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2021年7月の記事一覧

[コラム] 孔子スタイルとソクラテススタイル

[コラム] 孔子スタイルとソクラテススタイル

こんばんは。

今日はコラム的に、世界の四聖人のうちの二人、孔子とソクラテスの共通点、相違点について記事にしてみたいと思います。脱線が多くなります。ご容赦ください。

(早速脱線します。)ちなみに、四聖人の残り二人は、釈迦とキリストです。
 孔子とソクラテスの思想は、いずれも宗教ではなく、政治、社会の実践的な教訓として、東洋文化あるいは西洋文化の根本的思想に広く深く影響を及ぼしたという点が似通って

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これを愛する能く労する勿らんや。これに忠する能く誨うること勿らんや。(論語 憲問)

これを愛する能く労する勿らんや。これに忠する能く誨うること勿らんや。(論語 憲問)

(意味) 本当に愛するということは、試練を与えることである。
 人に誠実に尽くすには、しっかりと教え諭すことである。

裏を返せば、
 愛することは甘やかすことではない。
 忠とは勝手になんでもやらせておくことではない。
ということが含まれています。

部下を信頼して仕事を任せる
 組織において、部下を信頼し、仕事(試練)を与えること、その成長を促すことが重要です。ここで孔子は「愛」と表現していま

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君子は事え易くしかも説ばしめ難し(論語 子路)

君子は事え易くしかも説ばしめ難し(論語 子路)

子曰く、君子は事え易くしかも説ばしめ難し。
これを説ばしむるに道を以てせざれば、説ばざるなり。
その人を使うに及んでや、これを器にす。

小人は事え難くしかも説ばしめ易し。
これを説ばしむるに道を以てせずと雖も、説ぶなり。
その人を使う及んでや、備わらんことを求む。

(意味) 君子には仕えるのは容易いが、満足させることが難しい。
その要求レベルは高く、道に反していれば決して満足はしない。
 その

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君子はこれを己に求め、小人はこれを人に求む。(論語 衛霊公)

君子はこれを己に求め、小人はこれを人に求む。(論語 衛霊公)

(意味) 君子は自分を責めることが深く、全てこれを反省する。小人はこれに反し、これを他人に求めて自分で反省しない。

他責にする人
 責任が自分に及ばないように予防線を張って火の粉が舞い込まないようにうまく避けたり。
 または問題が起きたとき、自分の守備範囲から外れているから関係ない、と。

 これらは何か外部の刺激を受けたときに自己防衛的に、刺激に対して直接反応しているのです。

 育った環境、

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士は以て弘毅(こうき)ならざるべからず。 (論語 泰伯)

士は以て弘毅(こうき)ならざるべからず。 (論語 泰伯)

曾子曰く、士は以て弘毅ならざるべからず。
任重くして道遠し。
仁以て己が任となす。また重からずや。
死してしかしてのち已む。また遠からずや。

1フレーズずつ解説。
<人の上に立つ者は、弘毅でなければならない。>

 弘=器量の大きく広いことを言う。つまらぬことで立腹してはいけない。

 毅=強く断行できる、忍び堅く耐え、堪忍に堪忍を重ね、最後には断行する。

<任重くして道遠し。仁以って己が任と

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先ずその言を行い、而(しか)る後これに従う(論語 為政)

先ずその言を行い、而(しか)る後これに従う(論語 為政)

(意味) 最初に、その言うところの説を実行し、その後にこれを言葉にしなさい。

信頼される人は、自ら実行して示す 自らが模範となる行動をし、言行一致を示すと、信頼を得ることができます。雄弁が勝り、言うだけのことが多くなってしまうと、その言葉の信憑性が低下します。
 孔子が能弁家である弟子の子貢に対して諫めた言葉として知られています。

 特に組織の掲げる行動規範やビジョン、会社の基本理念、これらは

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その以(な)す所を視、その由る所を観、その安んずる所を察すれば、人焉んぞ廋さんや。人焉んぞ廋さんや。(論語 為政)

その以(な)す所を視、その由る所を観、その安んずる所を察すれば、人焉んぞ廋さんや。人焉んぞ廋さんや。(論語 為政)

(意味)第一に、その人の外面に現れた行為の善悪正邪を視る。
第二に、その人のその行為の動機は何であるかをとくと観極める。
第三に、その人の行為の落ち着くところはどこか、何に満足して生きているかを察知すれば、
 必ずその人の真の性質が明らかになるもので、いかにその人が隠しても隠しきれるものではない。

深く、より深く 視る→観る→察する
 人の行為は一見正しければ良いというものではなく、その奥には、

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君子は泰にして驕らず。小人は驕りて泰ならず(論語 子路)

君子は泰にして驕らず。小人は驕りて泰ならず(論語 子路)

(意味) 君子は自信を持ちながら、しかも謙虚である。小人は傲慢でありながら、そのくせ自信に欠けている。

人の上に立つ者は、特に謙虚でなければならない。「謙虚さ」は、孔子の理想とする人徳のうちの一つです。いかに才能に溢れ、アクティブで優れたであっても、履き違えて傲慢な態度でいると、いずれ諫言する人も居なくなり、かつてその優秀さで成果を上げていたものの、新しい考え方が周囲から入ることなく、やがてパフ

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直きを挙げてこれを枉(まが)れるに錯(お)けば則ち民服す。(論語 為政)

(意味) 真っ直ぐな材木をそり曲がった材木の上に置けば、下の曲がった材木も真っ直ぐの材木に押されて真っ直ぐになるように、賢く正しい者を取り立てて人の上に置けば、人民は自ずと正しくなり心服するものである。

記憶に残るフレーズ
 大変わかりやすい喩えであり、コンパクトにまとまった言葉ですね。大学受験の時に、英語の構文を一生懸命暗記していたことを思い出します。
 とてもテンポく、頭に残るフレーズとなる

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その身正しければ、令せずして行われ、その身ただしからざれば、令すと雖も従わず(論語 子路篇)

その身正しければ、令せずして行われ、その身ただしからざれば、令すと雖も従わず(論語 子路篇)

(意味)自分の言動が正しければ、命令しなくても行われ、自分が正しくなければ命令しても従うものはいない。

 つまり倫理を尽くし、言動を慎んで、その身が正しければ、命令して人を動かそうとしなくても自ら感化して善におもむく。
 逆に、自らの存在が正しくなければ、たとえ工夫して従わせようとしても、周りは動かない。

 だとすると、人を動かすテクニックを学ぶよりも「正しい存在」として自己鍛錬することが、や

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欺くこと勿れ。而してこれを犯せ。(論語 憲問)

欺くこと勿れ。而してこれを犯せ。(論語 憲問)

子路君に事えんことを問う。子曰く、欺くこと勿れ。而してこれを犯せ。

(意味) 子路が、君主に仕(事)えるとはどういうことかを質問した。
孔子は仰った。「偽ってはいけない。しかし、いざというときは躊躇なく諌めよ。」

 この言葉は、子路という弟子が講師に対して、君主に仕えることに対する考えの質問をした中の一節です。

基本スタンスは「誠心誠意」
 嘘偽りを言うのは不義理であり、それは国を滅ぼす元凶

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事を先にして得ることを後にす、徳を崇うするにあらずや。その悪を攻めて、人の悪を攻むることなき、慝を脩むるにあらずや。(論語 顔淵)

事を先にして得ることを後にす、徳を崇うするにあらずや。その悪を攻めて、人の悪を攻むることなき、慝を脩むるにあらずや。(論語 顔淵)

(意味) 自らがなすべき事を十分に行って、その報いを考えなければ、徳は自ずから積まれてくるものだ。
 常に自ら顧みて自分の悪を攻めて取り除き、他人の悪を攻撃することがなければ、心の中のやましところはなくなる。

なんともストイックな言葉ですね。

まず、やるべきことを全うする
 前半の言葉です。
 あくまで関心の中心は自己鍛錬にあります。
 自らを高めていくことで、その引力で、報いは後から付いてく

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吾知ることあらんか、知ることなきなり。鄙夫(ひふ)あり、来たりて我に問う。空空如たり。我その両端を叩き而して竭せり。(論語 子罕)

吾知ることあらんか、知ることなきなり。鄙夫(ひふ)あり、来たりて我に問う。空空如たり。我その両端を叩き而して竭せり。(論語 子罕)

(意味)私は物知りか、そうではない。しかし無知な男が真面目に質問してきたら、私は自分の頭の隅々まで叩いて、知恵を絞って真剣に答える。

 これは、孔子が身分がどうあれ自らに対して真剣に知ろうとする態度の人間に対する姿勢を示している。そういう人に対しては、億劫になることなく、惜しげもなく頭を捻って答えてあげる、ということです。

傾聴
 渋沢栄一はこの精神に習い午前中の一定時間は時間の許す限り面談を

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