黒い砂 テケテケ誕生の物語 第1話(小説/伏見警部補の都市伝説シリーズ/ホラー、ヒューマンドラマ)
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真中瑞江(まなか みずえ)は、目を覚ますとゆっくりと体を横向きにして、向かいの棚に置いてある時計を見た。
時刻は5時50分。目覚ましが鳴るまで、あと10分。少しだけ損をした気持ちになったが、上半身を起こして伸びをすると、床に足をつけた。
目をこすりながら歩き、絨毯と部屋のドアの隙間にある、30センチほどの隙間に並んだスリッパを履いて、ドアを開ける。
家の中は静まり返っており、リビングもキッチンも暗い。ようやく涼しくなってきた10月の朝は、少しひんやりとして、瑞江は