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【毒親】『親という傷 幼少期の心の傷をとりのぞけばあなたの人生は好転する』◇まとめ その6【トラウマ】

本書のまとめの6本目。読んでくださっている皆さん,
本当にありがとうございます!
今後も頑張って書いていこうと思います。
全部の目次は,こちらの記事に記載しています。


Part2 心の傷とその原因

Chapter5 優先されたい

「親が慢性的にほかのものに気をとられていると,子どもは傷ついたまま大人になる。そして優先してくれる人間関係を探し求めていると自分では思いながら,実際は,何十年も前に家族から刷り込まれたこと,つまりは自分は大切な存在ではないということを再び実感するような関係を,無意識のうちに求めてしまう。」(p.150)

 ここでは,「優先の傷」についていくつかの事例を通してみていきます。

「幼少期の頃」と「優先」と聞くと,「親が子どもの言うことを何でも優先すること?」と考えてしまうかもしれません。
 しかしそうではなく,本書を読む限り,「優先」とは,「親も自分の大切なもの(時間や人,出来事など)は大切にして良い。しかし,子どもに対し『それらよりもあなたをちゃんと大切に思っているよ』ということをきちんと伝えながら接していくこと」かと思われます。

 まず「優先の傷」に気づくために,二人の女性,イザベルとジョー(ジョセフィーナ:いずれも仮名)の事例を検討します。二人は女性同士のカップルとしての関係を続けられるかどうかのアドバイスをもらうために,著者のところに来たそうです。

 話を聞いていくと,ジョーはイザベルが,自分の「他の友人たちと過ごす」という行動に対して,文句をつけてくることに不満があるようでした。  イザベルはジョーに,もっと自分のことを優先してほしいと感じていましたが,ジョーはイザベルの「優先してほしい」という気持ちから出ている数々の支配的な行動に嫌気がさしているようでした。

 そこで著者は,イザベルの母親について尋ねます。すると,彼女が7歳のとき,母親の妹(叔母)が自ら命を絶ち,それが原因で母親はうつ病になった。そこから彼女の家庭内は,母親のうつ病が最優先になり,イザベルもそれに巻き込まれたとのこと。

 わずか7歳の女の子にとって,自分が優先されないのはとてもつらいことだったが,彼女は母親や父親に負い目を感じ,叔母がなくなる前の「すばらしい家庭である」という事実を今までずっと引きずっていたのでした。

 そのときにできた「優先の傷」が,ジョーとの関係の中で「ジョーが自分を優先してくれない」という思いとして疼き出し,結果,ジョーを縛る行動になってしまっていたことが分かったのでした。

 さて,ここで「優先の傷」が生じやすい家庭の特徴を,事例を交えて3つ挙げています。

  • 1,気をとられている家庭(アンドレイ(仮名)の事例)

 アンドレイの母親はシングルマザーで,仕事を2つかけもちしていた。母親自身は非常に愛情深い人で,アンドレイのために力を尽くしたが,悲しいことにアンドレイには「自分は優先されていない」という気持ちをもたらす結果になってしまった。

家族や人が善意で行動している場合でも,心の傷ができることがある。(p.161)」

  • 2,注意散漫な家庭(ケイト(仮名)の事例)

 ケイトには4歳のとき母親に,新しいパートナーができたが,彼との恋の様子を娘のケイトに語って聞かせていた。ケイトはこれが嫌だったが,母親が楽しそうなのでやめさせられない。知らないうちに「自分には関心を持ってもらえていない」と感じるようになっていった。

慢性的にほかのものに気をとられている家族は,子どもに長期的な影響を与える。(p.162)」

  • 3,親に未解決の傷がある家庭(サラ(仮名)の事例)

 現在は医師をしているサラは子どもの頃,写真に夢中だったが両親はそれを理解してくれなかった。両親はとても裕福なのにも関わらず娘の夢を応援しなかった理由は,両親が「人がどう思うか」をずっと気にしていて,「自分たちの家庭は娘を医者にしないと成り立たない」という「帰属意識の傷」を抱えていたからだった。

親の未解決の傷が子どもに受け継がれる例は無数にある(p.163)」

 さらに,これらの3つの家庭で生じた「優先の傷」に,人がどのように対処しようとするのかを2つ挙げています。

  • 1,繰り返す

⇒ 両親からされたことを,自分に,またあっは自分の大切な人にしてし  まい,繰り返す。
(例:自身が両親に虐待されて育ち,家庭を持った際に自分の子どもにも虐待をしてしまう)

  • 2,反対の行動をとる

⇒ 見たことや体験したことと正反対の行動をとる。
(例:アルコールで家庭を崩壊させた母親を見て,自分は絶対にアルコールに触れないようにする)

【心の根元の傷を癒すワーク・優先の傷】

 さて,ここでも,心の根元の傷を癒すワークに取り組みます。前回同様に4つのステップがあります。

  • 1,心の傷に名前を付ける

(自分を傷つけたものは何なのか,正確に言語化してみる)

  • 2,客観視する

(自分か他の誰かに,痛み,影響を与えた出来事の目撃者になる(なってもらう)※これは自分自身でも可能)

  • 3,悲しむ

(客観視によって表れたすべての感情に寄り添う。自分の気持ちをしっかりと感じる)

  • 4,方向転換する

(十分に悲しんだ後,再び自分に深く関わり,行動や考え方のパターンを変える)

 それぞれの傷を,この4つのステップに沿って見つめます。著者は,傷を見つめる前に必ず,安心でき,リラックスできる環境に身を置くことを勧めています。

 この章では,このワークの参照として,イザベルとジョーが実際にワークに取り組んでいる様子を詳述してくれています。

 もしご興味がある方は,ぜひ本書にてお確かめください。Amazonのリンクを一番下に貼っておきます。

―― ■ 以上が本書のまとめ。以下は私の感想文です ■ ――

 今回の「優先の傷」は,一方的に親のせいとも言い難いものだなと感じました。

 なぜならこの傷は,アンドレイのように,親が「子どものために一生懸命動いている」場合でも生じることがあるからです。

 決して子どもがわがままなのではありません。子どもは心の中では,親に「関心を注いでほしい」と思いますし「自分を見ていてほしい」と思っているんです。

 悲しいことに,子どもという幼い存在がゆえに,そのような気持ちを親に上手く伝えられない,もしくは親が様々な事情で答えてあげられないのが,現状だと思います。

 私も幼少期,両親が共働きで,平日の私の面倒は,主に父方の祖母が見てくれていました。そしていつも夕方に仕事から帰ってくる母親は,即座に家事に手をつけ,私と触れ合う時間は少なかったように思います。父親も同様でした。

 祖父母は昭和の気丈がある夫婦で,あまり私に干渉してきませんでした。おそらく「私の気持ちを受け止める」という考えそのものがなかったのでしょう。

 誰も悪くありません。でも,そんな中でも,悲しいことに,傷は生まれてしまうものなんですね。

 さて,「優先の傷」についてはここまでにしましょう。

 次回は「Chapter6 信頼したい」を読んでいきます。

本書のリンク(Amazon)


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