Story Lab / 白崎 秀仁(しろさき ひでと)

ストーリーテラー。 物語を書いてます。 メンバーシップでは、毎週更新される物語すべて購…

Story Lab / 白崎 秀仁(しろさき ひでと)

ストーリーテラー。 物語を書いてます。 メンバーシップでは、毎週更新される物語すべて購読可能。 その他、雑談なども書いてます。 問い合わせ hideto.shirosaki@gmail.com

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■どんなメンバーシップ? Story Labは、僕(白崎秀仁)が書く物語(小説や短編など)が読み放題のメンバーシップです。 更新は毎週、複数の物語を連載の形で掲載していきます。 ■コンセプト 「人生で悩んだときは、ストーリーが助けてくれる」を軸に、「あなたが一歩踏み出す力をくれるお話」を、楽しい物語として提供しています。 とはいえ、本屋で買える書籍のように、編集者の手が入っていないため、誤字脱字もあります。見直し時点では気づかなかったストーリー上の矛盾なんてものも見つかってしまうかもしれません。 でも、身軽です。 デジタルなので修正も容易ですし、たとえばいただいたコメントをもとに別の結末を考え、同じ物語の第二の結末のようなものを作ることも可能で、見方によっては読者の方と一緒に物語を作っていくとも言えます。そしてもっとダイレクトに、読者の方からいただいたアイデアもとに物語を書いてみることもできます。 「Lab」なので、実験しながらいろいろな物語を創ってこうと思っています。

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記事一覧

壁越しの恋 第2幕 ファーストコンタクト(連載小説)

第一幕はこちら 第二幕 ファーストコンタクト -1- 一週間ぶりの職場は、少し空気が違う気がした。 何が違うと言われても、具体的なことは分からない。上司の眉間のシワ…

黒い砂 テケテケ誕生の物語【期間限定  一気読み! 10/20まで】

※黒い砂 テケテケ誕生の物語(伏見警部補の都市伝説シリーズ)の期間限定一気読み! 10/14~10/20まで(10/21以降は有料) 第1話 -1- 真中瑞江(まなか みずえ)は…

死刑遊戯 第7話 責任能力有無という悪法【小説/シリアス】

第1話はこちら -1- 『犯人たちの居場所が分かったかもしれません』 片岡の言葉に、坂下は反射的に立ち上がった。 「間違いないのか?」 『まだ、確実とは。でもたぶ…

コンパリソンを脱ぎ捨てて(ショートストーリー)

1、言えない悩み 私は、思いを口にしたことを後悔していた。 夫に悪気がないのは分かっている。私にも子供にも優しくて、家の中は笑顔が絶えず、この幸せがずっと続いてほ…

壁越しの恋 第1幕 あるコメント(連載小説)

第一幕 あるコメント -1- 「來未、聞いてる?」 君沢來未(きみさわ くみ)は、名前を呼ばれて方杖から顔を離した。 「あ、うん、聞いてたよ」 笑顔を作ったものの…

異物【一気読み!】

※連載小説「異物」の一気読み。 第1話 -1- いつもと同じ朝が、心の中に安心と退屈を混ぜ合わせ、新しい日が始まるという期待はすぐに、何も変わらない、人生はそんな…

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死刑遊戯 第6話 動機の解明という名の延命措置【小説/シリアス】

第1話はこちら -1- 「玉木さん、あなたが所属する弁護士会は以前、日本の犯罪史上、最悪とも言える凶悪事件を起こしたテロリストが死刑になったとき、それに反対する声…

第14話 受け入れる~エピローグ(それぞれの道)【死生の天秤】小説

■第14話~エピローグの見どころ ・愛するが故に ・乗り越えるために受け入れる 第1話を読んでみる(第1話はフルで読めます) -1- 箕嶋は、亜梨沙と一緒に家に戻ると…

あなたの「できる」を 誰かのために(ショートストーリー)

-1- 喪失 真白由舞(ましろ ゆま)、結婚。 見出しを見たとき、俺はスマホを落としそうになった。 仕事帰りの電車の中、疲れ切った顔が並んでいる中で、俺の顔だけは異…

死刑遊戯 第5話 過ぎる期待【小説/シリアス】

第1話はこちら -1- 「犯罪という過ちを犯して、捕まって刑務所に入る。刑期を終えれば、前科からは逃れられないものの、もう犯罪者ではありません。そこから、過ちを悔…

第13話 二度目【死生の天秤】小説

■第13話の見どころ ・残酷な提案 ・亜梨沙の涙 ・箕島の苦悩 第1話を読んでみる(第1話はフルで読めます) -1- 旅行二日目も、優衣はほとんどを笑顔で過ごし、遊び…

第12話 真相~エピローグ【口裂け女の殺人/伏見警部補の都市伝説シリーズ】小説

■第12~エピローグの見どころ ・口裂け女が生まれた理由 ・みづきの決断、伏見の決断 ・常磐の遺恨 第1話を読んでみる(第1話はフルで読めます) -1- 「橘さん、来…

死刑遊戯 第4話 文明人という詭弁【小説/シリアス】

第1話はこちら -1- 「犯人さん、あなたは殺人は死刑だというけど、そうね、たとえば女が身を守るために、結果として相手を殺してしまったら、それも死刑なの?」   「…

一つの世界から世界の一つに(ショートストーリー)

-1- 高校を卒業する今日、私は校舎の前で振り返って、屋上を見上げた。 高2の春、ゴールデンウィークが明けて一週間経ったあの日、私の人生は終わっていたはずだった。 …

第12話 曇る視界【死生の天秤】小説

■第12話の見どころ ・迫るタイムリミット ・苦渋の笛木 ・箕島の気づき 第1話を読んでみる(第1話はフルで読めます) -1- 「今度はママも一緒に行こうね」 旅行に…

第11話 クロスオーバー【口裂け女の殺人/伏見警部補の都市伝説シリーズ】小説

■第11話の見どころ ・伏見、みづき(口裂け女)と対峙 ・記憶と遭遇 ・常磐の暴走 ・見えてきた真相 第1話を読んでみる(第1話はフルで読めます) -1- 「谷山、寄り…

壁越しの恋 第2幕 ファーストコンタクト(連載小説)

壁越しの恋 第2幕 ファーストコンタクト(連載小説)

第一幕はこちら

第二幕 ファーストコンタクト

-1-

一週間ぶりの職場は、少し空気が違う気がした。
何が違うと言われても、具体的なことは分からない。上司の眉間のシワはいつものことで、朝でも昼でも、誰と話していても変わらない。何度も来たことがある場所だからこそ、表面的なことではない何か、違いを感じ取っているのかもしれないが、デスクに座って、さりげなくオフィスを見回しても、答えは見つからなかった

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黒い砂 テケテケ誕生の物語【期間限定  一気読み! 10/20まで】

黒い砂 テケテケ誕生の物語【期間限定  一気読み! 10/20まで】

※黒い砂 テケテケ誕生の物語(伏見警部補の都市伝説シリーズ)の期間限定一気読み! 10/14~10/20まで(10/21以降は有料)

第1話

-1-

真中瑞江(まなか みずえ)は、目を覚ますとゆっくりと体を横向きにして、向かいの棚に置いてある時計を見た。
時刻は5時50分。目覚ましが鳴るまで、あと10分。少しだけ損をした気持ちになったが、上半身を起こして伸びをすると、床に足をつけた。

目を

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死刑遊戯 第7話 責任能力有無という悪法【小説/シリアス】

死刑遊戯 第7話 責任能力有無という悪法【小説/シリアス】

第1話はこちら

-1-

『犯人たちの居場所が分かったかもしれません』

片岡の言葉に、坂下は反射的に立ち上がった。

「間違いないのか?」

『まだ、確実とは。でもたぶん、そこで間違いないです。動画配信会社や通信会社に協力してもらって、配信はそこからされてる確認は取れたので』

「どこだ? 都内か?」

『神奈川との境です。というか、エリア的には神奈川県内ですね。一歩進めば都内ってぐらいの場所

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コンパリソンを脱ぎ捨てて(ショートストーリー)

コンパリソンを脱ぎ捨てて(ショートストーリー)

1、言えない悩み

私は、思いを口にしたことを後悔していた。
夫に悪気がないのは分かっている。私にも子供にも優しくて、家の中は笑顔が絶えず、この幸せがずっと続いてほしいと思う。でも外に出れば、世界は変わる。

私、保田枝美(やすだ えみ)は、夫の圭介(けいすけ)と、4歳になる息子の幸助(こうすけ)の三人暮らし。裕福とは言えないが、夫も私も物欲があまりないこともあり、生活に支障はない。だから気にする

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壁越しの恋 第1幕 あるコメント(連載小説)

壁越しの恋 第1幕 あるコメント(連載小説)

第一幕 あるコメント

-1-

「來未、聞いてる?」

君沢來未(きみさわ くみ)は、名前を呼ばれて方杖から顔を離した。

「あ、うん、聞いてたよ」

笑顔を作ったものの、野村楓(のむら かえで)は頬を膨らませている。

「彼氏の態度が変わってきたんでしょ? 言葉は今までどおりだけど、込められてるものが違うみたいな」

來未が言うと、楓だけでなく、隣に座っている安永慶子(やすなが けいこ)も目を

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異物【一気読み!】

異物【一気読み!】

※連載小説「異物」の一気読み。

第1話

-1-

いつもと同じ朝が、心の中に安心と退屈を混ぜ合わせ、新しい日が始まるという期待はすぐに、何も変わらない、人生はそんなもの、という結論を連れてくる。

明神尊(みょうじん たける)は、昨日を再生したような朝を過ごしていた。
いつもの時間に起きて、歯を磨き、出勤の準備をして、家を出る。駅までの15分ですれ違う人、横道から出てくる人は、顔を見ている頻度

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死刑遊戯 第6話 動機の解明という名の延命措置【小説/シリアス】

死刑遊戯 第6話 動機の解明という名の延命措置【小説/シリアス】

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-1-

「玉木さん、あなたが所属する弁護士会は以前、日本の犯罪史上、最悪とも言える凶悪事件を起こしたテロリストが死刑になったとき、それに反対する声明を出してましたね?」

主犯の男が言うと、玉木は顔色を変えずに、

「それがどうかしたのかね?」

「あの声明については、弁護士会内部でも意見が割れて、賛成に投じたのは、弁護士としてやっていくためにしかたなくという人が多かったという

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第14話 受け入れる~エピローグ(それぞれの道)【死生の天秤】小説

第14話 受け入れる~エピローグ(それぞれの道)【死生の天秤】小説

■第14話~エピローグの見どころ

・愛するが故に
・乗り越えるために受け入れる

第1話を読んでみる(第1話はフルで読めます)

-1-

箕嶋は、亜梨沙と一緒に家に戻ると、パパは大事な仕事があるから、今日はママのところに泊まりなと言って、眠い目で、ポーっとしている優衣に言った。
優衣はよく分からないまま、亜梨沙と一緒にタクシーに乗り、箕嶋は家の中で待っていた千夏に、すべてを話した。

「こんな

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あなたの「できる」を 誰かのために(ショートストーリー)

あなたの「できる」を 誰かのために(ショートストーリー)

-1- 喪失

真白由舞(ましろ ゆま)、結婚。

見出しを見たとき、俺はスマホを落としそうになった。
仕事帰りの電車の中、疲れ切った顔が並んでいる中で、俺の顔だけは異色の、絶望に染まっていただろう。

真白由舞は、デビュー当時はアイドルっぽく売り出していたが、最初の曲から作詞を自分で担当。以降10年、先月のラストライブまでに発表した111曲の作詞を、すべて自分で手掛けた。ラブソングよりも、人の気

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死刑遊戯 第5話 過ぎる期待【小説/シリアス】

死刑遊戯 第5話 過ぎる期待【小説/シリアス】

第1話はこちら

-1-

「犯罪という過ちを犯して、捕まって刑務所に入る。刑期を終えれば、前科からは逃れられないものの、もう犯罪者ではありません。そこから、過ちを悔いて生きていくんです、彼らは」

枝野が言うと、主犯の男は少し口元を緩めた。

「悔いて生きる、なるほど」

「何かおかしいですか?」

「いえ、続けてください」

「いいですか? 彼らがまた犯罪をやってしまう最大の問題は、彼らじゃな

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第13話 二度目【死生の天秤】小説

第13話 二度目【死生の天秤】小説

■第13話の見どころ

・残酷な提案
・亜梨沙の涙
・箕島の苦悩

第1話を読んでみる(第1話はフルで読めます)

-1-

旅行二日目も、優衣はほとんどを笑顔で過ごし、遊び疲れて、夕食の後には寝息を立て始めた。

「明日は帰る日だけど」

千夏は、空になった箕嶋のグラスに、日本酒を注いだ。

「答えは出そう?」

「……」

寝息を立てる優衣を見ていると、そばに行って、そっと髪を撫でたくなる。き

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第12話 真相~エピローグ【口裂け女の殺人/伏見警部補の都市伝説シリーズ】小説

第12話 真相~エピローグ【口裂け女の殺人/伏見警部補の都市伝説シリーズ】小説

■第12~エピローグの見どころ

・口裂け女が生まれた理由
・みづきの決断、伏見の決断
・常磐の遺恨

第1話を読んでみる(第1話はフルで読めます)

-1-

「橘さん、来ますかね」

茂田が取り調べを受けた日の夜。
奈津美と竹神は、州ノ森公園に来ていた。
みづきは昨日、姿を消す直前に、明日の20時に公園でと、奈津美に耳打ちしていた。奈津美はそれを、竹神にだけ伝えて、二人は公園に来ていた。

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死刑遊戯 第4話 文明人という詭弁【小説/シリアス】

死刑遊戯 第4話 文明人という詭弁【小説/シリアス】

第1話はこちら

-1-

「犯人さん、あなたは殺人は死刑だというけど、そうね、たとえば女が身を守るために、結果として相手を殺してしまったら、それも死刑なの?」
 
「なぜ殺したか、という点については、十分に考慮されるべきだと思いますよ。たとえば強盗が入ってきて、自分や家族の身に危険がある場合、強盗を殺してしまっても、正当防衛でしょう。
 
殺しまでするのは過剰防衛だという人もいますが、生きるか死

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一つの世界から世界の一つに(ショートストーリー)

一つの世界から世界の一つに(ショートストーリー)

-1-

高校を卒業する今日、私は校舎の前で振り返って、屋上を見上げた。
高2の春、ゴールデンウィークが明けて一週間経ったあの日、私の人生は終わっていたはずだった。

「卒業おめでとう、相澤」

頭の中に、これまでのことが浮かんできたとき、名前を呼ばれた。

「笠原先生……!」

私は駆け寄って、抱きつきそうになって、慌てて手を引っ込めた。

「思い出してたのか?」

「うん……」

「よく、がん

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第12話 曇る視界【死生の天秤】小説

第12話 曇る視界【死生の天秤】小説

■第12話の見どころ

・迫るタイムリミット
・苦渋の笛木
・箕島の気づき

第1話を読んでみる(第1話はフルで読めます)

-1-

「今度はママも一緒に行こうね」

旅行に行くと話した翌日、亜梨沙の家の前で、優衣は亜梨沙に抱きついた。

「うん、そうね。ママも優衣と一緒に行きたい」

「うん!」

箕嶋は、二人のやり取りを見ながら、こみ上げるものを感じて、空を見上げた。
この光景を奪う権利なん

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第11話 クロスオーバー【口裂け女の殺人/伏見警部補の都市伝説シリーズ】小説

第11話 クロスオーバー【口裂け女の殺人/伏見警部補の都市伝説シリーズ】小説

■第11話の見どころ

・伏見、みづき(口裂け女)と対峙
・記憶と遭遇
・常磐の暴走
・見えてきた真相

第1話を読んでみる(第1話はフルで読めます)

-1-

「谷山、寄り道だ」

伏見は言った。

監視していた茂田貴久が動いたという連絡を受けて、伏見と谷山は急ぎ、車を出した。監視していたチームが、茂田の車を尾行し、その情報を受けながら、伏見たちも車を走らせていた。

「今の電話、雨草奈津美で

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