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欺くこと勿れ。而してこれを犯せ。(論語 憲問)

子路君に事えんことを問う。子曰く、欺くこと勿れ。而してこれを犯せ。

(意味)

 子路が、君主に仕(事)えるとはどういうことかを質問した。
孔子は仰った。「偽ってはいけない。しかし、いざというときは躊躇なく諌めよ。」

 この言葉は、子路という弟子が講師に対して、君主に仕えることに対する考えの質問をした中の一節です。

基本スタンスは「誠心誠意」


 嘘偽りを言うのは不義理であり、それは国を滅ぼす元凶となるものです。
 そしていざと言うときに諫言できるのは、普段誠意を尽くしている者だからこそ、その言葉は信頼されることは明らかです。

 その場凌ぎで断片的に都合の良い事実を切り取って報告したり、自分都合で上位職の判断を曲げるように誘導する、といった技に巧みな人物が組織には存在するものです。
 一時的な、そして限定的な利益のための仕事はやがて本質的なゴールから組織を遠ざけることになります。そうした動きに対しては、毅然と争うべきでしょう。

いざというとき


 いざという時には、躊躇せずに諫言を行う、これは「貞観政要」でも頻繁に取り上げられるテーマであり、孫氏の兵法の「君命受けざるところあり」にあらわれています。

 当時は諫言することは、すなわち君主に反論することでありそれが間違いであった場合は職を失うか、最悪の場合死を意味します。貞観政要の太宗はそれを否定して心理的安全を与えていました。
 もちろん現代では諫言によって死ぬことはありませんが、一時的には不利にはたらいて左遷されるようなことはあってもおかしくありません。

 左遷された先で腐ってしまうのではなく、そこでも誠意を持って仕えていれば、不思議とその後に改めてチャンスをくれる風土が日本企業には残っているようです(下記参照)。

 日本の会社の不思議な点として、リスクをとって果敢に散った人は、短期的にはバッテンがついて閉職に飛ばされたとしても、何年か後にはまたメインストリームに復帰するという、なぜだかわからないが不思議かつ健全なブーメラン作用が残っている。
 私はこれは、本当に素晴らしい日本の会社の隠れた強みだと思っている。
 「ダークサイド・スキル 本当に戦えるリーダーになる七つの裏技」(日本経済新聞出版 木村尚敬著)


 誠心誠意尽くして、いざというときには敢えて勇気を出して諫言する。これが君主に仕える(仕事)の本質であると言えます。

(参考、引用)


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