンカブース大学への道とその帰り道で新しい仕事を入手した

毎日D/Sビルの自分の机に向かって仕事を通じて知り合った友人達に自分が作ってもらった会社の紹介状を書いていた。合併して5年間勤めていたメーカーで今までやりたくてもさせて貰えなかった仕事が新会社の誕生で今はできるようになった事を綴っていた。これを書いていると心にエネルギーが湧いてくるような気がする。

夜は元同僚や上司と夕食を囲みながら自分たちの夢について語り合った。私たちの気持ちがぶれていない事を

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イランの北東部マシャド市にある聖地ゴハルシャド寺院への取り組みと阪神淡路大震災

イランの北東部マシャド市にある聖地ゴハルシャド寺院への取り組みと阪神淡路大震災

会社設立後2年が過ぎようとする頃、イラン東部のマシャド市にあるイスラム教シーア派の聖地ゴハルシャド寺院向けプロジェクトに取り組んでいた。イランのパートナーが設計施工をしてくれるので、我々は必要な商品の購入とバンダルアバス港への出荷を担当した。総額一億円以上の商品を買い集める必要があり、作業は順調に進んでいた。

船便での出荷依頼につき殆どの商品を神戸にある乙仲の倉庫に集結していた。年末になって工事

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『トルコ、イスタンブールの衛星放送局に大型TV中継車3台を納入した。
引き取りにロシアの軍用輸送機アントノフが関空に引き取りに来た。』  2000年春

『トルコ、イスタンブールの衛星放送局に大型TV中継車3台を納入した。 引き取りにロシアの軍用輸送機アントノフが関空に引き取りに来た。』  2000年春

フィリピンの中継車納入の噂を聞き、メーカーのトルコ代理店から衛星放送TV局向けに大型中継車3台の引き合いを受け、受注した。これはプロサッカーの試合を生中継する為のもので大型カメラ16台、ゴール用小型固定カメラ2台やスローモーション装置など本格的な内容であった。

車体の条件としてヨーロッパでの走行も必要になるので、EU規格に適合すること。従って今回も左ハンドルの車台を調達しなければならない。納期の

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空港プロジェクト施工要員の日本研修とペルシャ日本両国の食文化の違い

空港プロジェクト施工要員の日本研修とペルシャ日本両国の食文化の違い

イランの空港公団3名の方々が大阪に来られた。空港での設置と補修はテロリスト対策の為に公団内部の人以外は関係できない。現地での応札の条件に研修の実施条項があって設計と機器の修理は代理店でするが、研修は我々が担当する事になっていた。そうした中、地方空港10空港の入札が別々にあって当初3空港分の応札で我々のグループが落札した。

機器構成が複数メーカーになっているので、システムでまとまった対応をする為に

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フィリピン最大の民放にプロバスケットボール撮影用の大型中継車を4か月で納入する

フィリピン最大の民放にプロバスケットボール撮影用の大型中継車を4か月で納入する

フィリピンではTV中継車は現地製だけであった。TV局の要請によりジプニーを生産する下町の自動車工場で特注制作したカメラ等撮影用機材の運搬車が使われていた。ジプニーとは米軍払い下げジープを改装した乗用車や小型バスで、フィリピンでは車体の板金などの生産技術はそれなりに発達していた。庶民の足として主な交通手段であった。

同国で最大の民放TV局では全国に移動開催される人気プロスポーツ、バスケットボールの

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フィリピン中継車の納入から3年後新古車の乙波があった

フィリピン中継車の納入から3年後新古車の乙波があった

『フィリピンの中継車納入から3年後新古車の乙波があった』  2002年春

フィリピン向け中継車納入の3年後、10トントラック車台の納期が間に合わないと騒いで居た頃、車体架装の会社から既に架装が完成した新古車体があり17百万円のところ15百万円で譲ってもいいという乙波があった。現地購入となって没になったが、今まで買い手が付かなかったので同車台を特別に3百万円で如何かと言われた。

買い手を探したも

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8年掛かりでウクライナステートTVプロジェクトを納入した

8年掛かりでウクライナステートTVプロジェクトを納入した

 『8年掛かりでウクライナステートTVプロジェクトを納入した』

2000年7月7日の日誌より、
【今日キエフの日本大使館を元勤務先メーカーの営業所長と一緒に訪問、エリート官僚の仕事ぶりに対して不満足な気持ちを持った。

ステートTV向けのプロジェクトの現状を説明した。『今の状況を打ち破る為に是非大使館から副首相に電話を入れて頂き、私たちと副首相の打ち合わせの機会を設定して頂きたい』旨申し入れた。

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フィリピンのマニラにて置き引き被害に会った

フィリピンのマニラにて置き引き被害に会った

『TV中継車納品の一年後』 1999年3月

TV中継車の納品一年後、保証期限切れの前に不具合な部位がないか確認にマニラに出張した。同行した関係エンジニアがTV局で確認している間、次の訪問先ドバイでの仕事の段取りをしていた。ホテルのロビーでソファーに腰掛けてアタッシュケースからノートと読みかけの本を取出した。そしてお酒を注文して、読書しながら二人が帰ってくるのを待っていた。

その時、美しいドレ

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